主張・政策論

No.031 177回国会「衆議院 予算委員会 7号」

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

きょうは、前原大臣、それから海江田大臣、玄葉大臣、そして北澤大臣、また野田大臣に対して質問を行わせていただきます。与党質問でございますので、一方では激励し、エールを送らせていただきながら、また一方で諸課題について問題意識を共有させていただきたい、このように思っています。

まず、外交でございます。今地元を歩いておりますと、どういう声を聞くのか。それは、もう政党間の争いなんかどうでもいい、国を何とかしてくれ、その声が実は充満しております。私も、政党間の足の引っ張り合い、これは特に、それぞれが与党も野党も経験した今、なくす国会にしなければいけない、国家運営にしなければならない、このように思っているところであります。

そういう中で、前原外務大臣は党派を超えた外交を推進している、そういう姿勢を前面に出しておられる、私はこのように見ております。一つには、ことし一月一日に、今まさに飛ぶ鳥をも落とす勢いのブラジルにおいて、ルーラ大統領からジルマ大統領へと政権移譲が行われ、大統領就任式が行われました。この就任式に、菅総理、仙谷官房長官、そして前原大臣は、麻生太郎元総理を特派大使として派遣することを決定し、お願いをしました。また、麻生太郎元総理も快く引き受けていただきました。

また一方で、十日の前原大臣のロシア訪問を前にして、先週、森元総理のところに足を運び、いろいろとアドバイスを受けてきた、このように聞いております。

このような動きは、まさに外交、安全保障には民主党もない、自民党もない、あるのは国家、国益だけだ、このような姿勢のあらわれだ、このように思っておるところであります。

考えてみれば、民主党には志ある議員がおり、そして能力もあると思っておりますけれども、残念ながら政権運営の経験は少ない、これはいかんともしがたい事実であります。そのような中で、長年政権の座にあった自民党、その中で、国家として首相経験者、外相経験者が貴重な経験を積み、そして人脈を構築していった。これは、一政党である自民党の人脈、また資産というよりも、国家としての貴重な外交資産だ、このように思っております。

そういう私自身の認識がある中で、前原大臣が、繰り返しますけれども、麻生元総理を特派大使として派遣され、また、森元総理にアドバイスを受けられた、このような姿勢に対して大変高く評価しておりまして、敬意を表する次第であります。また同時に、これを快諾いただいた麻生元総理、そして森元総理の高い見識に対しても心から敬意を表する次第であります。

私自身は今申し上げたような問題意識を持っておりますけれども、前原大臣も同じような認識を持っておられるのではないか、このように思っておりますが、今言った麻生特派大使の決定、そして森元総理のもとを訪ねられた前原大臣の真意と、私が今申し上げた見解についての所見をお聞きできればと思います。

前原国務大臣 今、吉良委員がおっしゃったように、外交や安全保障は、私は、政党、党派あるいは政権交代でころころ変わっていたら大変だという思いを野党時代からずっと持っておりました。そういう意味で、自民、民主、公明三党で超党派での安全保障の議員連盟も代表世話人でやってまいりましたし、そういう感覚で与党でもおります。そういう意味では、今までの政権を担っていたのは自民党を中心とする連立政権でありましたので、その経験を伺うということは、私は大変重要なことだろうというふうに思っております。

麻生元総理については、はっきり申し上げますと、ブラジル政府から、大統領就任式典に来てもらう際のステータスみたいな話がございまして、総理か外相かあるいは元総理経験者、こういうようなオファーがございました。その中で、吉良委員からもアドバイスをいただいて、吉良さんは商社のときに中南米でずっと活躍をされていたわけでありますけれども、麻生元総理が、今、日伯の議員連盟の会長をされております。そして、前のルーラ大統領と非常に懇意にされているという話も、吉良委員からもアドバイスを受けて、そしてお話をしましたところ、まさに麻生元総理も、外交、安全保障に党はないということで御快諾をいただきました。

森元総理につきましても、私、今こういう立場につかせていただいて、過去の日ソ、日ロの領土交渉をすべてつぶさにフォローアップをいたしましたけれども、余り詳しくは申し上げられませんが、かなり惜しいところまでいった総理のお一人であったと思いますし、今もなお現実にロシアの首相として力を持っているプーチン首相とは、十六回会われてお話をされているということでございまして、お話を伺ってまいりまして、非常に示唆に富んだアドバイスをいただきました。

いずれにいたしましても、政党、党派のために外交、安全保障、国益につながる話をやっているわけではなくて、まさにオール・ジャパンとして、どうすれば日本が元気を取り戻して尊厳のある国家として外交、安全保障を実現できるのかということで、アドバイスを受けられる方については、関係なく、私はいろいろな方からお話をこれからも承ってまいりたい、そう考えております。

