社会保障と税の一体改革の実現 <シリーズその3>
本来なら、今回のメルマガは、マニフェストについての見解をお伝えするはずでしたが、内容を変更させて戴きます。申し訳ありません。元々は「社会保障と税の一体改革の修正案の合意と衆議院での可決が今会期内にできるかどうか」について、私がどのように考えているのかをお伝えするつもりでしたが、支援者メールへの回答を優先してシリーズを開始してしまいました。しかし、修正に関する民主、自民、公明3党の実務者協議が合意に達しており、各々の政党における党内手続きに入ったこともあり、元々の趣旨に対する見解を先にお伝えさせて戴きます。
1.三党合意を支持する
まず結論から言えば現在の3党合意案を支持します。この合意案は、社会保障面では民主党マニフェストで掲げた最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止などは、有識者と国会議員で構成する「社会保障制度改革国民会議(以後「国民会議」)に今後の議論を委ねることとなり、「撤回」は回避することができました。税制面では、民主党案通り現行消費税率を2014年4月に8%へ、2015年に10%へ引上げること、高額所得者への課税強化や相続税の課税ベースの見直しなどの税制改正は、25年度税制改正論議に委ねること、また、低所得者対策としての給付金の
実施などが合意されました。
この合意案に対して、「増税先行」「問題先送り」「民主党マニフェストの後退」など、様々な反対論が党内でも展開されています。確かに民主党だけの立場からすれば100点満点にははるかに及ばない合意かもしれません。
しかし、衆参真正ねじれ状況の中で、「国の意思決定に責任を持つ主要3政党」が、たとえ一部を先送りしたとはいえ、上記の合意に達したことは「決められる政治」「物事を実現できる政治」を強く望む国民の期待に応える大きな第1歩だと思っています。
合意に至るまでの私の見解は、衆参真正ねじれの中、自民にも公明にも各々立場・主張があることを考えれば、最低保障年金と後期高齢者医療を国民会議に議論を委ねることにより、それ以外の消費税率引上げ、所得税法、相続税法の改正、低所得者対策については自公が民主案に同意してくれることがベストと思っていました。
更に本音を言えば、最低保障年金も後期高齢者医療の廃止も完全撤回を求められ、それでも諸情勢を勘案すれば、それを飲まざるをえないと考えていました。それだけに、撤回を回避でき、国の意思決定に責任を持つ政党を中心とした「国民会議」で引き続き検討できるようになったことは快挙だと思っています。3党の交渉実務者に心から敬意を表したいと思います。
2.決められる政治の実現
上述しましたように、民主党の立場からすれば100点満点には及ばないかもしれません。しかし、衆参ねじれ下の政権与党として、自分の主張だけを貫こうとして結局参院で否決され、「姿勢」だけは示したが、結果は全く
物事が動かせないよりは、0.6歩、いや0.4歩かもしれないけれど、少しでも物事を前に進めること、つまり「決める政治」「決められる政治」を優先すべきだと思います。
それに「一部先送り」との反論もあると書きましたが、これからの時代は「政権交代」が当たり前になってきます。その際、社会保障のような数十年、100年の継続的な安定・安心が担保されなければならない制度が政権交代の度に変更されていては「安心」はもたらされません。その意味で、国家の意思決定に責任を持つ政党を中心に、中長期にわたる社会保障制度のあるべき姿につき議論を重ね、合意形成する、そしてそれは安易に覆さない仕組みを創ることこそが重要で、決して「先送り」と否定的に捉える必要はないと思います。
この合意を契機に、これまで中々決められなかった国家的課題について「決められる政治」を実現すべく、党派を超えて合意形成する仕組みを(たとえそれが連立や政界再編の形を取ろうとも)作るべきだと思います。
3党合意には、議員定数の削減、更なる行政改革の徹底、成長戦略の実行によるデフレ脱却と成長回復を3党が協力して実行することを盛り込むよう強く主張するつもりです。
これから、民主党内の「3党合意」了承取り付けの全議員対象会議が開催されます。私は勿論、了承、賛成の立場で臨みます。