高市早苗自民党総裁誕生に思う

昨日の自民党総裁選挙で高市早苗新総裁が誕生しました。
国家運営、政権運営、外交を任せられるのは林芳正候補か茂木敏充候補のどちらかだと思っていましたので、高市氏が総理になった場合の国家運営、外交の懸念は尽きません。
高市総裁が総裁選挙中で訴えていたことで気になることは、国民民主党との連立を意識してのことだと思いますが、積極財政を掲げ、野党の掲げる財政ポピュリズムに同調していることです。
勝利した高市氏だけでなく、他の総裁候補者もみんなそうですが、否、野党を含むほぼ全ての政党の主張がそうなのですが、「政策」というと、政府が国民に対して、現金給付をする、補助金を出す、減税をする、といった具合に、国民にとって「政府が」「あの政党が」こうしてくれたから自分たちの暮らしがよくなった、と「恩」を売れる政策のオンパレードです。本来、国家・国民のためになる政策であれば、それだけでいいはずです。しかし、現実の政策は、その政策を掲げ、実現することによって、政府への支持や政党への支持が上がることしか選択していないように思われます。その結果、ほぼ全ての政策が「財源」を必要とする政策になってしまいます。

少し、抽象的な説明が続いてしまいましたが、私がお伝えしたいことは、今の国民の切なる願いは、生活を苦しめる進行中の物価高を抑えてほしい、そして、暮らしがよくなるように経済を浮揚させてほしいということだと思います。

その最も効果的な政策は「財源」を必要としない「金利を正常化させること」だと思います。段階的に日銀金利を引き上げること、そして、日銀が保有する国債やETFなどを少しスピードを上げながら放出するなど、アベノミクス時代に始まった「行き過ぎた金融緩和」を是正していくことだと思います。

金利が正常化される(金利が上がる)ことにより、2000兆円ある金融資産から金利収入が生まれます。マクロ経済上の国民可処分所得が増えますので、消費も活発化して、経済が上向くことが期待できます。特に、社会保障費用の現役世代負担が加重になってきている現在、「持たざる現役世代」が「より多くの金融資産を持つ高齢者世代」を支え続けることへの矛盾を解消しながら、現役世代の負担を軽減し、可処分所得を増やすことができます。全金融資産の63%を60歳以上の高齢世帯が保有していますので、金利を上げて一番可処分所得が増えるのが高齢者世帯です。その金利収入に一定の税を課して、その税でもって「持たざる高齢者世帯」の支援に回すという「老々介護」ならぬ「老々支援」の制度を創るべきだと思います。金利を上げることはたとえ、金利収益の一部を納税して「持たざる高齢者世帯」に分配することになっても、「持てる高齢者世帯」の可処分所得自体は確実に増えるのです。何よりも「老々支援制度」によって、持たざる現役世代から持てる高齢者世代への仕送りという矛盾を解消しながら、子育て真っ最中の世帯が多い現役世代の社会保険料負担を軽減することができるのです。

そして、金利を上げることにより行き過ぎた円安が正常化され(適度な円高に向かう)、国民の悲鳴ともいえる「物価高」を抑制することができます。何故なら、現行の物価高の最大の原因は輸入物価の高騰、輸入インフレだからです。

輸入物価高騰を野放しにしておいて、物価高に苦しむ国民を支援するといって、給付金を渡す、減税をする、といった政策は将来世代への負担を大きくするだけです。対症療法ではなく、物価高の根本原因である行き過ぎた円安を解消することが本筋です。
もちろん、金利を上げることの懸念材料はあります。
借金だらけの国家財政がより厳しくなる(国債の金利払いが膨らんでしまう)こと、企業の資金繰りが厳しくなり、新規の設備投資や研究開発が低迷する可能性がある、住宅ローン金利が上昇する、日本経済のけん引役である自動車産業、その自動車ローン金利が上がり、車の販売台数が落ち込む可能性があるなど、例を挙げればきりがありません。
もちろん、住宅ローン金利に対する補助は採用すべきですが、国家財政上の国債金利負担の上昇については、金利が安ければ、国・国民の現在・将来のために本当に必要なのか、という厳しい査定がないまま、政治上、業界団体や支援者に恩を着せたいがための予算が温存されたままになってしまいます。
企業の側に立っても「ゼロ金利」でないとやっていけないという企業は、従業員に充分な賃金も払えない企業でしょうから、これだけ人手不足の今、必要とされなくなってくると思います。

高市さんの総裁就任とその主張から吉良州司の物価高対策論と経済浮揚論を展開するメルマガとなってしまいました。国民に「恩」を着せない政策、ありがたく思われない政策であっても、結局は国民の暮らしがよくなる政策、財政出動しなくてもきちんと結果が出る政策の実行を訴えていきます。

吉良州司