通常国会の閉会にあたって
| (編集部より)2004年の1月から始まった通常国会は、吉良州司にとって最初の本格的な国会となりました。吉良は、無所属ながら、予算委員会に所属し、質問にも立ちました。会期終盤には、国会議員の国民年金保険料未納・未加入問題が吹き荒れました。 |
みなさん こんにちは。 吉良州司です。
本日6月16日をもって第159回通常国会が閉会しました。私にとって初めての本格的な国会は、いわば『永田町の常識』なるものを初めて体験したものだったとも言えます。「永田町の常識は、世間の非常識」とも言われます。生涯国民の側に身を置く覚悟で、この国会に臨んだ私の率直な感想は、「やっぱり、国会はおかしい」というものです。『永田町の常識』と対峙した150日間の一端をお伝えします。
国会で私が所属したのは、政界の論客が集まる予算委員会です。ところが、ここでの審議には、本当に国の重要な予算を審議しているのかと何度も疑問を持たされました。一部には、問題の核心に触れる真摯な議論があったことも認めた上で、多くの野党議員の質問は揚げ足をとったり、重箱の隅を突付くものだったといわざる負えません。ほとんどの与党議員の質問は、政府をヨイショするばかりで中身はありませんでした。
そんな中で、私は2月に初めての委員会質問を行いました。残念ながら総理は出席しない一般質疑だったのですが、約一時間の持ち時間に、年金、ODA、国家財政などについて、議と議を戦わせる論戦を挑みました。その評価については、みなさんの判断にお任せするしかありませんが、私の質問を受けた坂口厚生労働大臣が、思わず「真正面からの質問ありがとうございます」と襟を正したのは印象的でした。
そして先日、まだ記憶に新しい年金法案の参議院通過に際して繰り広げられたドタバタ劇は、はっきり言って異常です。政府が出してきた法案には問題が数え切れないほどあります。しかし、それに対して野党はあのようなやり方でしか対抗できなかったのでしょうか。議場内で乱闘の末負傷。確かに党内では名誉の負傷かもしれませんが、一歩外に出て同じ事をしたらすぐに暴行罪で逮捕されることでしょう。
それを自慢げに誇る、あるいは称えるなど論外です。選挙で多数を取れなかった野党が実力行使をしたら、これは議会制民主主義の否定になってしまいます。与党が間違っていると思うのであれば、なぜその真実を国民に切々と訴えようとしないのか。私には野党が見ている方向が国民でなく、依然として政府与党だとしか思えません。
その日、同時に衆議院で行われた厚生労働委員長の問責決議案に、多くの野党議員が牛歩戦術に乗ってゆっくりと投票をする中、私は急ぎ足で投票を済ませました。
21世紀、日本の舵取りに重要な意味を持つ今国会は、多くの問題を積み残したまま閉会しました。今国会についての審判は、7月の参議院選挙で下されることになります。いつまでも『永田町の常識』がまかり通るままの国会では、21世紀の日本は切り開けません。『永田町の常識』を『国民の常識』に変えるための特効薬は、政権交代しかないという思いを強く感じています。そのために、今国会で私が行動を伴にした民主党に、敢えて苦言を呈しました。
民主党は、多くの国民に理解を得られた年金一元化法案のように、きちんとした中身のある政策を掲げ、また明確な国家観、ビジョンを掲げ、本当に政権を担える政党として国民の前に現れなければなりません。外からこの政党に鞭をいれ、本当に国民のために働ける政党にすること、政治に喝をいれること、多くの課題を発見・認識し、それらを克服するための闘志を新たにした国会でした。
吉良州司