吉良からのメッセージ

2016年5月15日

5月13日外務委員会質問報告

一昨日の5月13日金曜日に、外務委員会の質問に立ちました。今回は、安倍総理の欧州各国訪問と日露首脳会談について質問をしました。

以下では、当日の質問内容と、時間の関係で充分言い尽くせなかったけれども、本来主張したかった内容とを織り交ぜて報告します。

1.日露首脳会談

(1)北方領土の平和的解決に向けた「新しいアプローチ」の内容について質問し、「日露双方とも、歴史的解釈、法的立場の違いはあるが、領土問題の解決と平和条約締結すべく、これまでの交渉の停滞を打破し、突破口を開くため、双方に受入れ可能な解決策の作成に向け、今までの発想にとらわれない『新しいアプローチ』で、交渉を精力的に進めていくとの認識を両首脳で共有し、日露二国間の視点だけでなく、グローバルな視点も考慮に入れた上で、未来志向の考えに立って交渉を行うことになった」ことを確認。

(2)今後の交渉において、北方4島の日本帰属が確認されることを最優先すること、言い換えれば、それが確認されれば、他の条件は柔軟に対応する方針であることを確認しました。

この方向性で進めるべきだと吉良州司も考えます。

2.英国のEU残留か離脱かの国民投票についての安倍総理の言及について

(1)現在進行中の米国大統領選挙において、共和党トランプ氏と民主党クリントン氏のどちらが、わが国にとって望ましいか、の言及を政府が避けようとするのは当然のこと。それなのに、何故、英国のEU残留か離脱かの国民投票という英国にとっての国民的選択の是非につき、安倍総理が「英国民が決めることであると前置きした上で、日本の国益の観点からはEU残留が望ましい」と一歩踏み込んだ発言をした真意について批判を込めて質問。

(2)「わが国企業の英国進出は、英国をEUのGatewayと位置づけていること」を英国側に伝えることで婉曲にわが国の立場、国益を伝えるのが上品な外交であり、これまでのわが国の外交方針であるはず、と主張。

(3)安部総理は「自分は強いリーダーだ」と披露したがる性癖が一線を越えた発言をさせてしまう、と懸念表明。

3.安倍総理の欧州歴訪と首脳会談(伊、仏、ベルギー、EU、独、英)について

(1)議長国日本として、G7伊勢志摩サミットにおいて、「世界経済についてG7の結束と力強いメッセージを示したい」「世界経済を再活性化のため、G7には、構造改革の加速化に合わせて、機動的な財政出動が求められている」(対 伊)「世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引のため、機動的な財政政策により効果的に需要を創出する必要がある」対 仏)と持ちかけ、伊と仏からは賛同を得られた模様だが、独からは「財政出動において自分はフロントランナーではないが、金融政策、財政政策及び構造改革を同時に進めていくこと、民間投資喚起が重要である」、英国からは「金融政策、機動的な財政出動、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく協力して進めていくことが重要」と切り返えされており、外交辞令的反応も考慮すると、必ずしも「機動的財政出動」には賛同していないと理解される。

(2)世界経済の現状について質問し、現世界経済は中国経済の原則や資源価格の低迷等により緩やかな回復をしているが充分ではないことを確認し、その世界経済をG7の財政出動によって回復できるのか疑問であることを提示。

(3)「我が国は時代環境が変化したにもかかわらず財政出動を重ねたことで、一千兆円超の借金をつくってしまい、それでもその効果はなく今失われた20年が継続しているのではないか、そのようなわが国の時代遅れの失敗事例、失敗手段を世界のリーダーの集まりであるG7の会議の俎上に載せようとするのか」と怒りを込めて問題提起しました。

(4)私論ながら、安倍政権は参議院選挙を前に財政出動によるばら撒きを「G7のお墨付きを得た」として堂々と公約として掲げたい、且つ消費税増税再延期の口実に使いたいのだ、としか思えません。そのようなわが国のお家事情のために世界を、世界のリーダー国を巻き込んでいいものか、激しい怒りと大いなる疑問が湧き上がり、一連の批判を込めた質問となりました。

吉良州司

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