吉良委員 本当に同じような認識をお持ちであるということを再確認させていただき、安心をしました。

自民党、また公明党の議員の先生方にも、今申し上げましたように、まさに国家として蓄積した貴重な外交資産をお持ちでありますので、今後ともぜひ協力をいただくように私からもお願いをしておきたいというふうに思っております。

さて、前原大臣、外交演説の中でも、経済外交の重要性ということを強調しておられました。私もその認識を全く共有しております。前原大臣は、その外交演説の中で、身の丈以上の外交を行うことは困難であるという現実を踏まえ、経済外交を戦略的に展開し、我が国の土台である経済を強化することは、我が国の総合的な外交力を高めるという認識、方針を示されました。私も全く同感であります。

力強い経済外交を推進して日本の経済を再生する、国力を回復する、そしてその回復した国力で総合的な力強い外交を展開する、こういう前向きスパイラルというものをぜひ推進していただきたいというふうに思っております。

その上で、いま一度、前原大臣が経済外交を中核に据えるその哲学についてと、その中でまた特に力を入れる具体的な方針、方策について、簡潔に説明いただければと思います。

前原国務大臣 この仕事につかせていただいて五カ月弱になりますけれども、改めて感じますのは、先ほど、ブラジルの話を吉良委員からしていただきましたけれども、これから伸びていく、さっき飛ぶ鳥を落とす勢いという言い方をされましたけれども、そういった国の熱気みたいなものを非常に強く感じますし、今の国力の大きさではなくて、どれだけこれから伸びるであろうかといった国が基本的に発言力をどんどん大きくしていっているという現実を私はつぶさに感ずるわけであります。

その中で、日本の外交について今いろいろと注文やあるいは叱責があるのも事実でありますし、その原因に、例えば普天間の迷走あるいは尖閣の船長の帰し方について、国民の批判があることは事実であります。しかし、だからといって、日本の外交の失敗、あるいは今の状況がすべて民主党にあるとは私は思っておりません。これは、責任逃れをするために言っているのではなくて、建設的な意見を言うために申し上げているわけです。

というのは、海外の国は、こういう見方をしているわけですね。日本は人口がこれから減っていきますね、そして少子高齢化が進んでいく中で本当に持続可能なのか、莫大な借金があるけれどもあれをどうしていくつもりなのかという我々国民が感じている不安を、海外の方々はつぶさに見て、日本の国はこれからどうなるのかということを言ってみれば不安視している面が私は多々あるというふうに思っています。そういう中で、外交を幾ら口で力強くやると言ったって、こういった日本の抱える諸問題を解決せずして本当の外交というものを力強くやれるかというと、やれないわけですね。

となると、一番根本にやるべきなのは、人口減少、少子高齢化あるいは莫大な財政赤字という日本の制約要因をどう解消していくために、あらゆる政策をとって日本の経済を成長させていくのか。そして、その一つとして、外交もしっかりとそのお手伝いをすべきではないか。だからこそ、経済外交を置く。経済外交をすることによって、日本の国の持続可能性というものが高まり、そして国力が生まれれば、それをまた外交資源に持っていけるわけでありますし、そういう意味でのやはり日本の国力を上げる努力をしなきゃいけない。そうしないと、どんな細かな外交をやろうと思ってもなかなかできないし、日本に対する期待も高まってこない、そういう問題意識を持っております。

だからこそ、インフラ輸出、より自由な貿易、インバウンド観光、そして多角的な資源外交、食料外交、エネルギー外交という経済外交を全般的に行う中で日本の経済を元気にしていく。そして、元気にすることによって、海外から一目も二目も、まだまだ日本はディクラインだけではなくて成長可能なんだというところで、日本の発言が現実味を帯びてくる。そういう形にしていきたいということで、今、経済外交を中心にやらせていただいております。

吉良委員 またしても安心をいたしました。

私も、外務大臣政務官として外務省に一年働かせていただきました。日本外交として、いわゆる国際益と国益、このバランスをとった外交が極めて重要でありますけれども、私は、今、前原大臣がおっしゃったように、今いろいろな意味で国内の力が落ちかねない、この状況にあって、今はひたすら現実と向き合い、かつ国益と向き合い、多少国益を重視した外交、すなわち経済外交を推し進めることは大変重要なことだというふうに思っております。

そういうことをお話しするにつけ思い出すのが、前原大臣と二〇〇九年の三月に東南アジア、ベトナム、シンガポールそしてインドネシアと一緒に行かせてもらった際、中曽根康弘元総理の外交四原則というものを確認し、共鳴したことがございます。

中曽根康弘元総理は、外交について四原則を掲げていました。一つは、力以上のことをしない。二番目が、ギャンブルをしない。三番目は、世界の潮流を客観的に分析する。そして四番目が、外交と内政を混合しない。

この四原則、前原大臣と共鳴したものでありますけれども、特に、力以上のことはしない、だからこそ力をつけるという一番目のこと、そして党派を超えた外交。そういう意味でも、外交と内政を混合しない。けれども、内政を力強く支援する外交をやるんだと。このような方針に対して改めて敬意を表して、私も、今民主党の外交部門の座長をやっている立場から全面的に支援をさせていただきたい、このように思っております。

