吉良州司の質疑録

2018年5月11日

2018年5月11日 財務金融委員会 「インフラ輸出支援策」 ~インフラ輸出支援策として、国際協力銀行の社債引受け昨日の強化と、途上国向けに外貨供給保証ができるようにすべき~

日本経済を成長させるためには、世界経済への貢献、途上国のインフラ整備への貢献が必要。しかし、ベトナムなど途上国は旺盛なインフラ 需要があるにもかかわらず、外貨不足のため「政府の返済保証」が出せな いことから、外国からの公的融資が受けられず、結果としてインフラ案件を前に進めることができない。そこで、日本の国際協力銀行(JBIC) が、米国証券市場における144a社債を引受けるようにすること、また、現地通貨を担保として外貨の供給保証をすることにより、日本企業がインフラ案件を受注できる環境を整えるべきと提案。この財務金融委員会の質問は、本誌にも掲載している2018年4月19日の衆議院本会議における代表質問の総論に対して各論にあたる。

小里委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。吉良州司君。

吉良委員
国民民主党の吉良州司です。
きょうは、財務委員会での質問の機会を与えていただき感謝します。先日、4月19日の衆議院本会議で、国交省案件のインフラ海外展開につき代表質問をさせていただきました。その際、麻生副総理なら前向きな答弁をいただけると思っていたんですが、G20出席のため不在で、かなりそっけない答弁が返ってまいりまして、これではさすがに困ったと。
私は、国益の観点から、提案した内容について政府として採用してもらいたい、実行していただきたいとの強い思いがあるものですから、代表質問と重複しますが、麻生副総理の胸をかりながら、この場で再度提案をさせていただきます。
ちなみに、私は個人的には、大事な国際会議があるときに大臣が出席すること、国際会議を優先することを了としていますので、そのことで恨みを言っているわけではありません。野党議員の立場でも、国益の観点からの提案をしたいと思っています。残念ながら、野党の場合はそのような提案の機会が、こういう質問の場しかありませんので、この質問を通して提案をし、そして前向きな答弁を得る、そして大臣から省庁に対して指示を出して戴く、又は与党にぱくってもらう、これによって国益に貢献したいと思っています。
それから、財務金融委員の皆さん、特に与党の皆さんには離席することなく、また失礼ながら居眠りすることなく、ぜひ耳を傾けていただきたいと思います。といいますのは、きょう提案する内容は、先日の代表質問でもやりましたように、海外インフラ展開の具体的な提案です。与党の皆さんは、現在、政務三役の立場にあるか、今後、政務三役の立場になっていきます。その際、仮に直接的な外務だとか経済産業の政務三役でなかったとしても、例えば、法務の副大臣、政務官であったとしても、海外への公務出張に行った場合には、日本企業が推進するインフラプロジェクトについて、相手国大臣と面談して交渉するような機会が多々あります。その際、ただ単に「お願いします」というようなことではなくて、プロジェクトの仕組み、それをを支えるファイナンスの仕組み、などをある程度御理解いただいた上で、きちっとポイントを突いた要求、質問をしていただければと思っています。それゆえ、途中、多少専門的な話になる可能性はありますが、ぜひ耳を傾けていただければと思います。
このように与党議員の皆さんにもお願いする背景には、私自身が、インフラ海外展開に対する極めて強い思い入れがあるからです。 資料1(P40をご参照)を見てください。これは民主党政権時代に、私が外務大臣政務官として、インフラ海外展開支援のために役立ててもらおうと作成した「インフラ海外展開の必須知識」という、ある種教科書です。インフラ海外展開というものが成長戦略の重要な柱であるという位置づけは民主党政権も同じでありました。というより、民主党政権が言い出したわけです。そして、これを国を挙げて支援していくためには、政務三役のみならず、外務省の在外公館長にも、プロジェクトをきちっと理解してもらい、何が課題で、何を相手国大臣に解決してもらえればプロジェクトが前に進むのかという具体的な手段を相手に提示できるようになってもらいたい。そのためのある種基本知識、必須知識としてこのような教科書をつくらせてもらいました。幸い、全在外公館長に配布され、かなりの公館長に読んでもらったと思います。中には、アンゴラで大使をやっていた方から、アンゴラは進行中のプロジェクトが多かったので大変に役立ったとの好評もいただきました。 また、在外公館の多くにインフラ担当官がいます。これも手前みそになりますが、私が外務大臣政務官のときに、このインフラ担当官と資源担当官を創設させてもらいました。それは、担当者に極めて高い専門性と責任感を持ってもらいたいと思い、創設したものです。
前置きの最後として、資料(P37をご参照。経産生産性で使用)をごらんください。これは、本会議で指摘したデータで、世界主要国の実質GDP成長率の推移。中国、米国、BRICS、OECD、ASEAN、そして日本。これらの実質GDPの成長率の推移をグラフにしたものです。太い青線の世界と太い赤線の日本とはほとんど同じ形をしている。つまり日本経済と世界経済はきわめて強く連動しています。その意味でも本会議でも申し上げましたように、日本経済をよくせんとすれば、世界経済がよくなるように日本が貢献する。先進国においては乗数効果が小さくなっていますが、途上国においてはインフラ整備による乗数効果は極めて高い。日本が途上国へのインフラ支援を中心に世界経済に貢献することこそが日本の経済成長への貢献だ。こういう観点で、インフラ海外展開を官民一体となって推進することは極めて重要である、と思っているところです。
前置きが長くなりましたけれども、ようやく質問です。今後、事業型インフラプロジェクトへの支援が重要だと思っていますが、現在、この事業型インフラプロジェクトを支援をする上で課題になっていることは何でしょうか。

