主張・政策論

2019年4月3日 文部科学委員会質問 議事録

○亀岡委員長 次に、吉良州司君。

○吉良委員
国民民主党の吉良州司です。きょうは、修学支援法を中心に、本案の根本にかかわることについて質問させてもらいます。同時に、一つの考え方として私自身の具体的な提案を行いますので、柴山文科大臣はもちろん、馳与党筆頭理事を始め与党の皆さん方には、拙速な採決をするのではなく、もっともっと論点があると思っていますので、文科委員会として、よりよい案を一緒に考えていきたい、このように思って、質問をさせていただきます。
それを念頭に置いた上で、お手元にお配りしている資料をご覧ください。これは2009年、民主党政権への政権交代直後につくった図です。この図をなぜ提起させてもらうのか。一つは、今回提案されている修学支援法は、自民党が、票を目当てにしてつくっている法案だとは思っていません。先ほど来、大臣からの答弁もありますように、貧困を固定化しないために、低所得の家の子供たちも、希望に応じて進学できるようにとしたいとの純粋な目的で提案されていると思っています。その意味で、修学支援だとか子育て支援の議論になったときによく出てくるのが、先日の合同審査会でも言及があったように、当時の民主党政権が打ち出した「子ども手当」です。子ども手当は当時「ばらまきだ」との批判を受けました。しかし、民主党政権の「子ども手当」も、決して「ばらまき」とか、票目当てで考えたことはありません。今、自民党政権が、高齢者が中心になっている社会保障から全世代型の社会保障にすると打ち出しておりますが、民主党政権の時代にそのことを前面に打ち出していたことを証明できるから、この資料を出しています。

大臣、じっくり見ていただいていますが、見てのとおり、もともと終身雇用制・年功序列賃金が多くの企業で採用されていた時代には、年齢とともに賃金が上昇し、28歳ぐらいになると、それまでは一万円ずつぐらいしか上がらないのに、どんと二万円くらいあがる、32、33歳になると、また、どんと上がる。それは、当時、第一子が生まれる時期、第二子が生まれる時期、それから子供が進学するであろう時期が想定された上で賃金が上がるモデルになっていたと思います。ところが、その後、いわゆる年功序列賃金や終身雇用も危うい状況になり、また、グローバル化が進む中において、賃金カーブが、図のBで示していますように、ぐっと下がってきた。年齢が上がっても賃金が上がるわけではないという状況が現出してきました。もちろん、今でも、高所得を得られる企業に勤めている人は、かつての賃金カーブを謳歌できています。しかし、低所得層そして中間層についてはぐっと下がって、かつては教育費を負担できていた中間層も、子供が高校に進学する、そして大学など高等教育機関への進学するときに、経済的に極めて厳しい、教育費の負担感が極めて大きい、こういう状況になっている。そのことを見据えて、子供が小さいころは子ども手当、義務教育が終わると高校の無償化、そして高等教育機関進学に対しては奨学金制度の拡充や入学金、授業料の減免を念頭においていました。
私自身がこの図を提示するのは、今後、与党、野党を問わず、「ばらまき」だ、「票目当てだ」など、そんなことは一切指摘することなく、この文科委員は、子供の教育こそが国をつくる、個々人についても将来を切り開くという思いの中で純粋に考えていると私は信じますので、無用な批判合戦はないようにしていきたいと思っています。
それともう一点、今回の法案は低所得者の子供を何とか支援しようという法案ですが、これまでの質疑の中でも出ているように、中間層についても教育費の負担感が物すごく強い、その意味では、低所得者のみならず、中間層についても何とか支援する手だてはないのか、こういう思いも持ちながら、質問をさせていただきます。
柴山大臣、まず、今回の低所得者世帯修学支援法案の究極の目的は何でしょうか。また、本法案は、社会保障政策ですか、それとも教育政策ですか。

○柴山国務大臣
今回の究極の目的ということなんですけれども、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対して大学等における修学の経済的負担を軽減することが、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与するものと考えているということで、消費税の財源手当てということも含めて、やはり、少子化の進展への対処に寄与する、社会保障関係経費として消費税財源を充てるということでございます。ただ、高等教育へのアクセスの機会均等とともに、一緒に出させていただいている大学改革や教育、研究の質の向上と一体的に推進することによって、そういった教育へのアクセスの確保ということを我々としては同時に目指しているということも御理解をいただきたいと思います。