さて、その経済外交でありますけれども、きょうからオーストラリアとのEPAの二国間交渉が再開をされました。このオーストラリアに限らず、今、二国間のEPA、FTA交渉というのが真っ盛り。一方、マルチのWTOのドーハ・ラウンド交渉、そしてAPEC、さらには、今大臣御指摘されましたけれども、成長戦略の一環としてのインフラ輸出戦略、そしてTPPの情報収集のための交渉推進、このような本当に多様な交渉を外務省の方で行っているところだというふうに思っています。

また、これに加えて、先ほども指摘がありましたけれども、外務省としても、食料安全保障についての外務省としての研究を行い、交渉を進めていく、そして経済産業省やJOGMECと一緒になって資源エネルギーの安定確保についての外交も推進している。

このようなまさに多岐にわたる交渉というのは膨大な実務を伴います。そういう意味で私が実は心配しておりますのは、経済局を中心として、また、今言った二国間、多国間に関係する地域局の皆さんがまさに深夜残業の連続、そして休日出勤の連続、圧倒的なマンパワー不足に苦しんでいるのではないかと心配をしているところであります。

そういう中にあって、まさに前原外交の中核である経済外交を推進するに当たって、この経済外交の推進体制の強化というのはまさに待ったなしの課題だというふうに思っておりますけれども、今、外務省の中でこの推進体制強化についてどのような議論がなされ、手を打とうとされているのか。前原大臣の見解をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 我々は、この四年間で公務員の人件費を二割削減するということで国民にお約束をしているわけであります。その中にあっても、それはもちろん、この役所はもっと減らせるとか、この役所はむしろ増強しなきゃいけないとか、そういうことはあると思いますけれども、今外務省をお預かりしている者として、余り外務省だけ特別扱いをしてふやしてほしいというようなことは、私は基本的にそれは言うまいという思いでおります。

といいますのも、やはり、まず省内の協力体制というものをつくった上で、本当に足りないのかどうなのかということを我々は見きわめる必要があると思っておりまして、今省内で経済外交推進本部というものを私が本部長でつくりまして、そしてまた経済局を中心に、例えば経済協力とか、あるいは地域局にも協力してもらって、いかに経済外交を推進するかということを、言ってみれば省内の縦割りを見直す中で資源投入を行っている。

それと同時に、海外の大使館のメンバーにも協力いただこうと。例えばインバウンド観光だったら、大使館というのは、どんどん日本に海外の観光客を連れてくるような、言ってみれば出先機関にすべきだと思いますし、また、インフラのさまざまな情報収集についても在外公館を利用する。そのために、いわゆる在外公館に……(発言する者あり)インフラパッケージ専門官、前副大臣にお答えをいただきましたけれども、そういったものを設けて、我々としては、今あるもので有効的に縦割りの弊害を排除して、経済外交の推進体制に今努力をしているということでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

外務省だけ定員増の要求をしないと。国交大臣時代、率先垂範といいますか、公共事業を減らす等、痛みを伴う内容を大臣みずからリーダーシップを発揮しておられた前原大臣らしい答弁だというふうに思っています。

一方で、公務員改革を掲げる民主党として、一省庁だけに偏る、また甘くするようなことはあってはいけないと思いますけれども、ただ、これはもう政権全体、政府全体として、やはり人員のめり張りをつけた改革を行うべきだというふうに思っておりますし、こういった経済外交については、民間としても大変な関心を示していると思いますので、民間の人に研修、また勉強の機会を、与えると言うと上から目線のようですけれども、与えながら、外務省の仕事を手伝ってもらう。また、省内だけではなく、こういう経済外交に関係の深い、経済産業省であるとか農林水産省であるとか、そういうところからの省庁応援についても、今後、政権全体として考えていくべきではないかと私は思っております。

いずれにしても、マンパワー不足が前原大臣が掲げる経済外交を停滞させることのないよう、万全の強化体制をつくっていただきたい、このことを申しておきたいと思います。

続きまして、TPPについて、玄葉大臣、そして前原大臣にお尋ねをいたします。

まず、このTPP推進の参加の是非につきましては、党内でけんけんがくがくの議論が行われました。玄葉大臣は、一方では党の政調会長として、そして一方では国家戦略担当大臣として、まさにこのかけ橋をやりながらの党内意見集約、大変な御苦労をされたというふうに思っています。そのことに対しては敬意を表したいというふうに思っております。

私も、その議論に深く参加する中で、当然といえば当然のことなんですけれども、一つ安心をしたのは、党内、農業がどうでもいいというのは当然ながらだれもいない。農業、農民、農村を守りながら、それでも国を開いて国富を増大していく、このことについてはコンセンサスが得られたということであります。

