主張・政策論

2008年6月3日

No.028 169回国会「参議院 内閣委員会 18号(答弁)」

⑩平成20年6月3日 参議院内閣委員会(答弁)
○藤本祐司君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤本でございます。
午前中に引き続きまして、国家公務員制度改革基本法案についての質問をさせていただきたいと思いますが、午前中、松井理事の方からかなり詳細な質問があったかと思います。今回の基本法案の中で、新しい言葉といいますか、内閣人事局のことであるとか、その中の組織あるいはその構造をどうするのかということについて、新しいことですので、そこのところについて詳しく質問があったかと思います。また、一括人事、人事管理の一括というところにつきましても、非常に具体的な、そしてかつ明確な答弁もいただいたというふうに感じております。それと、やはり幹部候補育成課程、これも新しい言葉でございますが、ここについても相当突っ込んだ質問があって、更に明確な御答弁をいただいたというふうに思っておりますので、私もちょっとこの三つの点についてもところどころで質問しようかなというふうに思いましたけれども、できるだけ全体ということを考えまして、それ以外のところを中心にまたちょっと質問をさせていただこうかなというふうに思っております。
今回の国家公務員制度改革基本法案、これ全体を見ますと、やはり要するに公務員制度が非常に遅れてしまっていて、民間企業なんかと比べると相当遅い、もう十年、十五年は遅れているんじゃないかと、そういうような議論が多分あったのかなというふうに思っております。このいわゆる制度改革に関しては、政治主導を強めるんだということもありますが、もう一つ、やはり普通のといいますか、民間企業の知恵をいかに活用して、参考にして制度をつくっていくのかということも一つの考え方なのかなというふうに思うんですが、ちょっとこれ通告をしてなかったので、大変恐縮ではございますけれども大臣にちょっとお聞きしたいんですが、これ、元々の政府案を作る際に、民間企業のいわゆるいろんな制度があるんだろうと思いますけど、その辺りの知恵を参考にされたんだろうと思いますが、具体的にどういう点が民間企業と今までの公務員の制度と、もちろん仕事の中身が違うわけですから当然制度が違う部分があるんだろうと思いますが、参考になる部分というのは多々あるんだろうというふうに私は感じておりますが、具体的にどのような、理念あるいは考え方、あるいは具体的な制度で民間の知恵を拝借できる、参考にできるというふうにお感じになった点があれば教えていただきたいというふうに思います。
以上、通告がなかったものですから、大変恐縮ではございますけれども、もし今そこでお答えできるのであれば、ちょっとお答えいただければと思いますが。

○国務大臣(渡辺喜美君) この法案を作る前に有識者の懇談会というものを開いていただきました。これは本年一月までの間、昨年の八月だったでしょうか、かなり突っ込んだ議論をやっていただきました。その中には、公務の経験もある、民間の経験もある、例えば岩田喜美枝さんのような方もいらっしゃいましたし、また民間の経営者であります小島三菱商事社長さんも御参加をいただいております。
まあ民間の方々からいたしますと、公務の世界がちょっと余りにも隔絶し過ぎているではないかという御指摘はかねていただいてきたんだろうと思います。公務の特殊性ということを考えましても、民間と余りにも隔絶している世界というのが、果たして企画立案あるいは法の適切な執行という観点からこのままでいいのかという問題認識は当然あったわけでございます。
そうした観点から、例えば民間においては、借金が積もり重なって返済できないとなれば、これは倒産をするわけでございます。一方、政府は倒産をすることがない、いわゆる親方日の丸である。そういう観点から、どうも公務員にはコスト意識が余りにも少な過ぎるではないかというような御批判もいただいてきたところでございます。そうしたもろもろの観点から、今回有識者懇では御議論をいただき、その懇談会の答申に基づいて今回の基本法案を作成をしたところでございます。