武内政府参考人
お答え申し上げます。一般に、インフラ輸出につきましては、資金、コスト、人材、市場開拓など、さまざまな面で取り組むべき課題がございます。特に、事業型インフラプロジェクトにつきましては、当該プロジェクトから資金を回収することとなるために、そのプロジェクト固有の建設リスク、操業リスクがあり、加えて、現地通貨での収入が外貨にかえられ代金が回収できるかというリスク、その外貨を国外に送金できるかというリスクといったものがございます。事業型インフラプロジェクトの推進に当たっては、こうしたリスクを適切に軽減、分担することが課題となるところでございます。

吉良委員
今、何点かのリスクについての言及がありましたが、そのことについては、後段でもう少し詳しく議論をしていきたいと思っています。現在、事業型インフラプロジェクトに対して、政府として支援をしている具体的なメニューについてお聞きします。財務省からでもJBICからでも結構です。

武内政府参考人
お答えを申し上げます。途上国におけるインフラプロジェクトにつきましては、事業リスク等のさまざまなリスクがありますが、そのリスクをどのように軽減して関係者間で分担するかが非常に重要です。事業主や投資家などが本来負担すべきリスクを負担した上で、政府が必要な政策的な手当てをしていくことが望ましいと考えております。具体的にどのようなことかという御質問を頂戴しました。まずは、現地国政府との対話や協議を通じまして、投資環境に関する日本の企業や投資家の要望を伝え、事業リスクの分散や軽減などの環境整備を行うとともに、プロジェクト組成、調達等に係る能力構築、支援なども行い、その上で、民間企業だけでは対応できないリスクや資金需要につきまして、JBIC等の政府系金融機関において必要な手当てを行うよう努めているところでございます。