○吉良委員
大臣が今おっしゃったことは、この法案の目的として書かれていること、また所信でも述べられたことであり、そのことを否定するつもりはありません。しかし、先ほど、中川委員に対する大臣の答弁だったと思いますが、「貧困の連鎖を断ち切り、貧困を固定化させない、階級化させない」、これが究極の目的じゃないですか。いかがでしょうか。

○柴山国務大臣
今おっしゃったとおり、貧困の連鎖を防ぐということが大変重要であるということは、我々も共有しているというふうに思います。

○吉良委員
今同意していただきましたが、では、その究極の目的である、貧困の連鎖を断ち切り固定化させないという目的を、本法案で示されている具体的内容で達成できると思われますか。

○柴山国務大臣
先ほどの私の答弁の、貧困の連鎖を断ち切り格差の固定化を防ぐというために、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に授業料減免と給付型奨学金を支給するということとしているわけなんですけれども、やはり、低所得者世帯では、家庭の経済的理由によって進学を断念するケースがある。具体的には、全世帯では高等教育機関への進学率が約八割であるのに対して、住民税非課税世帯では四割程度というふうに推計をして、半分程度の率にとどまっているということでありますので、こういった低所得者世帯に対して、その経済的負担を軽減するということによって、経済的理由から進学を断念することなく、希望に応じて質の高い大学等へ進学できる見通しが立つということから、貧困の連鎖ということに一定の歯どめはかかる、しかも、少子化の進展への対処という本法案の目的の達成にも資するというように考えております。

○吉良委員
では、ちょっと議論を深めていきたいので、違う聞き方をします。低所得者世帯の子供が、私立の医学部に進みたい、そういう希望を持っている、その場合に、この制度ではどう応えられるんでしょうか。

○伯井政府参考人
私立大学等の授業料につきましては、設置者の裁量によりまして、各大学学部・学科等の教育プログラムの特性に応じて異なる授業料が設定されております。今回の支援措置では、学部に限らず、授業料については、私立について上限70万円を限度に支援をするということでございますが、これを学校種ごとに分野区分で上限額を設定するということにつきましては、制度的に複雑になるおそれがあるということ、また、各専攻分野における適正な授業料、標準的な授業料についての、それに一定の国の意思決定をして支援をするということになりますので、そこまでの合意形成がなされていないという課題があることから、そういう上限を設けて支援をするということでございます。

○吉良委員
私が私立の医学部をあえて出したのは、私立の医学部は入学金も授業料も、正直言って住民税非課税世帯の子供たちにとっては経済的には夢のまた夢。では、完全に、貧しい家庭の子が医者になる道が閉ざされているのか。そうではないですよね。例えば、国立の医学部に行く、又は、九年間の地域限定での勤めは課せられますけれども、自治医科大学に行くということになれば、どんな家庭の子でも医者になる道は開かれている。
私は何が言いたいかといいますと、今回のこの法案は、今局長から答弁があったように、私立大学については70万円を限度とするという限定がある。私立の医学部についてもそうです。となると、夢を持ち、こういうところで勉強したいという思いがあっても、それをかなえるにはその子供たちもある程度の学力を求められているということになります。ということは、この制度はある程度の学力を求めていると言ってもいいと思います。私は、それを肯定する者です。
大臣にお聞きします。ある時点の学力は何で決まりますか。何を構成要素として、ある時点の学力ができ上がりますか。

○永山政府参考人
学校教育におきましては、基礎的、基本的な知識及び技能、これを確実に習得させる。これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めることとしてございます。新しい学習指導要領におきましては、こういった観点から、知識及び技能、それから二つ目に、思考力、判断力、表現力等、それから三つ目に、学びに向かう力、人間性等。これは、資質、能力の三つの柱といたしまして、生徒が確かな学力を身につけることができるように、これらをバランスよく育成することといたしてございます。