○藤本祐司君 ありがとうございます。突然の質問で済みませんでしたが。
今大臣の中でコスト意識というお話がございました。私も、二十年ちょいですが、民間企業にいたものですから、非常にコスト意識の点でやはり大きなギャップがあるだろうなというふうに感じることが度々あったんですね。
度々あったというのは、私も、前職のときは官僚といいますか、省庁といろいろ仕事をやってきました関係で、その辺りの感覚のずれというのが非常に強く感じまして、よく仕事をやるときに、ほとんど人件費はただみたいに考えているところが多くて、民間企業なんかの場合は、当然、人件費というのはコストでもあるけれども、それをどう生かしていくかという考え方をすると思うんですが、こういう例がありまして、何か一つ仕事を追加、この部分をやってくれと、ただ、この部分について交通費も掛からないし物件費全然掛からないから、ただだからいいじゃないですかという言い方をされることがよくあったんですよ。
これというのは、我々にとって、その仕事をやることによってほかの仕事ができなくなる、いわゆる機会損失が起きるので、ある意味コスト的な要素がある。だから、人件費は、どうせ給料定額でもらっているんだから、このぐらいやったっていいじゃないかぐらいなことはよく言われたんですが、これ、全く人件費をコストとして考えていないという、そういう一つの例だったんじゃないかなというふうにちょっと今お話を聞いて感じたところなんですが。
それともう一つ、大変違和感があったのは、私が仕事をしていたときに違和感があったのは、官僚の方々ってすばらしく記憶力があるんですね。要するに、だれという名前を言うとすべて入省年度が分かるんです。ああ、だれだれは何年入省だというのが分かるんです。これはすごい記憶力だなと初めは感心していたんですが、結局のところ、今回も問題になっておりますけれども、幹部のいわゆる固定化といわゆる横並び昇進という、そこのところがあるものですから、そういうのを覚えておくと、次、自分がどういうポジションになるのかとか、そういうところにきっと気になって関心があったからそういうことを覚えたんだろうと思いますが、我々にとっては、ほとんどそんなこと関係なくやってきた人間からすると、大変これは不思議なところでございまして、そういうところをやはり打破していくということは必要なのかなというふうに今回の基本法案を読みながら、見させていただきながら感じたところでございます。
それで、やはり政治主導というところ、ここのところをいかに強くしていくかというところがありまして、その後は制度設計次第でうまくいくところもあるし、なかなかうまくいかないところも出てくるような気がしておりますので、本日は基本的なところをお聞きした後、制度設計、これからだよというようなことにもなる部分もあろうかと思いますけれども、そこについてちょっとお聞きしたいと思います。
まず、第一条のところで、これ、社会経済情勢の変化に対応した制度をつくることが喫緊の課題であるというふうに書いてあります。これを読むと、そのとおり、絶対否定するところではないというふうに思うんですけれども、先ほど冒頭で申し上げましたとおり、多分民間企業は、早いところでもう一九八〇年代後半から九〇年代ぐらいから人事制度というのを全く改めてきている。それに比べると、何か民間から遅れること十五年、二十年というところで、今になって社会経済情勢の変化に対応した制度をつくることが喫緊の課題であると何か言っていることに対して、正直言ってちょっと違和感がないわけではないというところで、今まで放置していたというふうにとらえるのか、今まで気が付かなかったと、分かっていたけれどもやらなかったのか、全くそういうことを考え付かなかったのかというところについて、大臣の御所見をいただきたいと思いますが。

○国務大臣(渡辺喜美君) 私の記憶では、中曽根内閣時代、そして橋本内閣時代にそれぞれ行政改革、省庁再編がかなり行われたわけでございますが、同時に、公務員制度改革の議論もあったかと聞いております。残念ながら、そちらの方までは手が回らなかったのかもしれません。
小泉内閣においては、平成十二年の閣議決定で行政改革大綱あるいは平成十三年の公務員制度改革大綱などの趣旨を踏まえて制度改革に向けた検討が進んでまいりました。
平成十六年には、与党からの今後の公務員制度改革の取組についての申入れを受けて、関係者、すなわち組合、人事院、各省との間で幅広く意見交換を行いながら法案の取りまとめ作業を行ったところでございます。残念ながら、関係者の調整が十分進まなかったわけで、日の目を見ることがなかったということでございます。
平成十六年十二月の閣議決定、今後の行政改革の方針に基づき、政府としては評価のトライアルを行い、現行制度の枠内でも実施可能なものについて改革の着実な推進を図ってまいりました。
昨年は、御案内のように、能力・実績主義の人事管理を徹底すること、天下りに関する規制を導入することを内容とする国家公務員法の改正を行っていただきました。
これにとどまることなく、今回の基本法案によって人事制度全般の課題についてパッケージとして今改革を進めるものでございます。

○藤本祐司君 ありがとうございます。
最近になって、先ほど、今大臣がおっしゃられたように、人事評価のことも人事院と総務省の方が中心になっていろいろなトライアル、試用をやられているということを承知しておりますので、またそれは後ほど人事評価のところで御質問させていただくときに併せて聞きたいというふうに思いますが、今回も至る所に、第二条とか第五条のところに、いわゆる議院内閣制の下というふうに書かれているんですね。
渡辺大臣も、官僚内閣制を打破して議院内閣制へと転換させるべきであると、それが一つ今回の柱に入っているんだと、考え方に入っているんだというふうにおっしゃっていたというふうに認識をしておるんですが、先日、私が参議院の本会議で代表質問をやっていたときに、官僚内閣制だと言っているのは民主党だけではないかというヤジが飛んできて、ああ、この程度の認識なのかなというふうに私はちょっと思ったんですが。
逆に、その官僚内閣制というものをどういう意味で大臣は使われているのか、そして、それに対して何が問題でそういう官僚内閣制、何が原因で官僚内閣制になってしまったのかと。元々は議院内閣制だったはずなんですね、もちろん。それが変わってしまったということに対しての原因は何だというふうに理解をされているのかということと、今申しましたように、どういうことを官僚内閣制と大臣はお呼びになっていらっしゃるのか。