ただ、その中で、慎重論が多かったのは、国を開くことについての異存はない。けれども、国を開きながら、参加することありきで農業を守るのではなくて、まずは農業、農民、農村の保護先にありきで、それが確認できた後に参加交渉をすべきだ、こういう意見も数多く出されました。それがゆえに、最終的には、参加交渉というところまでは踏み込まずに、参加というか情報収集のための交渉をする、こういうことに落ちついたわけであります。

このことは私自身も理解をするのでありますが、実は、私自身も、国会議員になるまで商社に勤めておりまして、いろいろな国際的な契約交渉というのをやってまいりました。また、その契約に結びつけるまでの間にいろいろな交渉もやってまいりました。この経験からして、参加をするつもりなんだ、自分は契約をしたいんだ、そういう前提で交渉しないと、まず本当に貴重な情報が得られない、また迫力もない。情報収集だけで、相手がいろいろな、百ある情報を百全部出してくれると私の経験からは思えないんですね。

こういうことが成り立つのは、ある場合だけであります。それは、こちらの立場が圧倒的に強い、すなわち、相手が契約してくれなければ困る、このTPPでいえば、日本が参加してくれなければ困る、だから、参加をするではなくても、情報収集だけでもぜひぜひ接点を持ってくれ、こういうことなんだろうと思うんですね。

そういう中にあって、玄葉大臣は、今TPPの参加を表明している国々にとって、日本というのは絶対に参加をしてもらわなければならない国なのか、それとも、参加したいならいいですよ、どうぞこの条件をのんで参加してください、こういうことなのか、どういう見解をお持ちか、述べていただけますか。

玄葉国務大臣 まず、吉良委員からの大局的な観点からの御意見、そしてお気持ち、よくわかります。

ただ、昨年十一月の段階での結論は、ハイレベルEPAについてまず先行させるというか、そのことについては決意をするということでありました。ただ、これはもう改めて申し上げるまでもありませんけれども、日豪も含めてハイレベルEPAについて政府全体として決意したというのは、これまでの歴史上、非常に大きなことであることはまず押さえておかなければならないし、私は、菅政権の大きな成果だというふうに考えております。

今の御質問は、TPPについて、どういう立場で今交渉に向き合う、協議に向き合っているのかということでありますけれども、やはり政府としては、現状与えられた状況の中で精いっぱいの情報収集をし、協議を重ねていくということしか現段階では申し上げることはできません。ただ、さまざまな分析や検討は少しずつ、その情報収集や協議の中で出てきた情報の中でやることができるようになってきているというふうに思います。

現実に、例えば、これまでも出されてきておりますけれども、TPPというのは原則例外なしだけれども、先般、外務大臣から答弁がありましたように、一方、やはり除外というものを認めるべきだというふうに主張する国もあるとか、あるいは、関税だけではなくて、実は非関税の分野というのがどうも日本にとっては非常に大きなメリットもありそうだ。

例えば、我々はどこの国とは言いませんけれども、外国の部品を現地の工場をつくったときに必ず使わなきゃいけないという規則があったり、模造品、模倣品あるいは海賊版というのが相当出回ったりしています。あるいは、今ロイヤリティーの上限が決められたりしているわけですけれども、では、仮にそういったものがTPPというルールの中で撤廃をされたら日本にとってどのくらいメリットがあるんだろうかとか、あるいは中小企業にとったって、仮に輸出入のフォーマットがアジア太平洋地域の中で統一をされたら日本にとってどうなるんだろうかとか、かなりこれまでよりも幅広く分析、検討ができるような状況になっています。

そういったことを踏まえながら、六月に菅総理が判断をされる。しかも、国民の皆さんの理解の深まりのぐあい、そして同時に、農業についても、言うまでもないことですけれども、攻めの農業の対策をしっかり講じながら、さらには、国民全体で農業を支える、そういう仕組みを構築しながら、最終的に判断をするということが適当なのではないかというふうに考えています。

吉良委員 ありがとうございます。

私自身も、玄葉大臣の立場を追い詰めるつもりも全然なくて、党内で決めたこと、そして政府で決めたことを忠実にやっていくというその立場は支持させていただきます。

ただ、私自身、一点申し上げたいのは、考え方として、情報収集でいいんですけれども、一歩踏み込んで、現場に対しては、留保条件つきの参加交渉というような立場を交渉に、現場に立ち会う人たちには与えてあげないと、ある意味では手足を縛ったまま走れというようなことにもなりかねないんですね。

先ほど私が民間経験を申し上げましたけれども、やはり現場で実際に交渉する立場の人たちが一番伸び伸びやれる環境をいかにつくっていくかということを、我々国会議員として、また政府の高い立場の人が考えていかなければならないのではないかというふうに思っています。

これに加えて、今どういうことが起こっているかといいますと、特にTPPに絡んで交渉の現状がどうなっているかということを、個々の国会議員が外務省の職員を一々呼び出してヒアリングをしているんです。