○吉良委員
余り批判は好きではありませんが、今みたいな話を聞いても、誰も頭に残らないですよね。ここで争うつもりはないです。私がわかりやすく言わせていただくと、ある時点の学力というのは、なかなか言いづらいことだけれども、一つには、親から受け継いだ、ある意味で地頭と言われるものがあります。そしてもう一つは、努力度ですよね。どれだけ頑張っているかの努力。そしてもう一つ、今の時代においては家庭環境。それこそこの委員会でも議論されていますように、塾に行ける子、行けない子、そういう意味では、今、低所得家庭の子は塾に行きたくても行けない。そういう意味で差がついているんじゃないですか。
だから、そこを余りきれいごとで言わずに、地頭についてはいろいろな考え方がありますから、やはり、努力度そして家庭環境。家庭環境で学力を高められない環境にある子供たちにより高い学力をつけていく、それが一番大事なんじゃないですか。
私が、冒頭、究極の目的は何かお聞きし、そして大臣が答えた、貧困の連鎖を断ち切り固定化をさせない。そこについてはもう100%同意します。
であるならば、今、家庭環境に恵まれないがゆえに勉強したくてもできない環境にある、また努力しようとしてもできない環境にある、そんな子供たちの学力を高めていくことが重要ではないですか。家庭環境に恵まれない状況を少し補う支援をする、努力を後押しできる、そんな環境があれば、もっと学力を高くできて、もっと自分の人生を切り開ける学校に進めるんじゃないですか。
今の状況の中で行けるところに行く、それを経済的に支援する。これで国全体の子供たちの学力の底上げになるとも思われません。というか、恵まれない環境を補う学力向上支援をしなければ、国全体の学力底上げにならないし、何よりも、個人が人生を切り開いて、より高い学力で、より自分の思う高等教育機関に進めて、そしてその後に、ある意味いい就職先を得て、そして、豊かな、また幸せな人生を歩むときに重要な要素である経済的に困らないようにしていく。そのようにして、貧困の連鎖を断ち切り、固定化させないようにすべきではないですか。
今のままの学力で、恵まれない中の学力で、そのまま行けるところを経済的に支援する、そうではなくて、今言ったように、学力を高めてあげるための支援をする、この方が大事じゃないですか、大臣。

○柴山国務大臣
先ほど、中川委員からも、全ての高等教育の授業料を全部無償化にする、ただし、生活に必要なお金については給付型じゃなくて貸与型の奨学金にしたらどうかという御指摘にも通じるものがあるかと思います。ただ、今回は、我々としては、財政上の制限ということもありますし、また、高等教育というのは義務教育ではございませんので、高等教育に進む人とそうじゃない人との公平というものをどう図るか、これはもう社会通念の議論もありますけれども。そういうことももろもろ加味をして、この授業料の減免ということと、それから生活費に対する奨学金という形での支援をあわせて、真に支援が必要な住民税非課税世帯あるいはそれに準じる世帯にもそれに応じて一定の額を支援する。ただ、これは非常に、全体としては多額のお金を使って支援をするという仕組みとさせていただいている次第です。ただ、望む大学になるべく進めさせてあげたいという、吉良委員と私、全く思いは同じでありまして。ですので、例えば、入学に当たって、それまではいろいろ、塾に行けなかったから成績が余りよくなかった、そういう子であっても、望む大学に、要するに低負担で行けるようにするために、この制度の利用に当たって、高校在学時の成績だけで否定的な判断をしないで、明確な進路意識と強い学びの意欲が、例えばレポートの提出や面談などによって確認できれば、それは幅広く受け入れていく。その後、大学で、その意欲をきちんと発揮して学んでいただくためのチェックというのはさせていただきますけれども。よく外国などで言われるように、日本の大学は入るのは厳しいけれども出るのはゆるゆるだ、だから大学でしっかりと学べないというような批判がやはりあってはならないと思いますので、そこはやはりしっかりと、機会はなるべく広く確保する、ここは恐らく問題意識としては共通なのではないかなというように考えております。