○国務大臣(渡辺喜美君) 世間でいう官僚内閣制というのは、真ん中に官僚機構があって、国会と大臣を官僚が上手にコントロールしながら動かしていく仕組みのことを言っているものであろうかと存じます。
一方、真の議院内閣制というのは、言うまでもございませんが、国会の多数派が内閣をつくります。内閣は国会に対して説明責任を果たす一方で、内閣の一員たる大臣が官僚機構をコントロールする、大臣の威令を行うと、こういう仕組みであろうかと思います。
今回、議院内閣制という文言が本邦初出場の言葉として法律に出てまいりました。これは空気のようなものであるがゆえに初登場であったのか、はたまた官僚内閣制が続いていたからこういう言葉が法律になかったのか、よく分かりませんけれども、私の理解では、日本の公務員制度が明治の初めにできましたときには、当時の近代国家の最も最先端の制度を導入してつくられたものと思います。身分や門地にかかわらず、能力のある若者が国家の官吏として登用されていくシステムでございました。
この制度が準戦時体制の下で大幅に変容していったのではなかろうかと思います。つまり、政党が否定をされ、政治が排除をされ、究極の官僚主導体制ができ上がったわけでございます。まさにこの一九四〇年体制と言われる官僚主導型体制が、占領下をくぐり抜けて、そのDNAが戦後延々と続いてきてしまったのではないでしょうか。
高度成長期にはこうした統制型のシステムというのは非常に有効に機能したものと思われます。しかし、ベルリンの壁が崩壊をし、世界が一体化をしていく中で、まさにこうしたシステムが相当時代遅れになってしまったのではなかろうかと。改めて原点に立ち戻り、真の議院内閣制の下での公務員制度を目指そうというのが今回の基本法の理念でございます。

○藤本祐司君 ありがとうございました。
それでは、少しずつ具体的なところに入っていきたいというふうに思っておりますが、今、日本が人口減少というところに直面をしておりまして、その中でもし労働人口を維持拡大していくということになれば、よく言われているのは三つの方法しかないと。ある意味、三つの方法があるというふうに言ってもいいと思うんですが、これは、高齢者の方々を活用する、そして女性、そして外国人と。この三つをどうしていくのかということが労働人口の維持拡大ということになってくるんだろうと思いますが、そもそも労働人口を増やしていくことがいいかどうかという議論は別として、この三つがあるんだろうというふうに思います。
本基本法では、国家公務員の定年を六十五歳まで延長することを検討するんだと、言い切ってはいませんが、検討するんだというところが入ったということで、六十五というと高齢者ではないんですが、いわゆる公務員の中では高年齢というところに入るんだろうと思いますが、その高年齢者をうまく活用して、もちろん天下りをさせないという、早期勧奨退職制度というのを廃止するというのが裏にあるんですが、そうはいってもやはりうまく活用していこうという、そこの部分が入っているのかなと。
そして二つ目に、今回修正案の中で追加されたものが、男女共同参画社会に資するというところが入っております。ここのところにつきましては修正案の提案者にお聞きしたいんですけれども、公務員に限らず、こういう民間も含めて、当然、男女共同参画社会というのを目指そうという大きな流れがある中で、あえてここの部分にこの言葉を入れた、そこの趣旨というか意図、それを教えていただきたいと思います。

○衆議院議員(佐々木隆博君) お答えさせていただきます。
男女共同参画の推進については、第二条第六号の基本理念に、今御指摘がありました「男女共同参画社会の形成に資する」という文言で追加をされているところでありますが、政策決定過程への女性の参画の拡大については民主党としてもこれを求めていたところでございまして、今回の基本理念に追加をさせていただいたわけであります。政策決定過程への女性の参画の拡大については率先して男女共同参画社会の形成に資するべきと考えたところでございまして、本法案にあえて「男女共同参画社会の形成に資する」という言葉を入れた次第でございます。

○藤本祐司君 それでは、現状どうなっているのかということを少し、人事院でよろしいんでしょうか、お聞きしたいんですが、今の国家公務員のいわゆる男性女性の比率、これどういう状況になっていますでしょうか。

○政府参考人(尾西雅博君) お尋ねの国家公務員の在職者に占める男女の比率でございますけれども、平成十九年一月現在におきまして、一般職給与法の適用を受ける在職者中の女性の割合は一六・七%ということで承知しております。

○藤本祐司君 これ、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種、その区別をした場合、どうなるか分かりますか。

○政府参考人(尾西雅博君) ただいまの数字をⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種で試験ごとに見てまいりますと、Ⅰ種試験採用職員の場合は、全体で一万五千二十二名のところ女性が千三百六十四名、九・一%でございます。Ⅱ種試験採用者の場合は、全体四万九千七百十名のところ女性が一万五十八名、二〇・二%。Ⅲ種試験採用職員の場合は、十五万八千八百九十九名のうち二万四千八百九十二名、一五・七%でございます。

○藤本祐司君 多分、この国家公務員の女性の比率というのはほかの先進国と比べると相当低いんであろうと。平成十九年度の男女共同参画白書によりますと、上位の役職に占める女性の割合は一・八%ということで大変少ないと。イギリス、フランス、シンガポール、フィリピン、オーストラリア、全体でいうと、上位ということではなくて、公務員の女性比率というのは五〇%を超えているというふうに書かれておりますし、上位の役職者だけ限ってみると、スウェーデンではもう四〇%、シンガポールでは六〇%ということで大変高い。フランスが若干低くて一四%ではあるんですけれども、そういう状況になっていると思います。
制度としてもクオータ制を認めているところなんかも、ドイツなんかあるわけですし、数値目標で、韓国なども女性の登用には数値目標を設けて、非常に積極的だというふうに感じているところなんですが、今回のこの男女共同参画社会に資するというところで、これ具体的に数値目標ということは一回、これ提案者にお聞きしたいんですが、修正案の、これは検討されたのかどうか、ちょっとお聞きしたい。もしそういう目標値があれば。あるいは、その数値目標ではなくても、例えば欧米並みというような、そういう漠とした表現でもいいんですけれども、そういうことは修正の過程で検討なされたかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うんですが。