国民から選ばれた国民の代表たる国会議員が現状把握して正確な判断をする、これは非常に重要なことであります。ただ一方で、さっき言った、膨大な仕事が外務省の中にありながら、一方で社内営業に汗を流さざるを得ない、そこに七割、八割の精力を使わざるを得ない。こういうことが重なっていくと、よく会社というのは倒産するものなんです。そういう意味では、我々は、いかに現場が対外営業に、対外交渉に専念できるか、そのような環境をつくっていくことが大変重要だというふうに思っています。

そういう中で、繰り返しますけれども、情報収集という政府が決めた方針は多としますけれども、現場に対しては、いつでも、最後、条件が合わなければ撤退するんだ、そういう留保条件つきの参加交渉、そういう位置づけで頑張れということをぜひ玄葉大臣の方からも指揮願いたい、このように思っております。

あと一点、TPPについてなんですけれども、TPPの参加の是非につきましては、とかく、先ほど言いました、農業が大丈夫か、農業以外のサービス産業は大丈夫か、このような議論になりがちなんですけれども、私は、TPPに参加することというのは、経済安全保障はもちろんですけれども、いわゆる安全保障、そして日本全体の収益構造、このことについては、リーマン・ショックの前でありますけれども、二〇〇七年でいうと、実は日本は、貿易収支上の黒字が十二兆円、そして配当等を中心とした所得収支の黒字が十六兆円。私たちが小中学校で学んだときは、日本は貿易立国、貿易立国ということで学びましたけれども、今や実は投資による所得収支が多い国になりつつある。

そういう中で、TPPというのは、貿易かつ投資による富をより増大させるという意味を持っている。そういう意味での日本全体の収益構造の変化、そしてもう一つは、世界秩序への主体的関与という意味合いもあろうかというふうに思っています。

前原大臣が、先日のこの予算委員会の答弁で、TPPというのは、将来的にはAPECの経済的な連携であるFTAAP、このFTAAPの枠組みをつくっていく一つの核になるという趣旨の発言をされたというふうに思っています。そういう意味で、世界経済秩序を新たにつくっていく、主体的に日本が関与していく、この意味合いも実はTPP参加にあるというふうに思っています。

私が今申し上げた安全保障上、そして日本の収益構造上、そして世界的な経済秩序に主体的に関与していく、この三点から、もっともっとTPPの参加意義を強調すべきではないかと思っておりますけれども、前原大臣の見解をお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 御意見は、私、かなり共通をしておりまして、先ほど答弁の中で、日本は人口減少だということを申し上げました。二〇〇四年からどんどんどんどん人口減少、しかも、今は緩やかな減少ですけれども、このまま放置しておけば相当激しい人口減少になっていきまして、日本だけをマーケットに考えると経済活動は収縮をしていくということになります。

他方で、世界に目を転じれば、現在は七十億人ぐらいの人口ですけれども、あと四十年たてば約九十億人ということで、二十億人がふえていくということになります。特に成長の中心となるのはアジアでありまして、インフラ需要だけで、アジアは向こう十年間、八兆ドルと言われるインフラ需要があります。例えば、水ビジネス、それから発電あるいは高速道路、高速鉄道といった輸送、こういったものに対して、しっかりと我々は目を向けていくということが大事であろうと。

先ほど委員がおっしゃった中で、いわゆる所得の収支、これをどう高めていくような構造にしていき、それを日本に還元し、そして税収あるいは日本の雇用につなげるかという観点も必要だと思います。そういう意味での、より自由な貿易体制で、それがやりやすいような環境をつくっていくという意味においてのマルチの仕組みということは非常に大事だと思います。

あとは、日中関係一つとりましても、例えば尖閣の問題でぎくしゃくしたということでありますけれども、中国から見ても、日本からの輸入が輸入国のナンバーワン、そして輸出はアメリカに次いで日本への輸出がナンバーツー、日本からすると、輸入も輸出も中国がナンバーワンなんですね。ということになると、経済的な相互依存関係が強まれば強まるほど、また、そういうものが二国間ではなくてマルチになればなるほど、古典的な意味での争いというのはしにくくなるような状況になるということになります。

そういう意味での、先ほど委員がおっしゃった安全保障面から見ても、この自由な経済体制で相互依存体制をきっちりつくっていくということは、これはまた大事なことではないかというふうに思っておりまして、それがTPPなのか、あるいはASEANも固まりを二〇一五年に持つということで、ASEANプラス3、ASEANプラス6、こういうものも動いているわけでありますし、私、日中韓のFTAも研究段階から実施の段階へとまた向かっていかなくてはいけないという意味で、TPPもその一つでありますけれども、あらゆる可能性でさまざまな取り組みを通じて日本の富を増大させ、そして、物の行き来をしっかり行う中での、広い意味での安全保障体制を築き上げていくということは、委員御指摘のとおり、極めて大事なことだと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

