吉良からのメッセージ

2019年11月15日

文部科学委員会にて給特法改正案の質問に立ちました

一昨日11月13日、文部科学委員会にて給特法改正案の法案審査の質問に立ちました。当該改正法案は、教員の「働き方改革」を給特法の改正により推進しようとするものです。

この働き方改革の目的は、『現在の教師の厳しい勤務実態を踏まえ、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること』です。

1971年(昭和46年)に公立学校の教員の給与について定めた「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(略称「給特法」)は、『教員の仕事は勤務時間の管理が難しいという特殊性を考慮し、休日勤務手当や時間外勤務手当などを支給しない代わりに給料月額の4パーセントを教職調整額として支払うこと』を定めています。

確かに、教師の仕事は、仕事と仕事外とを明確に分けることが難しい面があり、睡眠中以外は四六時中生徒のことや授業のことを考えている教師も多いと思います。よりよい授業を行うための授業研究や準備、それを学校でやる場合と自宅でやる場合、放課後に担当するクラスの子どもの悩みを聞くこと、朝、生徒が登校する際に、生徒の一日を明るく元気にしてあげようと、校門に立っておはようと声かけすること、保護者のクレームへの対応、中学教師による部活指導など、どこまでが義務的な仕事で、どこからが自発的自主的仕事なのか、明確にわけることは難しいと思います。

それゆえ、法律が成立した当時の平均残業時間が月8時間だったことから、月額給与の4パーセントの「教職調整額」が「本給」扱いで支給されることになりました。「本給」扱いですから、期末手当や退職金、年金にも適用されます。一方、4%分の教職調整額を支給する代わりに、8時間以上の残業に相当する仕事をしても「残業代」は一切支払われません。昭和46年当時とは時代が大きく変わり、教員の長時間勤務が常態化した結果、今や、この仕組みは実態と合わなくなったと指摘され、「定額、働かせ放題」制度だと批判されています。

そこで、給特法改正により、法的拘束力をもつ文部科学大臣「指針」を出すことになっています。指針内容は、長時間労働(残業に相当する仕事)の上限を定め(月45時間、年360時間)、学校における教師の業務を適正化し、教職員定数の改善や外部人材の活用など、学校における条件整備を行うことにより、教職員の健康と福祉の増進を図るとしています。

また、教師の勤務状況は、新学期が始まってからの4月、5月などに行事が集中する一方で、夏休み時期は閑散期と見做され(実体は中学などの部活動指導など、決して閑散期ではないが)、4月や5月に多くなると思われる残業時間相当時間を「貯金」ならぬ「貯時間」しておき、夏休み時期などに、「時間を引き出して」休日を「まとめ取り」することを可能にする「1年単位の変形労働時間制」を各地方公共団体の議会が「条例」によって定めることができる、としています。

本日のメッセージは、給特法とは何か、今回の改正の目的は何か、など、質問を理解して戴くための予備知識をお伝えしているだけですが、次回以降で、どのような問題意識を持って、どのような質問をしたか、などをお伝えしたいと思います。

以下では、質問通告に当たる「質問要旨」を下記しておきます。

吉良州司

2019年11月13日 文部科学委員会 質問要旨

1.給特法改正案について

(1)給特法改正案の真の目的は何か
(2)真の目的を達成するための本気度
(3)「上限ガイドライン」、「学校・教師の業務の適正化」、教職員定数の改善、外部人材の活用などの「学校における条件整備」を必ず実現するための担保は何か
(4)1年単位の変形労働時間制(休日のまとめ取り)のメリットとデメリット、または、懸念要素をどう認識しているか
(5)上記(4)につき、デメリットや懸念を軽減する具体策
(6)上記(4)につき、メリットを増幅させる具体策
(7)教員にとっての学校夏季休暇の位置づけの認識を問う
(8)教員の働き方改革につき、厚労省、総務省、内閣府、経済産業省はじめ、国全体で取り組む必要性について(酷暑が続く昨今のわが国における7月末、8月の学校をはじめとする国民の過ごし方の検討)
(9)少子化時代における教員の魅力を増すための具体策

要求大臣 萩生田文部科学大臣