主張・政策論

2008年5月28日

No.027 169回国会「衆議院 内閣委員会 20号(答弁)」

⑨平成20年5月28日 内閣委員会(答弁)
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
急転直下と申したらよいのかわかりませんが、修正協議がまとまり、本日、修正案が提出をされたということで、私も、今ここに、委員会の質問に立たせていただき、この修正案に質問を申し上げるのも、何となく半信半疑のところはあるんですけれども、修正案に対して幾つか確認的に質問を申し上げたいことがございますので、その点について、そしてまた、時には大臣の御意見なども伺いたいと思います。
公務員制度改革は、今、本当に多様化する、そして高度化する、人口減少の日本の社会の中で喫緊の課題だと思われます。もちろん、さまざまな不祥事に端を発して失われた国民の信頼を回復するということ、これが公務員制度改革の中では何よりも重視をされなければいけないことだと思いますし、また、省あって国なしと言われるようなこの体質をどう変えていけるのか。また一方で、やはり意欲や能力のある公務員の方々がきちんとその能力を発揮して働いていただける環境整備ということも、またこれは必要なことだと思っております。
今後、この公務員制度改革法案、ぜひ適切な形で運用されていくように心から願っているところでございますけれども、具体論について幾つか質問を申し上げたいと思います。
まず一つ目でございますが、第五条の第二項の関係です。第一号になりますでしょうか、ここにおいて、新たな制度を設けると。すなわち、「事務次官、局長、部長その他の幹部職員を対象とした新たな制度を設けるものとすること。」と記載をされております。
これは具体的にどういう趣旨なのでしょうか。

○馬淵委員 お答えをさせていただきます。
私も、この審議で代表質問をさせていただきながら、きょうこうして答弁席にいるということで、言葉にあらわせない気持ちでおります。
今、質問にありました五条二項についてでございますが、そもそも、この理念にあります縦割り行政の弊害の排除、また、多様な人材の登用、そして弾力的な人事管理、こうした理念に基づいて、幹部職員並びに管理職員については、一般の職員とは異なる任免や人事評価などの新たな制度を設けることが必要であると考えております。
この修正案の第五条の二項一号及び二号の趣旨でございますが、これはその基本的な方向性を示すものでございまして、質問にあります、具体的にはどういうことを示しているのかということでありますが、具体には、修正案の五条の二項三号そして五号までの措置を予定しております。
すなわち、幹部職員の任用は、内閣官房長官がその適格性を審査する、そしてその候補者名簿の作成を行い、また、各大臣が人事を行うに当たっては、任免について内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとするとしております。
さらに、幹部職員等の任用に当たっては、「国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努める」、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、「その職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとするための措置を講ずる」、これらはそれぞれ四号と五号に示しております。
その他、幹部職員等の各府省ごとの定数の設定あるいは管理職員任用の場合の選考に関する統一的な基準の作成、これらも内閣官房において行うこととしておりまして、こうした具体的な新たな制度、措置によりまして、先ほど申し上げたように、縦割り行政の弊害の排除、そして多様な人材の登用並びに弾力的な人事管理というものが実現できる、そのように考えております。

○西村(智)委員 縦割り行政の弊害を排除する、この突破口になることを強く期待しております。
続いての質問は、先ほど御説明をいただいた第五条第二項第三号についてでございます。
この第三号において「各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとする」というふうに記載をされておりますが、例えば局長を次官に昇任させるという場合に、その都度と申しますか改めてと申しますか、各大臣は総理大臣及び官房長官と協議することになるというふうにこの条文を読んで理解するのですが、提案者の見解を伺いたいと思います。

○馬淵委員 お答え申し上げます。
御指摘のように、府省において局長を次官に昇任させるという場合でも、これにつきましては職の任命ということでございますので、改めて各大臣は内閣総理大臣及び官房長官と協議をした上で行うというふうに考えておりまして、局長を次官に昇任させるということは新たな内閣全体の人事であるということから、これは改めて協議が必要だというふうに考えております。

○西村(智)委員 ありがとうございます。
続いて、今回の修正を通して、各大臣が内部の人材そしてまた外部の有識者、こういった方々を幹部職員に登用する場合には、具体的にはどういう手続を経ることになるのでしょうか。