私がこのTPPについて最後に申し上げたいのは、先ほど世界経済秩序構築に当たって主体的に関与するという言い方をしましたけれども、TPP参加国はAPECの中にすべて含まれております。そういう意味で、まさに今世界の成長センターであるアジア、そして環太平洋地域、この地域がまさに今後の世界の経済秩序をつくっていく、その際に、FTAAPが将来の連携の最終ゴールとせば、このTPP参加国というのは、国連でいえば安全保障常任理事国、すなわち今後の経済上のルールメーキングをしていく立場になる、そういう枠組みなんだろうというふうに思っています。その意味で、私は、こういう世界経済秩序に対する主体的関与というふうに申し上げたのであります。

先ほど来、前原大臣が強調していますとおり、人口減少等、また財政的な制約を掲げる中で、私たちが今後札束外交をしていくわけにはいかないわけですね。より高い価値、理念を掲げ、そしてルールメーキングの段階から積極的にかかわっていく。ヨーロッパのイギリスだフランスだがやっているように、少ないコストながら非常に重要な価値を掲げることによって世界のルールづくりに積極的に関与していく。そのためにも、このTPPという枠組みが極めて重要だということを指摘させていただきたいと思います。

玄葉大臣、ありがとうございました。

海江田大臣、お待たせをいたしました。続いては、インフラパッケージ輸出、またはインフラ海外展開ということに焦点を当てて少し議論をさせていただきたいというふうに思っております。

まず、ちょっと嫌な質問かもしれませんけれども、UAEの原子力発電所商談、これは国を挙げて、負けた負けた、トップセールスが足りなかったという言われ方をよくします。また一方で、ベトナム原子力商談、これは、とれたとれた、受注した、こういう言い方がされます。海江田大臣は、UAEの原子力商談、これは負けたという認識をお持ちなのか。そして、ベトナム原子力商談について、受注した、とれたという御認識をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 吉良委員にお答えをいたします。

私は、インフラシステム輸出というのは、もちろん商談をとる、とらないということも大変大きな要素でございますけれども、やはり現地の人々にとってよりよい生活を保障するために私どもはそのインフラを輸出するんだという考え方でございます。

もちろん、相手の国に押しつけることはできません、相手の国が決めることでありますが、私どもはやはり私どもの、例えば原子力のインフラにしましても、安全性ということでいえば私は世界で最高水準だという思いでおりますから、その意味では、この私どものインフラシステムを採用してくださることが本当の意味でその国民にとって幸せなことなんだという観点から輸出を推し進めているところでございますので、あとは現地の人たちがどういう選択をするかで、一つ一つについて勝った負けたということは私は余り念頭に置いていないということをお答えしておきます。

吉良委員 ありがとうございます。

まず、UAEについては、私も、最終的に韓国とUAEの間でどういう契約内容になったか、詳細までは存じ上げません。しかし、六十年にわたるオペレーション上の保証を要求し、韓国がそれをのんだというふうには聞いております。

私は何が申し上げたいかといいますと、今、政府が旗を振りながらインフラ海外展開を推し進めようとしています。これは大変いいことだというふうに思っています。ただ、その最前線に立つ民間からしてみると、金額も莫大な金額になる、そしてリスクも、これまで経験したことのない質、量、また長期にわたるリスクが想定されるわけであります。

こういう中で、ただ一時的なプラントの輸出部分がとれたからといって、残りの六十年にもわたってその運営リスクを負う、何かリスクがあったら最初のプラント輸出の何倍、何十倍という損失を食らってしまう、こういうようなことがあってはならないというふうに思っているんです。

日本においてもまだ原子力は六十年稼働しておりません。四十年たって、五十年たって一体どういうふうになるのかまだわかっていない。そういう意味で、私は、個人的な見解でありますけれども、UAEの原子力商談、六十年のオペレーションリスクを要求されたのであれば、これはあえて受けなかったことが日本にとって正解であったんだろう、このように思っております。

吹雪の中、何年も苦労して、頂上直前まで行きながら勇気ある撤退をする。それは、頂上にアタックすることによってやはり大きなリスクを背負う。悔しいけれども、そこで勇気ある撤退をする。これは大変重要なことなんです。そういう意味で、私は、このUAEについて、あえてとりにいかなかった日本企業、また一部米国企業の良識に対して深く敬意を表するものであります。

インフラ輸出に限りませんけれども、こういう新たなフロンティアに挑戦する場合というのは、一番いいのは、限りなく一番に近い二番か三番ぐらいで先頭を走る人たちの失敗に学ぶ。(発言する者あり)いや、そうなんですよ。自分が一番最初に勢いよく行けといって行ったはいいけれども、返り血を浴びてもう再起不能のようになってしまったら、こんな失敗をしていいのかということで、次に頑張っていこうという世論が形成されないんです。そういう意味では、私は、このUAEの日本企業撤退、大変見識ある対応だったというふうに思っております。