吉良委員
質問レクがいい意味で徹底しているのか、後段でやりとりしたいことも含めて答弁を戴きました。今の御指摘の中で非常に重要な点は、リスクの分散を図るということと、役割分担をするということです。 私も民間で深くインフラプロジェクトにもかかわっていましたが、民間企業は、どうしても、国に頼りたいという思いが強くなってしまう。何でもかんでも国に支援してもらいたい、JBICにリスクをとってもらいたいとなりがちです。でも、それをやっている限り、国際競争を勝ち抜ける日本企業にはならないと思っています。そういう意味では、官民の役割分担、民の中にはプロジェクトの実施者とリスクマネーの提供者がいますが、それぞれの役割分担、リスク分担が非常に重要だと思っています。
その観点から、昨年もこの財務金融委員会で、米国の証券市場SECにおけるルール144aという社債発行による資金調達の紹介をさせて戴きました(資料2)。本会議でも触れましたが、米国の証券市場は社債発行者や社債内容についての情報開示基準のハードルが非常に高い。それでは途上国プロジェクトの資金調達ができない。それを克服するために開示基準を下げる。ただし、情報が十分ではないので、そのリスクマネーを提供できるのは「クオリファイド・インスティテューショナル・バイヤー」という、それ相応の資産を持ったプロの投資家に限られます。このルール144aにより、途上国におけるプロジェクト社債を米国市場において発行できて、世界中の投資家に買ってもらうことができる、こういう仕組みです。
私がこのルール144aに基づく起債にこだわるのは、日本企業が途上国においてプロジェクトを遂行したいと思うと、とかくJBICに頼ってしまう。そして、政府も、国がリスクを負って助けてあげることが企業支援だと思ってしまう。しかし、税を使ってリスクを負うよりは、リスクは、他人に取ってもらうにこしたことはない。途上国の多少危ないプロジェクトの社債を引き受ける、ポートフォリオマネジメントの中で全体の10%ぐらいなら多少危なっかしくても、リターンが大きいならとリスクのある社債を引受けようとする、そういう投資家がいるんです。それなら、リスクはその人たちに取ってもらえばいい。日本企業としてはおいしいところだけ受注する。そして、操業リスクをとりながら大きな事業収益を得る。万が一のリスクについては、高いリターンを狙った投資家にとってもらう。それで十分じゃないかと思っています。そして、JBICがJBIC法改正によりボンド(社債)を引き受けることができるようになった。そのボンドの中にはこのルール144aに基づく社債もその対象になるとの前向きな答弁を麻生副総理から、前回の当委員会でしていただきました。今現在もその立場は変わっていないことを確認させてください。

麻生国務大臣
この前のとき、このプロジェクトボンドについては、今までなかなか馴染みがなかったこともありますが、御指摘のように、私どもとしては、これをJBICでやれるように法改正をさせていただきました。 現状を見ますと、欧米や南米に比べて、アジアではプロジェクトボンドに対する馴染みが薄いというのが正しい表現ですか。こういうものに対しての理解が余りないのが事実だと思いますね。
したがいまして、可能にはなりましたが、絶対量で見れば少ないですよ。もうちょっとふえてもおかしくないと思うんですが、発行がそれほど行われていないというのが実態なんだと理解しております。したがいまして、JBICによるボンドの取得を実質的に今後はやっていかなければと思いますけれども、選択肢をいろいろ出して支援をしていくことだと思っております。今、日本の新聞は日本のGDPの話しかしませんが、やはり海外から入ってくる、いわゆるネットインカム、GDPにかわってグロス・ナショナル・インカムという認識が少し出てきつつあるのかなと思えます。GNIの比率は物すごく上がってきていまして、GDPに比べてGNIは、海外での、金貸した、特許料が入ってくる、MアンドA、いろいろなものが国内に返ってくるインカムの多さというのは極めて大きなものになってきています。
そういう中で、武内局長の方から申し上げましたように、ちょっとした国でも、はい送金ストップとやられるんですよ、外貨をかえてはだめですとか。そのプロジェクトはうまくいっていても、そこの段階でスタック、とまっちゃう。大きな国でもそれをやられるわけです。そういったときのリスクは誰がとるのかと言われると、それは企業にしてみては、いきなりそれをやられたら、ちょっと待ってくれという話になって、泣きつく先は政府になるという話です。そういったことを含めて、リスクをある程度考えてやるというのを、我々としてはやってやらないといけない。ところが、ボンドになりますと、そこのところは随分変わったことになると思います。アジアの中で、この種の話は今後間違いなくふえてくると思っております。欧米に比べて、インフラストラクチャーの絶対量が不足していますので、当然のこととして、つくろうとする人の欲しがる金も多い。しかし、その金は、ローンでやったら返さないといけません。その金利ですが、スリランカなんかに6%で貸したが、プロジェクトがうまくいかなくなって、実質的な担保として極めていい港をある国の租借地にさせられて、結果としてその返済は租借地で代替払いというような形になる、というような極めてゆゆしき話になります。その点、このプロジェクトボンドは、開かれた資金調達手段として、もう少しいろいろな意味で、金がない日本としても、また、アジア開銀、ADBにしても、やっていかないといかんと思います。プロジェクトボンドは、一つの資金需要をカバーしてくれる大きな手段になり得ると思っています。
今後、アジアが伸びていけばいくほど、投資する人たちも、リスクは少々あっても、今、金利がほとんどつかないこの時代に、2%だ3%だついてくればちょっとしたものですから、日本で金を借りてそこで金を貸したら3%儲かるということになり得る、という意味合いもあるなどいろいろなことが考えられると思っております。