○衆議院議員(佐々木隆博君) お答えさせていただきます。
政策決定過程の女性の参画の拡大については、男女共同参画社会基本法に規定する男女共同参画基本計画に、平成二十二年において国家公務員の採用者に占めるⅠ種試験の事務系の女性比率三〇%程度、平成三十二年度において指導的地位に占める女性比三〇%程度と定めているわけでありますが、この度の公務員法改正での理念に基づいてこれが実現することを期待をしているものでございます。

○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。
それともう一つ、ちょっとこればかり質問するわけにいかないので、大臣にちょっとお聞きしたいんですが、冒頭で、労働人口を増やすには高齢者、そして女性、そして外国人というところをやはり全体として、公務員という意味だけじゃなくて、日本の労働人口を増やすためにはという話をさせてもらっているんですが、今回、いわゆる内外から優秀な人材を登用しますというような言葉はあるんですけれども、これについて、外国人については検討なさったのかどうか、もし検討したのであればどういう結果になったのかということについて、大臣から御答弁をいただきたいと思うんですが。

○国務大臣(渡辺喜美君) 先ほど申し上げました公務員制度改革に関する有識者の懇談会においては、例えば専門職であれば外国人の登用も可能ではないかというような意見も一部ございました。最終報告書にはこうした観点は盛り込まれてはおりません。基本法についてもこの点については何ら触れておりません。

○藤本祐司君 触れていないということはどういうふうに解釈したらいいんですか。外国人については今回は慎重にならざるを得ないから余り考えることはないよと、そういう解釈でよろしいんでしょうか。

○国務大臣(渡辺喜美君) 十分な検討が行われなかったということで理解をいたしております。

○藤本祐司君 分かりました。
それでは、次に移りますが、第五条、これは修正案提案者にお聞きしたいんですが、「政治主導を強化し、」という言葉が改めて入ったわけでありまして、これに対して私は、基本的には私も評価をするところではあるんですが、先ほど渡辺大臣が議院内閣制のあるいは官僚内閣制の説明をされたときに、考えてみると、議院内閣制ということをきちっとやっていくんであれば、それはニアリーイコール政治主導でやるんだということに多分つながっているんだろうと思うんですね。ですから、わざわざ同じような意味をここで二回、「議院内閣制の下、政治主導を強化し、」というふうに付け加えたということの意味というのが、逆にもっと重い意味が加わってくるのかなというふうに思うわけなんですが。
同じような言葉を二つつなげると、例えば馬から落馬するとかアメリカに渡米するとか、これ同じ言葉なんですけれども、こういうのとは多分意味が違うぐらいの重みがきっとあるんだろうというふうに私は認識をしておるんですが、あえて議院内閣制の下の後に政治主導を強化するという言葉を入れ込んだその思いといいますか、その辺りをちょっとお聞きしたいと思うんですが。

○衆議院議員(吉良州司君) お答え申し上げます。
藤本委員御指摘のとおり、また、先ほど大臣と委員の間でやり取りがありましたように、官僚内閣制とやゆされるような状況が今起こっているという中で、真の議院内閣制を取り戻すという強い決意の表れとして、あえて重複することも含めて盛り込んだものであります。
なお、その具体策として民主党としては、内閣官房副長官、同副長官補、また首相補佐官、それから副大臣、政務官の定数増加ということを主張してまいりました。最終的に今回の修正案の中には盛り込まれませんでしたけれども、政治のリーダーシップを取り戻すのだという強い決意として政治主導強化ということをあえて明記したものであります。

○藤本祐司君 まさにこの基本法の柱という部分がそこの部分だろうというふうに思いますので、今後、この政治主導を強化するということをもう絶対忘れないでこれを進めていただければというふうに思っております。
もう一つ、この第五条のところで、国家戦略スタッフの公募を利用して国の行政機関の内外から人材を登用すると。先ほど松井理事の方からも質問があったんですけれども、ここはなかなか、言うはやすし行うは難しで非常に難しいんだろうなというふうに思いつつも、難しいからといって放置しておく必要はなくて、きちっとやっていくべきだというふうに思っておるんですが。
大臣にお聞きしたいんですけれども、例えば国家戦略スタッフに外から中に入っていただくというような場合に、よくあることは、民間から考えると、大変待遇が、逆に言うと、今まで民間のときよりも落ちてしまうとか、あるいは任期付にするのかどうかとか、あるいは様々な労働条件、勤務条件というのが変わってくるんだろうというふうに思いますけれども、その辺りのやはり柔軟性を持たせていかないとなかなか集まりにくいんだろうなというふうに思っているんですけれども、その点について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(渡辺喜美君) 国家戦略スタッフ等につきましては、今回、特別職の国家公務員としています。公務の内外から公募を活用するなどして人材を機動的に登用していくことが肝心だと考えます。
御指摘のように、民間から募集をする場合、給与その他の処遇の面あるいは退任後の扱いについてハードルがあり過ぎるのではないかという議論は懇談会の議論の中でも出たように記憶をいたしております。
まさに官民の垣根を越えてこうした裏方を強化をしていくことが政治主導をバックアップすることにつながるわけでございますから、国家戦略スタッフ等を有効に活用できるものとするために、給与、処遇、それから退任後の扱いについてそれぞれの職務の特性に応じた適切なものにしていく必要があろうかと思います。