そのことをまず申し上げたいのと、一方、ベトナムについては、これまた受注したとかとれたとか日本じゅう騒いでおります。けれども、では金額は幾らなのか、では加圧型なのか沸騰型なのか、この型も決まっておりません。こういう中で、受注とか、とれたとか、これはあり得ないわけなんですね。そういう意味では、まさに日本をパートナーとしたい、条件が折り合えば日本にお願いをしたい、いわば優先交渉権をベトナムから与えてもらったんだというふうに了解をしております。

しかし、まだこの型も決まっていない、金額も決まっていない中で、日本をパートナーとしたい、日本に優先交渉権を与えたいと。これは、我が政権が総力を挙げて展開をしてきたトップ外交のまさに成果だというふうに思っています。ここでは、慎重に、かつ、さっき言った、民間に過度のリスクを負わせ続けることなく、しっかりと国とそして民間のリスク分担をしながら確実に受注に結びつけていく、このことが必要だというふうに思っております。

ちょっと私の演説のようで恐縮でありますけれども、その上で一点、これも、この予算委員会の場であえて私の方で主張させていただいて大臣と共有させていただきたいのは、実はこのインフラ商談というのは、輸出、輸出からだんだん事業へ、事業投資へという流れができているということであります。残念ながら、新聞各紙も、やれ高速鉄道にしても原子力にしても水にしても、輸出、輸出、輸出というふうになっておりますけれども、世界の潮流は事業投資へというふうに変わってきております。

そういう意味で、これも経産大臣、そしてまた外務大臣にもお聞きしたいんですけれども、政府内で、このインフラ海外展開は、輸出ももちろん残っているけれども、輸出からどんどん事業型へと変化していっている、こういう認識、そしてその認識に基づく具体的な政府支援策を考えておられるのかどうなのか、その辺についてお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 吉良委員にお答えをいたします。

これは、昨年の九月でございますが、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合が生まれました。ここでいろいろな議論をしているわけでございますが、特に、今委員御指摘のような、やはり事業全体をしっかりと政府も後押ししていくべきではないだろうかということで、昨年の十二月にこの大臣会合で、やはりそうした事業、これは息の長いことでありますから、それを支援していくために幾つかの新しい改善点を盛り込んだところであります。

もうこれは委員が一番よく御存じのことでございますが、改めて御紹介をいたしますと、やはりJBICの機能の強化が第一点、二番目がJICAの海外投融資の年度内の再開、それから三番目が私ども経産省に関係してまいりますNEXIによる貿易保険の強化でございます。

具体的に申し上げれば、今の民間融資に対する付保率、これが九五%程度になっていますから、一〇〇%にしよう。それから、当然為替のリスクも出てまいりますから、これまではドルとユーロだけでございましたけれども、これを広げて現地の通貨などにも対応できるようという形で改善をするということでございます。

こういう具体策を講じるということをこの関係閣僚会議で決めたということは、私は、とりもなおさず、まさに単なる輸出から事業全体として政府がバックアップしていこうという認識に達したということでございます。

前原国務大臣 委員おっしゃったことは身をもって今感じているところであります。

例えば、国交大臣のときからやってきた高速鉄道の海外展開ということも、正直申し上げて日本はかなりおくれております。

なぜおくれているかといいますと、コンサルから会社をつくって、そして地方政府も含めてきめ細かく相談をしながら、例えば高速鉄道計画への、さまざまな問題へのアドバイスまでコンサル会社がやって、そのコンサルとつながっている商社あるいは鉄道会社が事業をその延長線上でとりに行くというようなことをもうヨーロッパの会社なんかはしっかりやっているわけですね。どの地域とは申し上げませんけれども、そういう意味において言えば、私は、日本の高速鉄道の受注というのは、ある地域においてもう完全に出おくれているという気がいたしました。

これも今、日本も鉄道のコンサル会社をつくって、そしておくればせながらそれをやろうとしておりますけれども、まさに委員が御指摘のように、まずは単なる輸出から、そういう事業案件形成からきめ細かくコミットメントしておいて、そしてその流れで仕事をとっていくという形にしないと、これからも仕事はなかなかとれないのではないかと思います。

あるいは、これも釈迦に説法だと思いますが、例えば上下水道なんかを東南アジアの国々に輸出しようと思ったら、どうマネジメントするかというそのノウハウを教えてあげないと、ただ単に工事だけとりましたというのではだめなんですよね。ですから、その維持管理、そして何かがあったときの対応方法、これも含めて、やはりしっかりと技術も含めて移転をするという信頼感を持たないと、日本はいいものがありますよということだけではなかなか採用していただけない。

そういう意味では、先ほど海江田経産大臣がおっしゃった、ファイナンスやあるいは貿易保険などのセーフティーネットあるいはバックアップ体制プラス案件形成から、事業形成からきめ細かに対応し、その延長線上でしっかり仕事をとり、その後をマネジメントで日本が仕事をしていくという観点が必要で、それがまさにウイン・ウインの関係を築く根本ではないか、そう思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

