代表質問と首相答弁

(編集部より)2006年9月、安部晋三首相は第一次安部内閣を組閣し、「美しい国づくり内閣」と命名しましたが、2007年9月、一年を待たずに辞任することになります。安倍首相の甘さとともに、民主党の課題も端的に提示したメルマガです。

みなさん こんにちは。吉良州司です。

昨日は、安倍晋三新総理の所信表明についての所見を述べました。

本日は、代表質問と首相答弁についてです。

代表質問は鳩山由紀夫幹事長が先頭バッターとして、首相の哲学や歴史観などを問いただそうとの意図を持った質問であったと思います。また、松本剛明政調会長は個別政策の中身についての首相の明確な方針を聞きただそうとする質問であったと思います。

二人とも、常日頃から明確な哲学を語っている方々なので、昔のような野党野党した批判だけの質問ではなく、自らの信念を語りつつ首相に迫っていたと思います。

安倍総理は、今回もまた所信表明演説と同様、官僚作成答弁書丸読みに終始し、明快さや「美しい国」をイメージできるような内容の話は一切ありませんでした。マスコミの方々がよく私の事務所を訪れてくれますが、みなさん、「物足りない」「小泉さんと比べて頼りない」「自分の言葉がない」等々、柔らかな批判トーンが増えてきています。

本日の代表質問で面白かったのは、伊吹文明文部科学大臣が、全く答弁書に目を落とさず、終始議場の議員の目を見ながら答弁したことに対し、野党を含めてものすごく大きな拍手が起こったことでした。これは官僚答弁書丸読みの安倍総理に対する痛烈な批判であり、私も「自分の言葉で語ってよかった!」とエールの野次を飛ばしました。自らの言葉で語るリーダーであってほしいと思います。

一方、昨日の民主党の代表質問です。欲を言えば、やはり民主党はどういう国家にするつもりなのか、という一番肝心なビジョンを提示すべきだったと少し残念に思います。

私は常々、「生活者の視点に立った政治」(vs 供給者の論理に立った政治)「地域主権型の国」(vs 官僚主導中央集権国家)が、自民党と民主党の一番大きな違いであると訴え続けています。

今、実は語らなければならないことは、年金・医療をどうするのか、特に民主党は「高福祉高負担」と受取られる主張を繰り返していますが、それならば、政府に消費税をいつ上げるのかを質問する前に、民主党としての歳出削減策と税制改革の方向性、それに伴う消費税についての方針を提示する必要があったのではないか。

また、財政再建は借金が増えるのをやめるだけでは解決策になりません。子孫への付けを減らす為には、どうやって返済していくのかという具体策が必要です。

また、地方分権、地域主権については最短で50年、最長で140年(明治以来現在までの年数)の都道府県や市町村間の現時点での財政格差を調整するための財政調整機能が必要だと思っています。但し、その調整期間が終了した後は、中央に対しては勿論、他の地域にも依存できない仕組みが必要です。この間に独立自尊の、自分の足だけで立てる地域を創らなければなりません。その為には、課税自主権を含め地域のことは地域で決めていける仕組みが必要だと考えていますが、これらの点も含め、新しい時代の国のあり方を示す必要があると思っています。

国会が始まりましたが、今国会中は上述した国のあり方について、具体的ビジョンとその実現の為の政策を勉強していくつもりです。

みなさんからもどしどしご意見を戴きますようお願い申し上げます。

吉良州司