吉良委員
前向きな答弁、ありがとうございます。
またいずれ、この財務金融委員会に出張させてもらって、今副総理がおっしゃったGNIとGDPの関係、日本国内から見える日本の姿と、全世界まで俯瞰した日本また日本企業の姿というものについて、議論させていただきたいと思っています。
そして、今御指摘があったように、アジアにおいてこういうボンドになじみがないということと、これに加えて、先ほどの答弁では、どちらかというとプロジェクト実施側のリスクについての言及がありましたが、やはり途上国政府に対する信頼度がまだ足りないことが大きな問題だと思います。それゆえ、例えばベトナム、私、ことしの1月にベトナムに行ってきましたが、ベトナムは日本の重要な友好国として、もっともっと支援していかなきゃいけない。特に、チャイナ・プラスワンという戦略からも、TPPにも加盟していて、中国とは仲よくもしているが、課題も抱えていて、親・日本であり、親・米国になっているベトナムとうまくやっていかなければいけない、そこの発展を助けなければいけない。しかし、ベトナムが今何に困っているかというと、これまでの対外借入れで債務が膨らんでしまっていて、もうこれ以上の債務積み上げは無理だ。したがって、プロジェクトの需要はあるけれども、新たに政府が債務保証して借り入れることができない、こういう課題が生じていると認識しています。私も元商社マンですので、何か課題があれば、ありとあらゆる手を使って何とかそれを克服しようとする性格なんですが、この課題に対して、こうできないか、ああできないかとあれこれ考えました。
政府として返済保証はできない。そうであれば、返済保証でなく、先ほど政府参考人から言及のあった「外貨への兌換保証」「外貨の送金保証」、こういうものが出せないか、と考えました。そこで、お聞きします。途上国政府による返済保証と、プロジェクトに対しての外貨兌換保証、送金保証、この違いは何でしょうか。

林参考人
お答えいたします。
途上国政府による返済保証と外貨兌換、送金保証の違いという点でございます。途上国政府による返済保証と申しますのは、融資の返済が滞った場合に、理由のいかんを問わず、保証人たる途上国政府が当該債務を返済するというものでございます。 これに対しまして、途上国政府による外貨兌換、送金保証でございますが、これは、事業者が現地通貨で得た収入を米ドル等のハードカレンシーに交換あるいは送金することを保証するというものでございます。より具体的に後者について申し上げますと、途上国におけるインフラプロジェクトにおきましては、プロジェクトの収入は原則として現地通貨建てということになります。他方で、プロジェクトに必要となる資金の調達や返済は、米ドル等のハードカレンシー建てとなることが一般的でございます。途上国におけるプロジェクトに出資者として参加するスポンサー、あるいは貸付けを行う金融機関にとりましては、配当や融資返済の原資となるハードカレンシーが確保されること、これは出資や融資の判断において重要な要素となります。途上国におきましては、政府が外貨の流通をコントロールしている、あるいは外貨準備高が十分でないといった理由によりまして、現地の金融機関がプロジェクトに関連する外貨交換や送金を円滑に実施できないという懸念が生ずるケースがございます。このような場合に、事業者等からの要望を踏まえて、現地国政府が保証差し入れの形で円滑な外貨交換、送金を支援し、もってプロジェクト実現を後押しする場合がある、これが外貨兌換、送金保証の仕組みでございます。