○馬淵委員 お答えをさせていただきます。
内部の人材あるいは外部の有識者、これらを幹部に登用しようとする場合は、その人材並びに有識者を内閣官房長官に推薦し、さらに適格性の審査の上、名簿に登載ということになります。各大臣は、この名簿に登載された人材、有識者について、総理大臣並びに内閣官房長官と協議した上で任命をするということになります。

○西村(智)委員 ありがとうございます。
続いて、政官接触の関係について伺いたいと思います。
委員会でもたびたび議論になってきたところでありますけれども、政府案では、官から政への接触を政務専門官を通じて行うことで制限するということで、これはかなり問題があるのではないかと私たちの方からも指摘をさせていただいておりました。これに対して民主党の提案は、いわゆる情報公開、透明化を図ることによってこれを適正にしていこうという提案をしていたけれども、今回の修正によって、政官接触における政務専門官の設置は削除をされております。
これにかえて第五条第三項の規定が設けられておりますが、この趣旨について伺います。

○吉良委員 お答えいたします。
委員御指摘のように、接触制限に対する規定は削除させていただきました。そして、この三項によって、やはり御指摘のとおり、情報公開の徹底ということと透明化を図るということで、これまでの議論でも出てまいりました政と官の不適切な接触、交渉を排す。
それから、参考人陳述でもございましたけれども、一方では、大臣の意向に反して官の側が、大臣はああおっしゃっていますけれども我々官はですね、という接触が実際問題としてあるというような指摘が、参考人陳述の中でございました。一方では、よく言われるように、一種の利益誘導といいますか口ききによって政が官に圧力を加える、働きかけをする。このようなことを避けることが目的であって、接触自体が問題ということではない。やはりこれまでの議論にも出てまいりましたように、お互い情報交換をし、意見交換をしていく、議論をしていくことは、ある意味ではより効率的な政策立案に資するというふうに思っています。
大事なことは、今言いました大臣の意に反した官の行動、また口ききと言われるような政の官に対する圧力、これを排する。それは、今申し上げました透明性の確保、そしてそのための情報公開の徹底ということで図れる、この趣旨でこの三項を設けております。
以上です。
○西村(智)委員 透明化を図るということはよいことだというふうに考えるんですけれども、しかし、その具体的な中身についてはまだ見えないというようなところがあるかと思います。
すなわち、個別行政の要請といいますか、問題になっておりますいわゆる口ききと言われるものですね、こういったものも対象になるのか。あるいは、接触の仕方によっても、先ほど、よろしく電話などという言葉が出てまいりましたけれども、電話というのが接触に当たるのか、また電子メールなどはどうするのか。また、こういった記録を全部行うことは事務が煩雑化するのではないかという指摘があります。
こういった点を提案者は現時点でどういうふうにお考えになり、今後どういうふうにこの仕組みが進められるべきだと考えておられるでしょうか。

○吉良委員 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、透明性を高め、情報公開を徹底するということの手段として、記録を作成し、それを公開するというふうにしておりますけれども、先ほどの公明党の田端委員の質問、それから上田提案者の答弁にもありましたように、事務をいたずらに膨大化させて本来の趣旨を損ねるということは避けなければいけないというふうに思っております。
本法案とそれから修正案はまさに基本法でありますので、先ほど申し上げました、やってはならないことを避けるということを確認する、そして、その手段について合意できれば、各論については今後この基本法の趣旨にのっとって詰めていくことになろうかというふうに思っています。
ですから、今委員から御指摘のあった、よろしく電話をどうするだとか携帯メールをどうするか、これについては、この基本法の趣旨にのっとって細部は詰めてまいりたいと思っております。
以上です。

○西村(智)委員 次に、内閣人事局というものが第十一条で設置をされるということになったんでしょうか、内閣人事庁の規定が修正案では内閣人事局というふうに変わっておりますけれども、この理由は何でしょうか。