○藤本祐司君 まさにそのとおりだと思うんですが、大臣が最後に、退任後の処遇とか、その辺りについてお話がありましたが、結構今、民間企業というのは、二年とか三年ぐらい、その範囲内で休職をしながら、休職をして外に行ってもいいよと。昔は、留学はオーケーだけど、それ以外は駄目よみたいな話とか、産休はいいけど、ほかは駄目よというような話はあったんですが、最近は割と自由にそういうことができるような会社も少しずつ増えてきたというふうに私は認識をしているんですが、その辺りの民間企業のいわゆる人事制度とか、結構柔軟な動きがあるということは把握されていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(株丹達也君) 先ほど来の話に出てまいりましたように、基本法提出の前に有識者の方に集まっていただきまして、制度懇というふうに称しておりますけれども、いろいろ議論をさせていただいております。
その中で、民間の取組、それから国家戦略スタッフに限っての公募ということではございませんけれども、官と民の交流ということにつきましてはいろんな形でこれまでもやっておりますので、そういう関係の資料などは出させていただいております。ただ、具体的に、民間で例えば休職制度がどの程度にあるかといったところまでの悉皆的な調査までは行っておりませんでした。
ただ、更にもう一点申し上げますと、官民交流の制度、これ、あくまでも別な制度でございますけれども、こういう中で民間から官の方に来ていただく場合に以前は退職をして来ていただくということだけだったんですけれども、民間の方で身分がつなぐというのはちょっと変かもしれませんけれども、民間の方の属した形でありつつも国家公務員として働いていただくというように制度改正等もやってきてございます。
今後も、そういうことも念頭に置きながら、今御指摘のようなことを参考にさせていただいて基本法成立後に更に詳しく詰めてまいりたいというふうに考えてございます。
○藤本祐司君 これもやはり制度設計次第でうまくいくかどうかというのは決まってくると思いますので、余り堅苦しく考えないで、柔軟に考えるということも一つの考え方かなというふうに思っておりますので、どうぞその点は御配慮いただきたいというふうに思います。
それでは、政官接触のことについてお聞きしたいんですが、元々、大臣は、政官、政治家と官僚の接触を禁止するぐらいの強い意向があって、そしてそれを制限すると、そして今回は政官接触の制限条項を削除したと、そういう流れになっているんだろうと思いますが、報道等々では、いろんな意見があって、これが政官接触した理由だというようなことも書かれているんですが、本当のところ、政官接触を制限しておくとどういうようなまずいことがあるのかということを想定されて多分その制限条項を削除しているんだろうと思うんですが、政官接触条項を削除したその理由をお聞きしたいと思います。これは修正案提案者にお願いしたいんですが。

○衆議院議員(吉良州司君) 御指摘のように、修正案では接触制限に対する規定を削除しております。
その意図するところは、政官接触自体が問題ではないと、適切な政官接触による情報交換、意見交換、議論というのは、かえって効率的な政策立案、執行につながる効果すらあるというふうに思っております。
問題なのは、例えば官僚が内閣、大臣の意向に反して、大臣はああ言っているけれども、私ども省益を考えた場合にはですねとか、そういう不適切なロビーイングを官僚がやってしまうこと、また逆に、政治家がよく言われる口利きを通して一種の利益誘導を図るような接触をすること、そういうこと自体が問題だというふうに思っております。
したがって、この修正案では、今言った、かえって適切に行われれば効果あることを残しつつ、不適切なことについては情報公開の徹底ということと透明化の確立ということでその問題点を払拭しようとしたものであります。

○藤本祐司君 考え方としては大変よく分かって、情報公開を徹底して透明化を高めていくという、これはもうそのとおりなんだろうと思いますが、これも制度設計の部分に入ってくるんだろうと思うんですが、政官接触記録を作成する、あるいは情報公開をするという、まあ作成をしたら多分情報公開というところまである意味つながるのかもしれないんですが、記録自体を作成しないと。今いろんなツールで、接触といっても対面で会うだけを接触とは多分言わないんだろうと思いますので、様々な、電話はもちろんのこと、メールとかいろんなことで接触はすることができる、それを第三者には分からないようにすることというのは幾らでも可能なことなんだろうと思います。
人間というのは、いろいろ不祥事がいろんなところに出てくることを見れば分かるとおり、ある意味堂々と出せることは記録に残して堂々と出しますよと、ただ、ちょっと後ろめたいことがあったら、それは接触しなかったことにしておこうじゃないかみたいなところが一対一で相対であればそれは可能なわけですね、物理的にも。
ですから、そのところをどうきちっと担保できるのかというところが、多分これが骨抜きになるかならないかという、そういう瀬戸際のことだという、境目だというふうに思いますが、ここの辺りは今後の制度設計にゆだねるということになるんだろうと思いますが、何か具体的な例があって、こういう場合はこうなんだということがあれば御紹介いただきたいと思うんですが。

