吉良からのメッセージ

2019年11月3日

南アフリカ優勝おめでとう!ラグビーワールドカップを終えて!

10月20日から好試合の熱戦を繰り広げてきたラグビーワールドカップが、昨日、イングランドを破った南アフリカの優勝で幕を閉じました。

南アフリカ!優勝おめでとうございます!

南アフリカに対しては、日本中の熱烈なファンから日本の分まで頑張って優勝してほしいとの期待の声が大きくなっていましたので、本当に嬉しく思います。また、準々決勝で敗れた日本の面目も保たれた格好になりました。南アフリカ!ありがとう!

これまでの優勝チームは予選、決勝トーナメントで一度も負けたことがないチームだけでした。今回初めて予選の初戦でニュージーランドに敗れた南アフリカが優勝するという新しい歴史をつくりました。ニュージーランドは南アフリカに勝ち、イングランドに負ける。イングランドはニュージーランドに勝ち、南アフリカに負ける。南アフリカはイングランドに勝ち優勝したが、ニュージーランドには負けた。まるで、じゃんけんのような関係のチームが、優勝、準優勝、3位となったのは面白いですね。

南アフリカの勝因は(実況中継で何度も言われていましたが)何と言ってもフィジカルの強さです。あんなにも身体的に強い大男達が、あれだけ前に出て、常に攻撃的なデイフェンスを仕掛けると、相手の攻撃もその早い出足のデイフェンスに阻まれてゲインラインを突破できず、陣地をかえって押し返されてしまいます。日本チームも残念ながら、これによって負けてしまいました。昨日の決勝でもイングランドがこのパターンで負けました。イングランドにとって気の毒なのは、このことに加え、フォワードの要であるプロップ3番のカイル・シンクラー選手が開始早々3分に怪我で退場したため、スクラムで押し負けてしまい、何度もスクラムでペナルテイーをくらったことです。この退場がなければ、もう少し違った展開になったかもしれません。

南アフリカの優勝インタビューでは、キャプテン・フランカーのシヤ・コリシ選手が、「私たちは本当に南アフリカという国に感謝したい。違ったバックグラウンド、人種、そういう物を背負いながら1つのことを達成するためにやってきた。そしてそれができることを証明することができた。」と発言していました。国に戻れば、制度上は撤廃されているものの、現実問題としては人種差別が色濃く残る国情です。しかし、このワールドカップでは白人選手も黒人選手も一緒になって戦い、勝利してともに抱き合い、観客席では白人も黒人もなくハグして喜んでいました。シヤ・コリシ主将をはじめ南アフリカの選手たちがお国の人々に見せたかったのは、この姿だったのではないでしょうか。「違ったバックグラウンド、人種、などを超克した」結果として、ラグビーボールのようにもぎ取った、何事にも代えがたいトライだったと思います。世界中の人々、特に子ども達に夢を与えてくれてありがとう。

ワールドカップの終わりに際して、こころの底からお礼を言いたいと思います。

日本中を熱狂の渦に巻き込み、日本中に感動と夢を与えてくれた日本チームの選手のみなさん。素晴らしい熱戦と紳士なラグビー精神を日本のファンに見せてくれた各国の選手と関係者のみなさん。特に、釜石市において被災地、被災者をボランティア活動で助けてくれたカナダチームのみなさん。どの国のチームや選手たちにも熱烈な声援を送り、その健闘を讃える惜しみない拍手を送り続けてくれた日本のみなさん。日本を訪れてくれて、日本開催のワールドカップを日本のファンと一緒になって盛り上げてくれた世界各国のみなさん。縁の下でワールドカップを支えてくれた大会関係者とボランティアのみなさん。そして、テレビで日本開催のワールドカップを見てくれた世界中のラグビーファンのみなさん。

最後に、日本の観客のマナーのよさをはじめとする「日本のおもてなしのこころ」を世界中のラグビーファンが感じてくれて、日本を好きになってくれたのではないか、また、にわかラグビーファンを含めて、日本のラグビー熱が一挙に何倍、何十倍にも高まったのではないか、このワールドカップを契機として、ラグビーが国民的人気スポーツに高まり、日本の子ども達の憧れとなり、深く日本のスポーツ文化に根付いてくれるのではないか、ということを強く信じたいと思います。

日本開催のラグビーワールドカップの成功おめでとう、そしてありがとう!

4年後のフランス大会を目指して、頑張れ!ニッポン!

吉良州司