吉良からのメッセージ

2021年1月16日

専門家の意見を尊重したコロナ対策の国会議論と実行を

コロナ感染が収束に向かうどころか拡大が続く年末年始でしたが、いい年を迎えられたことと思います。
 
年明けに、ほっこりとする、嬉しいことがありました。

2歳になったばかりの孫(男の子)を連れて高架橋下を通る電車を見に行った時のことです。

孫は、電車、汽車、消防自動車、救急車、ごみ収集車、ブルドーザなど働く乗り物が大好きで、そんな車や電車に出会うと嬉しくて嬉しくて舞い上がらんばかりに喜びます。救急車が通るのを見て喜ぶ姿を見ると少し複雑ですが(笑)、とにかく働く車が大好きなのです。
高架橋から孫が手を振りながら電車が来るのを待っていると、小さな手が振られていることに気づいた運転手さんが運転席から手を振って応えてくれるのです。おまけに、電車の警笛を鳴らしてくれるのです。警笛ではなく、まさに「親愛の汽笛」です。次の電車、そのまた次の電車の運転手も同じように親愛の情を示してくれるのです。
新年早々、涙もろい私は涙が止まりませんでした。運転手さんが、こんなにも小さな子供を喜ばせようとしてくれる、その気持ちがありがたくて、ありがたくて。運転手さん、小さな子供に夢を、ありがとうございます。
とても些細なことですが、私にとっては、小さな幸せを感じられた、そして、今年がいい年になりそうだと思わせてくれる出来事でした。
 
さて、週明けの1月18日から通常国会が開会します。第3次補正予算、インフルエンザ特措法の改正、感染症法改正、2021年度本予算など、コロナ対応を中心とした議論が展開されることになります。

首都圏、その後対象が追加されて緊急事態宣言が発出されました。現時点では感染収束の気配はありませんが、政府として的確な対応策を打ち出すことにより、また、飲食業や観光業界などの献身的な協力により、更には多くの国民による自粛協力により、一刻も早く感染拡大が収束に向かうことを祈るばかりです。

しかし、政府の対応は後手後手に回っています。また、緊急事態宣言発出時の説明や対策は全てが中途半端であり、国民に届いていないように思われます。何故 対応が中途半端であり、国民に届かないのか。それは、政府が専門家の科学的知見や提案を軽視してきたからではないかと思っています。
安倍政権、菅政権は「感染防止と経済(を回すことの)バランスが大事だ」と言いながら、本音は明らかに「経済」に偏っている(いた)ことは明々白々です。
その象徴は、当初の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(「専門家会議」脇田会長)」を「新型コロナウイルス感染症対策分科会(「分科会」尾身会長)」に事実上格下げしたことです。
「世の中は実験室ではないし、理論・計算式・論文のように動くわけではない。人々の心理をはじめ、様々な要素がうごめきあって動くものだ。心配が重なる国民に対して理論上の話ばかりされて恐怖心や危機感を煽り、肝心の経済が回らなくなったら元も子もない。勝手に国民に説明されたり訴えられたりするのは甚だ迷惑だ。専門家の助言は必要だが、助言・提案の内容を専門家が国民に直接公表する前に政府とすり合わせをし、政府の意向に反しない範囲で公に助言してもらう。」との意図をもって政府傘下の分科会とし、政府のコントロール下に置くようにしたのだと思っています。
 
元々、専門家会議は、科学的、医学的見地から政府に対して助言することが目的でした。同会議の委員ではありませんが、オブザバーだった「8割おじさん」こと西浦博・北大教授(当時、現京大教授)が、「人との接触を8割減らすべき」との持論を発信し続けていました。この西浦教授に代表されるように、科学的知見と対策を独自に国民に訴えられては、経済を回すことが本音の政府としては甚だ迷惑だったのです。だからこそ政府の監視下における「分科会」に格下げし、政府にとって都合の悪いことは発信さないようにしたのです。その結果が、今進行中の全国的な感染拡大です。科学や事実に忠実な科学者や専門家も政府の意向を「忖度」した上で発言、公表するように仕向けられてしまったのです。

結果論としても専門家が公表していた意見や提言は間違ってはいませんでした。しかし、「専門家会議」が、「分科会」に格下げされる際には、専門家会議の首脳をして「『前のめり』になってしまった」とか「感染症対策は専門家会議が決めているというイメージを作ってしまった側面もあった」と反省の弁を述べさせています。このことは「間違った政治主導」「科学・専門家軽視」「忖度」の象徴だと思います。

コロナ対策は専門家ですら未知なる領域との戦いです。感染拡大収束への第一歩は、政府が専門家の意見に真摯に耳を傾けること、専門家も必要以上に政府の本音や意向を忖度することなく、専門家の本音を国民に届けてもらうこと、だと信じます。
専門家の意見を参考に活発な議論を展開し、有効な対策の決定と実行を推し進め、一刻も早い収束を実現するための通常国会にしたいと思います。

吉良州司

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