○衆議院議員(吉良州司君) お答えさせていただきます。
まず、情報公開させることで本当に不特定多数含めて多くの目による検証、批判がなされることになります。そのこと自体が、そのこと自体というのは、透明性を図ること自体が記録の正確性を一定程度担保するということになるとまず思っています。
ただ、今委員御指摘のように、意図的にこれ、出すとまずいなというようなことで、なかったことにしようというようなことを防ぐある種のリスクマネジメントの一例として考えられるのは、まず詳細設計は、委員御指摘のとおり、これからの議論になろうかと思いますけれども、今あえて一例を挙げてみろということでありましたので一例を挙げさせてもらいますと、まず原則を、会えば必ず記録を取る、取らせるということにするということだというふうに思っております。そして、その際に、その原則を守らなかった場合、又はその記録の内容に、虚偽の記録をしたり、又は管理そのものを適正に行わなかった場合については、懲戒処分を含めた一種の処分をするというような内部統制というものを内規又は具体的な法の中で定めていくということが一案かというふうに思っております。
それと、それは今、制度、仕組みとしてのリスクマネジメントでありますけれども、一方で、恐らく各政治家がやることになると思うんですけれども、やはり己の身を守るためにも、政治家側でも必ず、接触した場合に、接触したこととその記録を残していくということも考えられようかと思います。
それと、あと一点考えられるのは、原則として複数で会うということを定めていくことも一つのリスクマネジメントになろうかと思っております。

○藤本祐司君 ありがとうございました。
大臣におかれましては、この制度設計というのは非常に重要で、本当に情報が透明化で外へ出ていくのか、高めることができるのかという、そこのところは非常に重要なところだというふうに思っておりますので、是非そこのところを詳細な設計をする際には念には念を入れて考えていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移りますが、人事管理の、内閣人事局の一括管理というところについてもちょっと御質問したいと思っていたんですが、ちょっと時間の関係もありますし、先ほど松井理事が詳細にされましたので、そこのところをちょっと飛ばしまして、人事評価のところに移りたいと思うんですが。
この基本法案、基本的にはキャリアシステムをメリットシステムに変えるということが裏に意図があるんだろうというふうに思いますが、国家公務員試験、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種という試験区分を総合職、一般職、専門職に変えましょうということですけれども、現在の国家公務員法においても、その理念、基本的には能力主義であり、実績主義というのはあるんだろうというふうに思っておりまして、つまり今でもⅠ種合格者が優先されて昇格することを規定しているものではないと。現実的にはそうなってしまっているけれども、そういうふうなことを規定しているものではない。
ただ、問題なのが、たった一回の試験で、しかも初任のときにすべてが決まってしまって、その後固定化して横並びで昇進していくということが非常に問題で、つまり、現在の制度であっても人事評価をきちっと行えれば、昇給とか昇進とか降給とか降格とか、それをきちっとやれるんではないかなというふうに私は思うんですけれども、そこで、あえてこの試験制度を変える理由というところで、むしろその制度の問題なのか、あるいは運用とかそういった習慣の問題なのかというような気もするんですが、大臣に、人事評価を入れて政治主導をやるのであれば、あえてここで変える理由というのが明確にちょっと分からなくなってしまうので、ちょっとそこのところについて大臣にお答えいただきたいんですが。

○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘の現行キャリア制度というのは法律に書いてあるわけではございません。しかし、採用試験の段階で事実上幹部候補が固定化され、その後も同期が横並びで昇進していくという人事運用が身分制的であるという批判を受けてきたわけでございます。
今回の基本法案では、御指摘のような総合職、一般職、専門職試験を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備することにいたしております。
昨年の国家公務員法改正による能力・実績主義の導入と併せてこれらの改革を実施していくことによって、まさに採用試験の種類にとらわれず、能力ある多様な人材が能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成され幹部へと登用されていくようになり、現行のキャリアシステムは廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。