○吉良委員
残念ながら、最後の部分は共有できない部分があります。それは、今言った、入るときには、今の学力の現状を追認する、家庭環境上、学力を高められなかったという状況を認めて、どこかに入る。けれども、入って以降、それなりの厳しい条件が課せられている、その支援を受け続けるために。けれども、入学時に支援を受けてどこかに入りました、その後は下位の成績しかとれないので支援を打ち切られました。その子供の人生は狂っていきますよ。
そうではなくて、やはり、学力を高める、その支援にまずは力を入れるべきだ。そして、それは、低所得者ももちろんだけれども、今、だんだん中間層が下に行きつつある、その中間層も何とか支援できる方法はないかということで、資料の二枚目を見ていただきたいと思います。
この資料に、低所得世帯の生徒の学力向上と進学を真に支援するための具体策ということで書かせてもらっていますが、その最初の枠に、公立中学、公立高校、場合によっては低所得者の生徒の多い私立高校も含めていいと思っていますが、ここに、補助教員又は学習支援員と言われる人たちを、具体的には各学年に5人ずつ配置をする。そうすると、3学年ですから、平均でいいますと、一つの中学、一つの高校に15人の学習支援員又は補助教員が配置されることになります。そこの担い手として一番多いだろうと思っておりますのが退職教員です。退職教員は今から家族を養い、支えながら教員をやるというわけではないので、一人当たり200万円を想定しています。今言いましたように、これはさっき言った低所得者が通う私立高校は含んでいませんが、仮に全公立中学、全公立高校に15人を配置して、その金額が3868億円です。その補助教員の役割については、一学年5人もいますから、二人ないし三人、学校によって差はあると思いますが、なかなかついていけない子を支援する、そういう支援員がいてもいいと思うし、裕福な子は塾に通って進学のための勉強しているのに、自分は塾に行けないという子供たちに対しては、また二人ないし三人が進学について指導していく、このようなやり方があってもいいと思います。また、場合によっては、有名なというか、それなりにやり手の塾講師を、このために引き抜いてくるなり補助教員になってもらうということもあろうかと思います。そのときは200万円ではできないかもしれない。そのときは、退職教員の人たちに100万円でお願いをして、その塾から引き抜いた人に300百万、400万、500万円渡す、そういうことがあってもいいと思います。いずれにしても、中間層を含む低所得者の子供たちが経済的負担なくついていけるように、勉強できる、また進学に対して支援を受けられる。同じ7100億円使うんだったら、まずはこのことが一番大事なんじゃないですか。いかがですか、大臣。

○柴山国務大臣
子供の学力、学習意欲を向上させるということが重要で、大学に進む前、今委員が御指摘のように、その前段階においてしっかりと底上げをするということは、確かに極めて重要だというように思います。新しい学習指導要領では、子供の学習意欲の向上を重視するとともに、学習内容を確実に身につけることができるように、学習内容の習熟の程度に応じた学習など、個人個人に応じた指導の充実を図ることとしております。こうしたきめ細かい指導の充実のために、貧困による教育格差の解消のための教員定数の加配ですとか、補習などのための外部人材の配置に対する支援等に取り組んでいるところです。そして、地域においては、学習がおくれがちな中学生や高校生などを対象に、今御指摘になられたような、退職教員ですとかあるいは大学生などの地域住民などの協力によって実施する原則無料の学習支援である地域未来塾の推進など、地域全体で子供たちの成長を支える多様な活動を推進しております。文部科学省としては、引き続きこうした必要な支援に努めていきたいというように考えております。