○吉良委員 お答えいたします。
もともとの政府案には内閣人事庁ということでありましたが、今回の修正によって、人事庁ではなく、内局としての内閣人事局を置くということで提案をさせてもらいました。
この点につきましては、これはもう党派を超えて、官のいたずらな肥大というものについてはだれもが納得をしないということで、庁にすると行政の肥大化を招くおそれがある、そういう観点から、内局にすることによって、あり得る弊害を事前に防ごうとしたものであります。
以上です。
○西村(智)委員 ありがとうございます。
続いて、条文的には少し戻るんですけれども、第五条第二項になります。内閣人事庁が総合職を一括採用し、各府省へ配置するという政府案ではあった内容が、今回の修正案では削除されております。
この理由について伺います。

○佐々木(隆)委員 お答えさせていただきます。
政府原案には総合職試験というものがあったわけでありますが、総合職試験の合格者の中から採用された者だけに他の採用者と異なるルールを適用するというのは、採用試験に基づいて幹部候補を事実上固定化する、いわゆるキャリアシステムの維持につながるおそれがあるというようなことから、このようなルールを維持したままではキャリア制の廃止とならず、総合職がスーパーキャリアとなってしまうおそれがあるので削除をしたものであります。

○西村(智)委員 ありがとうございます。
続きまして、条文的には第十二条について伺いたいと思います。
率直に申し上げて、ややわかりにくい規定だなというふうに思うのでありますが、この第十二条の「自律的労使関係制度を措置する」というのは、具体的にどういうことを意図しておられるのでしょうか。

○松本(剛)委員 西村議員にお答えを申し上げたいと思います。
この労働基本権の問題については、これまでもいろいろな場面で、また長いこと議論をされてきたところでございますけれども、政府の原案では、第十二条、「政府は、国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討する。」このようになっていたものでありますが、その後の委員会の審議、そして与野党の協議を経まして、御案内のとおり、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」このような規定になりました。
御案内のとおり、先ほども宮澤議員からも御答弁を申し上げたところと重複する点がありますが、昨年の十月の政府の行政改革推進本部専門調査会報告「公務員の労働基本権のあり方について」、この報告において「現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」このようにされているところでありまして、本条第十二条は、このような現状の問題にかんがみて、自律的労使関係制度を措置することを政府に求めているものでありまして、本法がこの修正案を含めて成立をした後には、本条に従って措置されるものと期待をしているところでございます。

○西村(智)委員 続いて、ここは与野党の間の大きな相違点かと思いますが、いわゆる天下り問題、再就職のあっせん禁止について伺いたいと思います。
私たち民主党は、天下りというのは禁止すべきだということで、昨年の官民人材交流センターのときも、押しつけ的なあっせんだけではなくて、天下りそのものをやはりやめなければならない、それが税金の無駄遣いをとめることにもつながるし、国民の信頼回復にも資するということで議論をさせていただいておりましたが、今回の修正案にも、残念ながら、私たち民主党が求めてまいりました再就職あっせんの禁止に関する規定というものは言及がございませんでした。
この理由について伺いたいと思います。

○松本(剛)委員 西村議員にお答えを申し上げたいと思います。
天下りの問題というのは、ここ数年国会でも大きく取り上げられ、この根絶が必要であるという認識については国会の中でも共通の認識ができた中で議論がされてきているだろうというふうに思いますが、私どもとしては、天下りについては大変対策が必要である、こういう認識でこれまでも強く求めてまいりました。昨年の通常国会においても、再就職のあっせんの禁止を要求してまいりました。天下りが巨額の税金の無駄遣いの温床となっていることからも、民主党として、天下り、再就職あっせんの禁止が必要という考え方は変わっておりません。
今回の協議について、私どもとしては、これも修正に加えていくべきではないかということで民主党案は当初策定をしたものでありますけれども、残念ながら、今回の協議の中では、政府案ではもともと、この天下りについては既に昨年の改正において官民人材交流センターを設置するなど対応しているという認識の中で、基本的な認識が一致をすることがありませんでしたので、この点を条文として取り上げることについて合意を見ることができなかったために取り上げないこととなったということでございます。
私どもとしては、引き続き、再就職あっせんの禁止が必要であるという姿勢は変わりなく、別途必要な措置を行うべきであるということを国会でも求めていきたい、このように考えているところでございます。