○藤本祐司君 大臣がおっしゃったように、やはり人事評価というところがそうなると非常にポイントになってくるんだろうと。それが本当にうまく機能できるか、うまく評価できるかというところも一つのポイントになってくるんだろうと思いますが。
先ほど冒頭で大臣からもございましたとおり、人事院と総務省が共同してというんでしょうか、試行試験といいますか、人事評価の、をやられていると。ただ、それとは別に、今までもかつてからいわゆる勤務評定というのはされていたというふうに認識をしているんですが、総務省にちょっとお聞きしたいんですが、いわゆる勤務評定、それと今回の試行試験、この違いと、もう一つは試行をやられていた人事評価からどんなような知見が得られたのか、これが多分ベースになってその後の人事評価へとつながっていくんだろうと思いますので、その点について御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(藤井昭夫君) まず、従来の勤評と今回の新たな人事評価制度の違いについてでございますが、従来の勤務評定制度というのも、それぞれ評価項目なり評価の基準なんかは作っておったんですが、基本的に、どちらかというと人事当局者側から見た職員の性質とか能力とか、そういう観点からで、何と申しますか、どうしてもやっぱり主観的な要素が多かったのかなと思っております。
今回の新たな人事評価制度というのは、やっぱり客観的な評価に頼るものでなければいけないということ、それから具体的な被評価者の行動、それを評価するものでなければいけないということ、そういう評価基準自体精緻なものとするとともに、やっぱり透明なものであるとか、そういうような工夫がなされているということかと思っております。
二点目の、新たな人事評価制度の試行を通じた知見についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、既に三回試行をやっておりますが、その中で浮かび上がってきた主な課題というのは、やはり一番大きなのは、評価者対象となる個々の職員の職務行動ですね。これはやはり相当広範で様々な多様なものでございます。
例えば、本省と地方出先機関と専門官職の多いセクター、それぞれ業務内容全然違います。それから、同じ組織内であっても局長であるとか課長であるとかあるいは補佐、係長と、それぞれの地位に応じてやはり期待される職務行動という、そういうものは違ってくるわけでございます。
あと、よく言われるように行政というのは、例えば法律とか計画の立案、調整、そういったような業務から、許認可等の審査あるいは企業に対する監督指導と、非常に多様な業務をやっているわけですが、それぞれやっぱり客観的な評価がなされなければいけない。これをどうクリアするかという問題がございます。
それともう一つ浮かび上がってきたのは、評価期間というようなのは一定の期間に限られておるわけでございますが、個々の事務事業というようなのはやっぱり相当長期を要する場合もございまして、評価期間の中では言わば途中の状況にあるということが多いですし、あと結構臨時的な業務というようなのは突発的に起きてくる場合もございます。こういったものをどう評価に組み込んでいくかということが課題かなというふうに思っております。
そういうような問題点を踏まえて、一つは、新たな人事評価制度では、やはり評価シートと申しますか、基本となる評価となる項目とか基準とか、そういうものをまとめたシート、これはできるだけ行政官の種類とかあるいは職務の内容とか、そういったものに対応したきめ細かなものにしていくと、そういう必要があろうということでございます。
それともう一つは、事務事業のプロセスの達成状況と申しますか、最終的な結果だけじゃなしにそのプロセス、プロセスでの達成状況、そういったものを的確に評価していくものにしなければいけないと。 それと最後には、やっぱり何よりも評価する者と評価される者それぞれが、その期間内にいかなる仕事をどの程度達成するかという目標、その目標についての共通認識、それからその評価期間の中でどの程度達成されたかという、そういうことの共通認識、そういったものをやっぱり評価者と被評価者内のコミュニケーションを密にするということで、言わばこれも一つの透明性ということですが、それを実現していかなければいけないというようなところが浮かび上がっているところでございます。
今後は、この夏にも最終的な全職員を対象とする試行、これを実施することとしておりますが、この試行においてもいろいろ知見を求めてそれを制度に反映させるということで、新たな人事評価制度というものの有効性とかあるいは信頼性、これの確保に最大限努めてまいりたいと思っているところでございます。

○藤本祐司君 人事評価というのは当然やらないといけないということは分かっているんですけれども、民間はもう当然のことやっている。しかし、民間企業というのはある意味利益を出さないといけない。そうなってくると、利益がどれだけ上げられることができたのかとか、割と量的な指標というのを入れることができるんですね。ただ、公務員の場合はある意味コストセンター的な要素が非常に強いものですから、なかなか量的な指標というのは入れて評価をすることができなくなると、ほとんどが定性的な評価にならざるを得ない。そうなってくると、恣意性といいますか、そういうところがどうしても高くなってくるということがあるんだろうと思うんですけれども。
大臣、いろんな場面場面でこれは人事評価をすることになっているわけなんですけれども、具体的に中立客観的なこういう評価というのをどういうふうにやれるのかなというのは私ちょっと具体的なイメージがわかないんですが、もし何か具体的なイメージがあるのであればちょっと教えていただきたいんですが。

○国務大臣(渡辺喜美君) 制度の具体的な設計に当たっては、試行を担当いたしました総務省や人事院と連携して検討を進めているところでございます。
公務部門においても、能力ある者が登用され、成果を上げた者が報われるという能力・実績主義は貫徹される必要がございます。そのための人事管理において人事評価は御指摘のように不可欠であります。人事評価制度の検討に当たっては、公務の特性なども踏まえ、先ほど来お話のあるトライアルによる知見も含めて、機能する人事評価制度を目指して具体的検討を進めてまいります。

○藤本祐司君 そうなんだろうと思うんですが、なかなか本当に、具体的に評価シートがどうなって、だれがだれを評価するのか、それが本当に中立性があって客観性があるのかということになると、民間企業なんかと比べると相当難しいんだろうなというふうに思っておりますので、これは今の段階ではこうしますということが多分話しできないんだろうというふうに思いますので、これは今後の課題として、少しまた詳細が分かり次第お聞きしたいと思うんですが。
修正案提案者にもちょっとお聞きしたいんですが、この幹部職員を内閣人事局で一括管理していわゆる適格性を判断しますということなんですが、どうなんでしょう、やはりその情報というのは、各府省からある程度意見を聴いてこないと、内閣人事局で実際に分かるのかどうかなというちょっと疑問が残るんですね。結局、各府省の事務方の意見を聴くとなればそこのところに左右されてしまうのではないか。その点、どのような形で内閣人事局が中立、客観的な人事評価をさせるのか、できるのかということは、先ほどの松井理事のいろいろな、内閣人事局の構造とか、だれを配置するのかというところにもかかわってくると思うんですけれども、具体的にその中立、客観性のある人事評価をどのように行えるのか、あるいはどういう姿勢で行わなければならないのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