○吉良委員
今大臣が最後におっしゃった、私のイメージも、地域未来塾のような仕組みを公的に、しかも、7100億円というお金を使えるのであれば、そこを支援していく、そのために使うべきだと思っています。私の地元の大分でも、高等学校の校長経験者たちがボランティアで集まって、そしてある種の寺子屋のような塾を実際やっています。全部手弁当です。自分たちが手弁当でやる分には全然異存はないけれども、さすがに、移動を含めて、実費で持ち出しでかかるところぐらいは支援してもらえればいいなという声も聞きます。それもやってほしいのですが、貧困層に限らず、中間層の学習の後押しをするためにも、今言った地域未来塾のようなものを制度化して、子供たちの学力向上に、まずはお金も使うし、精力を使うべきだと思っています。その上で、今大臣もお答えになったし、先ほど来、中川議員からも指摘のあった、次にやるべきは、国立大学の授業料、入学金の免除といいますか、無償化です。
時代はどんどん変わっていますが、私自身は裕福ではない家の男三人兄弟のど真ん中に生まれましたので、兄が東京の私立に行って、もう目に見えて生活水準が落ちました、食事の内容を含めてですね。それは、裕福じゃないところの地方の給料でもって、東京の生活費と、学費、授業料。私の場合は、弟が控えているので、自分がまた私立に行った場合には、もう家が潰れるし、弟は大学に行けないと思ったので、国立に絶対行かなきゃいけないという、ある意味では使命感を感じていました。
時代は変わっていますが、私は、国立大学というのは、それこそ、どんな家庭の子、特に今言った経済的に恵まれない子供たちが教育の機会均等を得られる最後のとりでだと思っているんです。そういう意味で、国立大学の授業料を、また入学金を無償化すべきだと思っています。ただし、全部の国立大学を無償にするという考え方もありますが、私自身は、三大都市圏、そして旧帝国大学、については免除しなくていいと思っています。一つは、前回の質問時に私が痛烈に批判をしました、東京23区の私立の定員を抑える制度、これはもう愚の骨頂の策です。私に言わせれば。一方を抑えて相対的に上がったって、地方自体が上がらなければ意味がない。そういう意味では、経済的負担をかけないというやり方ではありますけれども、入学金・授業料の無償化によって、地方の大学の魅力がそれだけ増す。それで、今言った三大都市圏の大学等については、入学金、授業料を課してもいいと。あえて旧帝国大学を入れたのは、全ての人というわけではないですが、帝国大学を卒業した人たちの就職先というのは、比較的給与の高いところに入れる可能性が高い。それならば、奨学金を借りようとも、返済できる可能性も高くなる。東京への一極集中、大都市圏への集中を抑えながら、多くの子供たちに地方に行ってもらう、その意味で、三大都市圏と帝国大学を除いた国立大学の入学金、授業料を無償化する、この場合にかかる費用は1702億円です。この考え方について、柴山大臣の見解をお聞きします。

○柴山国務大臣
まず、国立大学の授業料あるいは入学料そのものを無償化するということについては、大学教育を受ける人と受けない人との公平性の観点ですとか、あるいは、今財源の試算をしてくださいましたけれども、その確保なども含めて、やはり私は慎重な検討が必要であるというふうに考えております。他方、御指摘の地方大学の活性化、これは極めて重要であるというように理解しております。文部科学省としては、まず、地域のニーズに応える人材育成、研究の推進などの各大学の強み、特色を生かした国立大学の機能強化構想への重点支援などに取り組んでいるところであります。
また、文部科学省としては、この新たな制度によって、真に支援が必要な学生に対して確実に授業料などが減免されるよう、大学などを通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために、十分な貸与型及び給付型奨学金を支給することで学生や保護者の経済的負担の軽減に努めていきたいと考えております。なお、このほか、内閣官房と総務省、文部科学省が連携をして、地方大学への進学や地元企業への就職などを促進するために、地方公共団体において民間資金も活用した基金を造成し、地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するための取組、これは私はすごくいい取組だと思いますが、こういった取組の推進をしているところでありまして、現在、この取組がどんどん広がってい
るというように理解をしております。

