国民生活センターに視察に行ってきました
みなさんこんにちは。
先週8日、吉良州司は国民生活センターに視察に行ってきました。内閣委員会で、国民生活センターに関する法案が提出されるのを前に、民主党の内閣部会や人権消費者部会のメンバー声がかかったのですが、ご存知のように吉良州司は民主党「次の内閣」の内閣府担当副大臣でもあり、商社時代からやはり「現場」を見ることが重要だと考えてきたことからも今回の視察に加わりました。
常々「供給者の論理にたった政治」から「生活者、消費者の論理にたった政治」への転換を訴えている吉良にとっても、この国民生活センターのあり方は、重要なものです。今回11日に委員会にかけられた法律案は、国民生活センターに、消費者紛争の解決のためのADR(Alternative Dispute Resolution-裁判外紛争解決制度)機能を追加的に付与しようというものでした。一見すると体制整備が進み、非常にいいことのようにも見えますが、実はこれまでも消費者紛争を消費者と事業者の間で仲裁斡旋をしてきた国民生活センターに対して、この法律案は屋上屋を重ねるようなものになるのではないかと考えています。
国民生活センターで理事などから現状についての説明を受ける
現場を見て分かったことですが、職員117名のうち、全国からの相談の直接の窓口となる相談員は、一人もいません。実は、相談員は、消費生活専門相談員の資格を持つ人などを定員外の非常勤職員として採用しているのです。しかもその人数は、何十人もいるのではなく、現在は5、6名(一日当たりでいえば2~4人になるそうです)であり、全員が毎日出勤をしているわけではありませんので、通常開けている相談用の電話回線は、わずか2~4回線ほどだそうです。説明の担当者からは、国民生活センターは、全国の消費生活センターからの二次相談(経由相談)に特化するという動きが一時あったためという説明を受けましたが、その経由相談のコーナーにさえ、やはり職員はそのとき6、7名ほどしか見当たりませんでした。一方でそれらの相談員が受けた相談に対して回答をする補助者や、広報、研修等のほかの部門を含めた管理部門の人員は117名となります。私たちも、「全国で唯一つ、行政機関として消費者問題を専門的に取り扱う国民生活センター」といわれればもっと相談員たるオペレーターがたくさん、ひっきりなしに電話を取って相談に応じているようなイメージを持っていましたが、そのイメージはあっさりと消え去りました。
国民生活センターの相談員の活動の様子を視察
実際に現場を見た得た結論は、「国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うことを目的とする」(独立行政法人国民生活センター法第3条)センターであるのに、①相談受付の間口が極端に狭い。②現在の体制を改善すれば、本来の相談機能、仲介斡旋機能の強化も可能になる(=屋上屋を重ねるような法改正をしなくても済むのではないか)ということでした。また、職員は平均年齢42.9歳で、平均給与820万円以上(国家公務員の一般事務職の1.2倍であり、センターは、相談、調査研究等の業務の達成のためには高い知識が求められていることを、この給与水準を設定している理由として説明しています)で、一方の相談員は、ある調査によれば67%以上が年収200万円以下であるという現状もあるそうです。このような不均衡を踏まえて、11日の委員会では職員自身が一番大事な現場である相談業務も行えるようにもっとスキルアップし、現有勢力での体制強化をすべしという提案をしましたが、担当の岸田文雄大臣も、今後検討していく必要があるという認識を示されました。おそらくこのような、現在の体制でもまだ改善の余地があるのに、新たな仕事をするための器をどんどん重ねて作り上げていくという事例は、国民生活センターの他にも行政機構全体で見ればもっともっとたくさん出てくるのではないかと思います。法律さえ通れば予算もつき、人も入ってくるという行政庁独特の体質が原因の一つになっていると思われますが、これからは必要以上のコストをかけたことが行われないように、内部で積極的な対応がなされていくことを期待し、またこの様子を引き続き注視していきたいと思います。
今回のブログに関連するリンク:
独立行政法人 国民生活センター
ADR(裁判外紛争解決制度)
4月11日の内閣委員会質疑の様子
このライブラリのページで、「平成20年4月11日開催、内閣委員会、発言者吉良州司」を
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