○衆議院議員(馬淵澄夫君) お答えさせていただきます。
各府省の意見を結果的に聞かなければならなくなるのではないかという御懸念に関してなんですが、この修正案では、五条四項九号におきまして、適切な人事管理徹底のために、幹部職員及び幹部候補育成課程の対象となる者の人事に関する情報の管理、これを内閣官房にて一元的に行うこととするための措置を講ずるとしております。こうした措置によって、各府省におけるその評価も含めた人事での様々な客観的データ、これを内閣官房にて一元的に管理する。すなわち、そこで十分に基礎的なデータを把握しつつ内閣人事局にて一括管理を可能とすると、このように考えております。
また、資料については、官房長官が、これが把握をし、適切な人事管理を行うことということも、これも期待されるというふうに考えております。
○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。
時間もなくなりましたので、ちょっとどうしても気になる点があるのでお聞きしたいと思うんですが。
話は変わりますが、総合職、一般職、専門職ということで区分をするということなんですが、それはそれでよしとするんですけれども、これ、総合職と一般職、一般職と専門職のいわゆる転換試験といいますか、最初にそういう試験をやりますよね、総合職試験、一般職試験、専門職試験と。それで配置される。その後何年かたって、総合職の人が一般職になりたいとか、あるいは専門職の人が総合職になりたいとか、そういうようないわゆる異動といいますか転換をする、それはどういう形でやられるんでしょうか。

○政府参考人(株丹達也君) これは政府の案を考えておりました立場からのお話でございますけれども、六条に書いてございますように、総合職試験、一般職試験、専門職試験ということで、試験につきましては種類が分かれてございます。
ただ、これはあくまでも採用されますとき、選抜されますときの区分でございまして、その後について、例えばこのポストに就くのはこの職でなければいけないというような意味合いのものというわけではないというふうに考えてつくってございます。それとは別に、幹部候補というものを限られた資源の中で集中的、効率的に育てていくというものとして幹部候補の育成の課程というものが法の中に位置付けられてございまして、そこにどなたが選抜されるのかということにつきましては、基本的に人事評価でもって入る入らないというのが決まってまいると、こういう考え方であるというふうに理解をしてございます。

○藤本祐司君 そうなると、一般職試験で合格をした、総合職じゃなくて、試験区分で。一般職試験で合格をした人がいて、その方が幹部候補になるかどうかというのは人事評価にゆだねられると、そういう考え方なんだろうというふうに思いますが、実際に一般職での試験を受かって入られた方々が、総合職で受かった、パスして入られた方と同じような仕事を実際にはやるということになるんですか。これ、ちょっとイメージが分かりにくいんですけれども。
だから、総合職試験を受かった方と一般職試験で合格された方が入省されたりした場合には、特に分け隔てなく仕事を、業務を分担するということになるんでしょうか。

○政府参考人(株丹達也君) 入った後の具体の人事の詳細につきましてまで基本法の中では触れてございません。 総合職試験、一般職試験と、こういう試験の区分に際しましては、何を重視をするのかということで試験の区分を考えてございまして、例えば総合職試験については、政策の企画立案に係る高い能力を持つかどうか、それだけではございませんで、重視するという表現でございますけれども、そういうところで選ばれた者でございますので、そういうこと、本人の特性も踏まえて具体の配置等はやっていくというふうに理解をしますが、詳細まで基本法で定めておるわけではございません。

○藤本祐司君 基本法で定めていないということは十分承知をしておるんですけれども、実際には、じゃ総合職で入った方と一般職で入った方、専門職の試験で合格して入られた方というのは、特にその仕事の中身については、総合職だからこうだ、一般職だからこうだ、専門職だからこの仕事をやれということにはならないということで解釈するものなんですか。

○政府参考人(株丹達也君) 政府の案のときの考え方でございますけれども、総合職試験について、先ほど申し上げましたように、政策の企画立案に係る能力というのを重視をいたしますので、可能性としては総合職試験の合格者から幹部候補育成課程に進まれるという可能性は高いというふうには思いますけれども、そのほか一般職の試験、専門職試験、更に途中で民間から入られた方などが幹部の方に入っていくということも何ら妨げるものではございませんので、何か最初の段階で今のキャリアのように先が決まってしまうというようなものでは全くないと考えてございました。

○藤本祐司君 これ、修正案提案者も、ここのところはそのまま総合職、一般職、専門職という区分をされていますので、ちょっと解釈をお願いしたいと思いますが。

○衆議院議員(松本剛明君) 御案内のとおり、今のキャリア制と言われるものも試験の区分はございますけれども、中に入ってからは制度上は区分がないわけでありますが、実際の運用でキャリア制というのが実施をされているということでございます。今回も、これ総合職、専門職、一般職ということになっていますが、私どももそれぞれの、民間企業ではそういう職がありますけれども、職として区分をされたものではないというふうに理解をいたしております。
ただ、従来のやはりキャリア制を廃止をするために、一つは試験の在り方を変えるということで従来のキャリア制を廃止するんだという趣旨をきちっと明確にしたいということを考えたことが一つ。他方で、今お話がありましたが、当然、試験の特性がありますから、配置についてもその特性を生かした配置が行われることになるだろうというふうに思いますが、今おっしゃったように一般職で合格をした方であっても最終的に幹部になっていく、専門職で合格をされた方でも幹部になっていく道を開くために内閣で一元管理をし、幹部養成課程、そして管理職、幹部職への登用というのも開かれたものにするということにするのが今回の趣旨であって、結果として現在とは大きく違う運用が行われる道を開いたものではないかというふうに考えております。

○藤本祐司君 これで終わります。
ありがとうございました。

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