○吉良委員
先ほど中川議員から、大学等の入学金、授業料の免除、減免と、奨学金というのは、性質が違うという指摘がありました。私は、あえて地方の国立大学の授業料、入学金を無償化しろと言っている意味は、今大臣の方からも、政府として検討している、また試みようとしているという話でしたが、やはり地方の国立大学は、地域の担い手、地域経済、地域産業の担い手を育てる、その意味で、もう少し職業に直結した学問、実務を勉強する場ということを前面に押し出していくべきだと思っています。その際、住民税非課税世帯の子供が地方にいて、地元の国立大学に行った場合は入学金、授業料は減免だし、自宅から通えるわけです。また、違う地域の子供たちが違う地方に移っても、東京とか大都市圏に比べたらやはり生活費はぐんと安いですから、仮に奨学金を借りて、無利子の貸与と完全給付型の両方あっていいと思っていますが、仮に貸与奨学金の場合であっても、十分返済していけると思っています。
だから、国として、大事な地方を元気にする、地方経済をもう一回活性化するということと、低所得世帯の子供たちが自分の思う大学に行き、職業についていける道を開くという意味でも、さっき大臣が言った大学に行く人、行かない人の公平感は、国全体では十分説明がつくことだと私は思っています。
そういう意味で、先ほど来言っている、まずは、高等教育機関に行く前の学習支援、これに3868億円。そして、三大都市圏と旧帝国大学を除く国立大学の授業料、入学金を免除することの1702億円。今7100億円の国の予算があるわけですから、それを差し引くと、まだ1530億円の予算枠が残る。
では、これをどういうところに使うか。もう時間がなくなってきたので、私の方から言って、大臣の感想を含めた見解をお聞きしたいと思います。
一つは、経済的に恵まれない家庭に育った人でもやはり東京の大学に行きたいという子供たちはいます。そして、現にそういう都市圏の国立大学についても、独自の入学金、授業料の減免措置、制度を持っているわけです。だから、その減免措置を得られるだけの学力を身につければ大都市圏の国立大学にも進める。また、私立大学も、学費や入学金の減免制度を独自に持っています。それを拡充して、国が後押しをする。その際に、特に低所得者に配慮した使い方にする。そして、最後になりますが、専門学校については、私は、職業に直結する専門学校が多いので、あえて言いますと、現在の社会的ニーズが高い分野、それは政治的ニーズが高い分野でもありますが、例えば看護師であったり保育士であったり、そういう社会的ニーズが高いところに進む子供たちについては、入学金、授業料について支援措置を講ずる。
こういう形で、7100億円も予算があるのであれば、第一に、中学、高校段階での学力支援をする、それに3800億円使う。そして、地方の国立大学の授業料、入学金を免除する、これに1700億円。そして、国立、私学、独自に持っている、入学金、授業料の減免制度を更に拡充するための後押しの財源ともする。そして、専門学校については、社会的ニーズの高い分野に限って減免をする。そのことによって、保育士が足りない、看護師が足りないという状況が解消できるじゃないですか。そして、その場合は就
職に困ることもないはずです。この私の三つのパッケージ提案についての大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

○柴山国務大臣
非常に参考になる御意見ではあろうかと思います。ただ、冒頭、委員からも問題提起があったように、これはそれぞれ、教育政策としてはうなずける部分もあるんですけれども、では、消費税の財源7600億円を使う施策としてどうかというと、ここはやはり、消費税の使途というものは社会保障政策限定の用途の縛りがかかっているということもあることから、貧困の連鎖を防ぐという観点プラス少子化対策という意味合いから、今回、真に必要な方への支援ということで、我々、制度設計をしておりますので、あとは、じゃ、消費税以外の財源をどうするかということについては、また引き続きしっかりと検討していきたいというふうに考えております。

○吉良委員
もう時間が来ましたが、大臣、私が最初に大臣に対する質問で言いましたように、今、人手不足含めて、人口減少、少子化というのが最大の国家的課題であって、それに応える最良の方法はやはり教育の充実なんです。それにはもう手段を選ばない。今の姿にこだわり過ぎていますよ。消費税は社会保障にしか使えない。だけれども、2008年から2009年にかけて、それまで子育て支援は社会保障の枠外だったじゃないですか。消費税を上げることを前提に、やはり子育て支援が大事だということで、消費税が使える社会保障の中に組み込んだんじゃないですか。だったら、この文科委員会にいる人たちが、じゃ、教育の予算、子供たちの学力を向上するために消費税も使おうじゃないか、社会保障中、全世代型の社会保障の一環としてこの中に組み入れようじゃないかと言えば、誰も反対する人はいないと思いますよ。
そういう意味でも是非、今回、消費税が財源だからこれにしか使えないという発想ではなく、7100億円、7600億円も使うんですから、本当に国全体で子供たちの学力を底上げする、貧困層も救う、そういう制度にしていきましょう、ということを文科委員の皆さん全員に投げかけて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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