会派『有志の会』について 

有志の会が目指す「中道・新保守」は「生活者主権の政治」、「将来世代優先の政治」を追求

概要とメンバーの略歴 

有志の会は、2021年10月の総選挙において、無所属で自民党候補と戦い、勝ち上がってきた、当初は5人の無所属議員で構成していた衆議院会派。残念ながら1人が自民党に移籍したため、現在は4人の会派として活動中。立ち位置は「中道・新保守」(新保守は米国のネオコンと異なり、下記基本姿勢に基づく新しい保守)で、全員が民主党政権時代に活躍していた議員の集まり。
浪人中だった3人を含むメンバー全員が、他の野党から公認要請があったにもかかわらず、信念を貫くためにそれらの要請を断り、敢えて比例復活もない無所属で臨み勝ち上がってきた、個性豊かな強者たち。
55年体制的な対立軸は完全に過去のものと認識し、自民党の「業界主権政治」に対する「生活者主権政治」「将来世代最優先の政治」を志向。教育の充実、子どもへの投資、子育て家計への支援、分厚い中間層を復活させ、中間層を中心とした個人消費拡大による経済成長の実現を目指す。
一方、積極的、建設的な憲法論議や外交安全保障、エネルギー政策、経済安全保障など国家の根幹に関わる諸政策については、現実的対応が重要と考えており、政権党と政権を担わんとする野党の間で大きな違いがなくて構わないと考えている。

有志の会メンバーの略歴

吉良州司
(7期 大分1区)
外務副大臣、外務政務官、拉致問題特別委員長、日商岩井(現双日。ブラジル留学、ニューヨーク駐在、電力プロジェクト部等)、東大法卒
北神圭朗
(5期 京都4区)
元経産政務官、野田総理補佐官、財務省(主税局、内閣官房、岩手県庁出向等)、幼少期から18年間米国で暮らす。京大法卒、米国留学
緒方林太郎
(4期 福岡9区)
外務省(フランス・リール第2大学留学、セネガル大使館、中東アフリカ局、経済局、国際法局等)、東大法中退(外交官試験合格入省のため)
福島伸享
(4期 茨城1区)
経産省(エネルギー政策、バイオ産業政策、構造改革特区等に従事)筑波大学客員教授、学習院女子大学非常勤講師、東大農卒

有志の会は何を目指しているのか

1.2021年の総選挙における自民党政権の安定多数獲得 ~民主党政権への失望感と政権交代に対する期待感の喪失が背景~

第二次安倍政権が7年8か月もの長期政権となり、その路線を継承した菅政権、そして「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」を志向する岸田政権へと続く自民党政治が、2021年10月の総選挙において、消極的ながら信認を得た形となった。
その最大の理由は、民主党政権に深く関与した身からすると極めて残念ながら、民主党政権終焉から10年経過したにもかかわらず、いまだに同政権に対する国民の失望感が根深く残っており、その失望感は再度の政権交代に対する強い拒否反応、政権交代への期待感の喪失となって表出し、選挙時に投票行動となって示される。
野党は所詮野党でしかなく、今後二度と野党に国家を委ねたくない、自民党にも多くの問題はあるが、野党に国家運営を任せるくらいなら、自民党内の疑似政権交代で十分、という国民感情が背景にあると思われる。また、野党が、再度の政権交代を国民に期待させるだけの政権構想、政権運営能力、政策立案能力(というよりもその実行能力)を国民に示しえていないことも大きな原因だと思われる。
民主党政権に対する失望に加え、いわゆる55年体制が終焉して30年が経つにもかかわらず、中高年以上の世代がいまだに根強く持っている55年体制時の野党に対する負のイメージも、非自民党政権には国家を任せられないとの国民心理の醸成に深く影響している。
我々、有志の会は、上述した「野党への再度の政権交代を頑なに拒む国民心理」を、政権交代への期待感に変えられる原動力になりたい。そのために、民主党政権に対する深い反省と再評価、現在の野党は55年体制的野党ではないこと、過去30年の自民党政権下で低迷を続けた日本経済の実態を示した上で、新しい時代の明確な国家ビジョンを持つ野党系議員及び自民党的体質に疑問を持つ自民党議員が、自民党に代わって政権を担える政党へと結集する際の、土台となる理念・基本政策を提示したい。

