道路特定財源を巡っての攻防
皆さんこんにちは。
先週の国会は、話題の道路特定財源をめぐって大荒れとなりました。道路特定財源については既に多くの報道がなされていますので詳しくは触れませんが、道路特定財源は、元々法律に規定されている税率だけでなく、あくまで「暫定措置」としながらも、これまで1974年から33年ずっと「租税特別措置法」という法律を毎年1年ずつ延長し、税率を本来の税率の約2倍に上げてきました。道路のためとして、新規道路の建設や既存道路の維持点検に使われるほか、本州四国連絡橋公団の有利子負債の清算に利用されたこともありましたし、最近では路面電車の整備や、いわゆる「開かずの踏み切り」を立体交差にする工事などにも使われています。また、実際には使われませんでしたが国鉄清算時に巨額の赤字を補填する検討がなされたり、昨今明るみに出たように、これまで国土交通省の職員宿舎や人件費、福利厚生用のスポーツ用品の購入などに使われたりもしてきました。
社会保険庁が年金を不必要な宿泊施設グリーンピアなどの建設や、職員の福利厚生のための備品購入に流用し続けてきたのと全く同じ構図がここでも明らかになりつつあるようです。
与党はこういった現状はさて置いて、「つなぎ法案」(議員立法)といわれるウルトラCを使ってまで1月月内に衆議院通過(=年度内成立確実)を図って、租税特別措置法の効力を維持するための担保を確保しようとしましたが、結局は野党の強硬な反対に遭って衆参両院議長の斡旋を受け入れました。野党のやり方も決してほめられたものではありませんが、結論ありきの与党のやり方も無理があり過ぎました。今回与野党の「合意」文書には、予算案などについて年度内に徹底した審議を尽くして「一定の結論を得るものとする」という内容が盛り込まれました。道路だけにそんなに時間を費やせるかという声もあるかもしれませんが、これから10年で59兆というような巨額の予算を充てようとするものです。これを道路だけに充てるのか、他のことにも使うのか、まさに抜本的な議論をして「日本の優先順位」を考えていきたいと思います。
吉良州司の道路特定財源についての考え方
メルマガ「与党の『暫定税率つなぎ法案』提出について」(2008年1月29日発行)
メルマガ「道路特定財源問題について」(2008年1月31日発行)