吉良からのメッセージ

2023年11月6日

ウクライナ戦争停戦の必要性 ~世界の平和と安定が日本の国益であり、物価高対策にも資する~

去る10月30日予算委員会の基本的質疑において、「ウクライナ戦争停戦に向けての日本外交」というテーマで質問に立ちました。
時間配分があまりに下手であったと反省しきりの質問ではありましたが、少し長くなった冒頭の前置き部分は、ここでは説明を割愛しますが、自分なりに発言しておくべきとの確信犯でしたので、テレビ前で応援してくださった方々には心配かけて申し訳ないと思いますが、ご容赦ください。

1.ウクライナ戦争停戦の意義

ウクライナ戦争停戦の圧倒的に重要な意義は、ウクライナ、ロシア双方とも罪のない犠牲者をこれ以上出さないこと、そして、この戦争によって先進国も途上国も資源高、食料高を筆頭に国民生活に多大な犠牲を強いている状況を一刻も早く解消し、世界中で平和と安定と安心と日常を取り戻すことです。

ウクライナ戦争が長期化することにより、日本のみならず世界中が物価高に苦しんでいますが、先進国はそれでも値上がりした小麦が買えます。しかし、ソマリアやイエメンの貧困層は飢えに喘ぎ、餓死する子どもたちもいるのです。

国連の対ロシア非難決議においてグローバルサウス諸国が協調しないのも、先進国、特に米国のダブルスタンダードのオンパレードに反発し、「正義で飯は食えない」との貧困国の事情がわからない先進国の態度に嫌気がさしているからではないかと思います。国連の場をはじめ今世界中で「正義で飯は食えない」とのグローバルサウス諸国の本音がほとばしり出ているのです。世界の貧困国、貧困層を救う意味でもウクライナ戦争(最近はハマス・イスラエル戦争)の停戦が必要です。

同時に我が国にとっても、何らの成果も出せず、負の遺産だけを残し続けているアベノミクスに始まる強引な異次元の金融緩和(事実上の円安誘導策)がもたらす円安により、電気代、ガス代、食料品をはじめとする輸入物価が高騰し国民生活を苦しくしています。この状態を解消することは我が国の国益としても重要です。

2.物価高対策としての所得減税も現金給付も、その財源は最終的には国民負担

現在国会では物価高対策として所得減税だ、現金給付だ、と議論されていますが、国民主権の我が国において、「国」とは「国民」のことであり、「国が負担する」ということは「国民が負担する」ということと同義です。
しかし、我が国では「国」に対してはいまだに「お上」意識が残っているのか、「国は対岸にいるお金持ち」という感覚が蔓延しているのではないでしょうか。例えば「国の責任で困窮者を支援すべきだ」という議論をする時、「自分たち国民が自分たちの責任において、その財源を負担して、困窮者を支援すべきだ」とは考えていない国民が多いように感じられます。
国債発行による借金がその財源の場合、足下では誰も負担感がありませんが、将来世代がその負担をすることになるので、私はこれまでも、決して将来世代に付け回しをすることなく、今を生きる大人の責任で負担すべきだと訴え続けてきました。
所得減税も現金給付も、今を生きる大人か、将来世代か、タイミングの時間差はあるにせよ、現在、将来の国民がその財源を必ず負担しなければならないのです。

3.国民負担の少ない解決策としてのウクライナ戦争の停戦

物価高対策としての所得減税も給付も結局は国民負担になってしまうので、私は現在、将来の国民負担が少ない解決方法がないものかと考えます。

投資立国、貿易立国である我が国は世界が平和で安定し、自由な経済活動が保証されるときにその国益を最大化できます。エネルギー、食料を輸入に依存する我が国は、エネルギー安全保障と食料安全保障の万全な体制づくりが世界の中で生き抜いていくための根幹であることは言うまでもありませんが、それを前提として、世界で最もよいものを最も安く買える環境をつくり、維持していくことが我が国の国益です。

世界で最もよいものを最も安く買えることで、国民負担は少なくなり、物価高がある程度解消されます。これに加え、行き過ぎた円安を是正することにより、対外支払に必要な円貨が少なくて済む、つまり国民負担が少なくて済み、こちらも物価高の解消に役立ちます。

それゆえ、国益である「世界の平和と安全」を我が国自ら主導していくこと、ウクライナ戦争、中東紛争を早期に終結させることが重要だと考えます。
もちろん、名目GDPが今年ドイツに抜かれて第4位に落ちてしまう我が国の国力、また、米国への過度な追随が顕著な(それゆえ戦争関係国にもグローバルサウス諸国に対しても外交力・説得力が弱い)我が国が単独で停戦の仲介役になれるとは思っていません。
しかし、G7議長国としての立場がある今、また、不幸な出来事で残念極まりないのですが、ハマス・イスラエル戦争とも言うべき中東紛争が勃発した今だからこそ(誰もが紛争の早期解決を望んでいる)、停戦に向けた機運を高めることはできると思っています。

日本の物価高対策のためにウクライナ戦争を終結させるべきだと主張しているわけではありません。上述したように、ウクライナ戦争終結の圧倒的に重要な意義は、ウクライナ、ロシア双方とも罪のない犠牲者をこれ以上出さないこと、そして、この戦争によって世界中の国民生活に多大な犠牲を強いている状況を一刻も早く解消し、世界の平和と安定と日常を取り戻すことです。しかし、現在国会で議論されている所得減税にしろ、現金給付にしろ、最終的には国民負担になるので、その負担を少しでも和らげられる意味でも、且つ、世界中の人々に恩恵が行き渡るという意味でも「ウクライナ戦争停戦」の必要性を訴える次第です。

今日のメールマガジンは「ウクライナ戦争の停戦に向けての思索」のほんの序章ですので、続きは近い内にまたあらためてお伝えします。

吉良州司