民主党政権時の深い反省と再評価

2.日本政治の刷新には民主党政権時の深い反省と同政権に対する再評価が必要

民主党政権発足時を人間の年齢にたとえるなら、当時の自民党は社会経験豊富な54歳の大人、民主党はまだ中学に通う14歳。経験不足から政権運営は目を覆うばかりの失態続きであったが、目指していた政策は新しい時代が要請する内容も多く含まれていた。 
 
その証拠に安倍政権の後半の政策は、幼児教育、高等教育へ支援、子育て支援、全世代型社会保障など民主党オリジナルの政策を数多く採用していた。また、現岸田政権が持つ問題意識やそれらを解決するための政策(特に「分配」の強調)は、多くの点で民主党政権時代のそれらと重なる。
 
国民の多くが、民主党政権を全否定することにより再度の政権交代に強い拒否反応を示している。その結果、必ずしも自民党には満足していないにもかかわらず、また、過去30年間、自民党政権下で長期経済低迷を続けた結果の生活が苦しく貧しくなっているにもかかわらず、他の選択肢がないからという消去法的理由で、自民党政権を選択し続けなければならないことは、日本の不幸、特に将来世代にとって不幸である。それゆえ、民主党政権に対する、稚拙だった政権運営への評価と、掲げていた政策の評価とは、峻別され、民主党政権時代に打ち出された理念・政策は再評価されてしかるべきだと考える。

3.野党が自民党との違いを強調し過ぎることによる弊害 

国民が野党への政権交代を拒否し続ける更なる大きな理由のひとつは、野党が自民党との理念・政策の違いを強調し過ぎることにある。本来、政権を担っている政党と今後担おうとする政党の間では、外交・安全保障やエネルギー政策などの国家の根幹に関わる基本政策の方向性については、大きく異なってはならない。対外的信用や国家としての継続性が極めて重要だからである。あらゆる課題について、殊更に「違い」や「対立軸」を強調することが、安定した国家運営を期待する国民が政権交代を拒否する大きな理由だと思われる。
しかし、「政党」としては、自民党との「違い」や「対立軸」を強調してしまう野党議員も、個人が掲げる理念・政策はもっと柔軟であり、必要な対立軸と対立軸を必要としない課題、分野を弁えている。

「国家運営を委ねられる非自民党政権」への国民の期待感の醸成

4.「政権は自民党」という神話の結果が日本の長期低迷の原因

自民党は焼け野原であった日本を復興させ、その後の高度経済成長を成功させて、世界有数の経済大国に押し上げてくれた恩義ある政党である。しかし、その成功体験が邪魔をして、内外の環境変化に対応した新時代の国家運営には成功しておらず、その結果として、借金を激増させたにもかかわらず、平成時代の「失われた30年」と言われるように、日本経済を低迷させ、国民生活を豊かにしないどころか却って貧しくしており、国力を低下させている。この長期低迷の具体的内容については「データ」で示す。 
政治献金と選挙時支援への見返りとして「業界」を優先する自民党の「業界主権政治」「業界優先社会主義経済」は、資本主義経済の最大の利点である「新陳代謝」を機能させず、社会、経済の活力を低下させ続けている。地方においては、この「業界優先社会主義経済」を保守政党自民党の「自由主義的経済政策」と錯覚し続けており、長期経済低迷の最大の原因である。このことも、55年体制時代の野党が社会主義を志向していたことに由来する国民による、特に地方経済界による錯覚と誤解である。「政権は自民党」という神話を一度見直さなければ、活力ある日本を取り戻すことはできない。55年体制的与野党評価を卒業して、自民党に代わる現実路線の中道保守政党、中道保守政権が望まれる所以である。

5.有志の会が目指すもの 

上述してきたように、日本の再生、復活は、いまだに多くの国民(特に中高年以上の世代)が持つ「55年体制時野党感」の払拭と民主党政権の是々非々論的再評価、その結果としての「国家運営を任せられる健全な非自民党政権」への国民の期待感の醸成にかかっている。
中道・新保守の「有志の会」は、これまでの野党イメージとは一味違う国家・社会ビジョン、それを実現するための基本政策を示す。また、その過程で示す自民党政治との対立軸は、これまでの与野党対立軸とは全くことなる対立軸を示す。有志の会が示す国家・社会ビジョンと基本政策の旗の下に集う新たな政治集団が新時代の政権を担うことを信じる。