吉良委員
詳細な説明、ありがとうございます。もうちょっと平たく説明します。政府による返済保証というのは、購入した設備が仮に動かなかったとしても返済義務はあります。これが返済保証です。一方、外貨兌換、送金保証だけに限るということになれば、少なくとも、プラントを建設するリスク、それから操業するリスクは全部事業者負担で、政府はそのリスクを負う必要がない。電力案件であれば現地通貨での収入しかない場合がほとんどですが、現地通貨建ての収入は充分にあり、プロジェクトはうまく回っているとしても、リスクを負って社債を買ってくれた人、リスクを負って融資してくれた人にはハードカレンシーで返済しなければなりません。それゆえ、外貨への兌換と外貨送金については政府の保証が必要なのです。その意味では、さっき私が言った役割分担、リスク分担の話になりますが、当該国政府がリスクを丸抱えするのではなくて、建設リスク、事業リスクは全部事業者負担です。しかし、現地通貨収入からハードカレンシーに兌換して返済することについては政府に保証してもらわなければ投資家はとてもそのリスクを取れません。
麻生副総理の答弁のように、アジアでのなじみが薄いということと同時に、やはりアジアは途上国政府信用に対する不安があると思います。ですから、世界の投資家がなかなかそこに踏み込めないのです。 時間がなくなってきました。私が今回提案したいことは、現在の外貨不足や将来の外貨調達不安がある国、しかし、日本企業にとって利益も見込めるし国益にもなると思える国、まさにベトナムがそうだと思いますが、そういう国に対してJBICが外貨供給保証してはどうか、ということです。その国に外貨準備もあり、外為銀行で外貨に兌換できる間は政府は何もする必要がない。しかし、外貨不足が起こった場合に、JBICが外貨供給をする。JBICの外貨供給という裏づけがあるから当該国政府は外貨兌換保証と送金保証ができる。これがあれば海外の投資家は、現地通貨での採算は取れている、プロジェクトとしてうまく回っている、現地通貨ベースの事業リスクは引受けられる。しかし、外貨に転換してもらえないかもしれない、外貨で送ってもらえないかもしれない、このリスクは引受けられない。だから社債を引受けられないという投資家に対しては、JBICが外貨供給保証をすることによって、当該国政府が外貨兌換保証を出せる。これによって、需要旺盛なプロジェクトを日本企業がとりに行くことができる、と思っているわけです。JBICは、JBIC法改正によって現地通貨による融資ができるようになりました。現地通貨の融資をするということは、現地通貨を調達するということです。 ということは、JBICによる外貨供給保証は、ベトナムにおいてはそのプロジェクトから上がる現地通貨ドンを担保にすればいい。担保として得るドンとJBICが供給保証する外貨の為替リスク分だけのリスクをJBICは負えば済みます。為替リスク分だけであれば、JBICではなく、ベトナム政府にそのリスク負ってもらえばいい。ベトナム政府の為替リスク損失補てん保証を裏づけとしてJBICが外貨供給を保証するという仕組みです。
そうすると、ルール144a社債を発行するとき、外貨転換、外貨送金、の保証がどうなっているか、投資家向けの仕様書の中に書き込めます。そうすると、社債が投資適格になる可能性がぐっと高まってくる、つまりプロジェクトの実現性が高まる、このように思っています。そういう意味で、JBICによる外貨供給保証を前向きに検討できないかというのが私の提案であり、お願いでもあります。麻生副総理、いかがでしょうか。

麻生国務大臣
なかなかおもしろいですよ。野党の方の質問の中で最も未来性と危なっかしさと両方があって。なかなかおもしれえなと思って聞いていました。財務大臣じゃなかったらおもしれえからやれ、やったらいいとすぐ言いそうなところですけれども、財務大臣の立場としてはちょっと。吉良先生、正直、今の提案はなかなかいいところです。リスクを負うところが極めて小さくて済みますからね、向こう側も、こちら側も。私どもとして、今の話はちょっと検討させていただきます。これはちょっと、どんなリスクがあるのか、この話だけを聞いていると、商社の口車に乗せられた哀れな業者という目にも私は昔遭ったことがありますので、仕事しているときに。そういった意味で、ちょっとよく検討させていただきますが、考え方としてはおもしろいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。
なかなかすぱっとやるとは言えないのはよくわかりますが、前向きに検討いただいて、JBICと一緒になって、ベトナムを始めとして、途上国のインフラプロジェクトへの支援をお願いしたいと思います。それが必ず日本経済の成長として返ってくる、そういう思いの中で、官民一体となってインフラプロジェクトを支援するということを確認をさせてもらい、質問を終わります。ありがとうございました。

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