○西村(智)委員 ありがとうございます。ぜひその方向で国会での議論全体もまとまっていくことを私も期待しております。
さて、次に、男女共同参画の推進について、今回、修正の中で理念として盛り込まれたと承知をしております。
男女共同参画社会の推進といいますのは、平成十七年に改定をされました基本計画の中でも、二〇二〇年までに、国家公務員の中で女性の比率を高めるべし、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるようにという、そういう計画でございまして、特に政府は民間に先行して積極的に女性の登用等に取り組むべきだというふうに記載をされております。
そのほかにも、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進、女性も男性も育児休業の取得の促進、こういった課題がいろいろあるわけでございますけれども、この点について、修正案ではどういった形で、どういった考え方で盛り込まれたのか、ここを伺いたいと思います。

○佐々木(隆)委員 お答えいたします。
ただいま西村議員から御指摘がありましたが、当初、民主党案では、男女共同参画の推進及び仕事と生活の調和ということで盛り込んでいたわけでありますが、先ほどの天下りのところで御答弁申し上げたと同じように、政府原案にこのテーマがなかったというようなことから、男女共同参画の推進については、今お話がありましたように、第二条第六号の基本理念に「男女共同参画社会の形成に資する」ということを文言で追加させていただいたところであります。
公務員制度改革の推進に当たっては、この基本理念の文言を基本として行われるというふうに考えているところでありますし、同時に、民主党の求めていた男女共同参画基本計画に規定する政策決定過程への女性の参画の拡大については、今御指摘があったところでありますが、男女共同参画社会基本法に規定する男女共同参画基本計画においてしかるべき対応をされるべきというふうに期待を申し上げているところであります。

○西村(智)委員 ありがとうございました。
大臣、恐縮ですが、ぜひ大臣のお考えを伺いたいと思いますので、答弁をお願いしたいと思います。
先ほど私は、修正案の第五条第二項第三号の関係で、「各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとする」とあるわけですけれども、ここで、例えば局長を次官に昇任させるという場合に、これは新たな内閣全体の人事であるので改めて協議が必要だ、そういう提案者からの御答弁をいただきました。大臣の考えはこれと同様だということでよろしいでしょうか。

○渡辺国務大臣 修正前の政府案でございますが、ここにも適格性の審査の制度を設けております。一たん幹部職員になったらもう二度とやらなくていいんだという考えは、政府案においてもとっておりませんでした。
修正案の枠組みのもとでは、先ほど提案者から御答弁がありましたように、ポストがかわるごとに、改めて総理、官房長官と協議をするというお答えだったかと思います。大変適切なお考えであろうかと思います。

○西村(智)委員 では、もう一点確認をさせていただきたいと思います。
その次の質問で、各大臣が、内部の人材あるいは外部の有識者、こういった方々を幹部職員として登用しようとする場合、具体的にどういう手続なのか、私が質問させていただいたら、提案者の方からは、その人材や有識者を内閣官房長官に推薦して、適格性を審査した上で名簿に登載をして、そして、その名簿に登載された人材、有識者について、内閣総理大臣そして内閣官房長官と協議した上で任命をすることになるという答弁だったかと思います。これについても、大臣のお考えは同様であるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○渡辺国務大臣 もともとの政府案では、現状のいわゆる大臣の人事権という名のもとに各省において事務方の仲間内人事が行われる、そういう人事を大臣が追認せざるを得ないような実態が指摘されておりました。こういったことを改めるために、内閣人事庁でも候補者名簿を提示するという仕組みを提案したわけでございます。
修正案では、この問題認識は共有されていると思います。その上で、官房長官が一元的に候補者名簿を作成するとしたわけですし、内閣一元管理をより強化したということが言えようかと思います。 こういう原点に立ち返れば、御質問のように、大臣のイニシアチブをもって特定の人材を幹部に登用しようとすることを排除する必要は全くないと思います。提案者から御答弁のあったような手続のもとで認められてしかるべきと考えております。

○西村(智)委員 ありがとうございました。 以上で私の質問を終わりますが、申し上げたように、まだ積み残しの課題、天下りの問題もございますので、ぜひ今後とも、国会の中で、オープンなところで議論をし、本当の意味での改革を進めていきたい、そのことを皆さんで力を合わせてやっていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。

バックナンバー