もう少し突っ込んだ議論もしたかったのでありますが、ちょっと時間配分の関係で、また個別の委員会で話をさせていただきたいと思いますが、このインフラの最後の部分で二点だけ、またこの場であえて申し上げたいと思います。

それは、一つは、今両大臣からもお話がございましたけれども、輸出から事業というのはどう違うかというと、極端な話をしますと、今、前原大臣から話がございましたけれども、例えば鉄道案件は、JR東海というのは、もちろん新幹線という列車の技術、大変高いものがありますけれども、国際的に一番競争力があるのはその運行システムそのもの、そこに一番大きな競争力があるわけです。ですから、求める国からしてみると、そこが一番欲しい。ですから、極端に言うと、仮に事業権入札があったときに、JR東海がその事業権を受注しました。そして、では機器をどこにするか。本来なら日本の企業のあの新幹線を採用したい、もちろんだ。けれども、仮の話ですけれども、日本の機器の値段が一〇〇でヨーロッパのTGVが半分だったりしたときに、TGVを採用しながら、その運行システムの強みで事業益を最大化する、これが実は輸出から事業へという違いなんです。

そして、さっきTPPのところでも話をしましたように、日本は今や貿易収支よりも所得収支の方が大きいんです。したがって、仮に輸出がなくても、日本企業が投資をする、そして事業益が上がる、その事業益は配当として日本に還流されてきて税収として納められる。そういう意味では、私たちの国として、輸出に必ずしもこだわらず、輸出の伴う事業投資が一番いいけれども、事業投資だけであったとしても全面的にバックアップしていく、そして税収として回収させてもらう、この発想が重要だというふうに思っています。

それに加えて、もう一点だけ。

これはまた、細かくは先ほど言いました個別委員会で話をしますけれども、政府が事業を後押しするときに問題になるのが、例えばNEXIの保険制度を充実させる。リスクが何も起こらなかったときはその民間企業の利益になる。ところが、リスクが具現化するとそれがNEXIまたは国民負担になってしまう。この調整、バランスをどうとるかなんです。

その中で一つ重要なことは、劣後融資という手法がございます。よく専門用語でメザニンローンという言い方をしますけれども、出資にも近いけれども、口出しをしない出資ともとれるローンです。要は、劣後ローンと言うぐらいですから、何かプロジェクトがポシャって資産を売却したときに、足りなければごめんね、そういうローンであります。しかし、金利は高くとれる、リスクが高いから。リスクが具現化しないときには、金利を高く設定することによって国民に還流させてもらう、還元する。そして、リスクが起こったときは、そのかわりに国民全体で負担をしていく。こういう発想が必要だということを申し上げておきたいと思います。

さて、北澤大臣、大変お待たせをして失礼いたしました。もう時間が限られて大変恐縮であります。

昨年暮れに策定されました防衛大綱、私自身も党の外交・安全保障調査会で提言をまとめた立場でもありますので、またそのことも取り入れていただきながら、大変すばらしい防衛大綱ができたというふうに思っております。特に北澤防衛大臣が、この世界的なパワーバランス、世界の力関係が変化する中において東アジアの安全保障環境が大きく変化をしている、そこに置かれた日本の安全保障、大きな転換期を迎えている、その中で、政権交代後初代の防衛大臣としてリーダーシップを発揮され、この環境変化に対応した防衛大綱ではないかと私自身は思っております。敬意を表しております。

北澤防衛大臣が一体何に力点を置き、何を考え、この防衛大綱を策定されたのか、そのことについてお聞きしたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

今お話のありましたように、政権交代ができて初めての、そしてまた、政権交代という大きな変化の中で一年の猶予をいただいて六年ぶりに大綱の見直しを行ったということでありまして、これは我が国を取り巻く、先ほどもお話のありましたような厳しい安全保障環境の中で我が国の防衛の方針を示すには、皆さん方の御協力をいただいてしっかりしたものが打ち出せたのではないか。

その間に、吉良委員におかれましては、党のお立場で提言もまとめていただき、また閣僚間の政治レベルの協議にも陪席をいただいて適切な御助言や御主張をなさったことに大変感謝をいたしております。

時間もないようでありますから端的に申し上げますが、新しい大綱は、安全保障の基本方針として、我が国自身の努力、同盟国との協力、それから国際社会における多層的な安全保障協力を掲げて、その問題に各種課題を提示して、その中で新たな防衛構想を取りまとめて、その中で特に南西重視ということを打ち出したことは、私は一定の評価をしていただいてもいいんじゃないかと。それから、全体の中で動的防衛力という新しい概念をつくり上げていただいたということは、大変画期的なことだと。

時間の関係もありますので長くお話はできませんけれども、この動的防衛力の概念と、それから、私はこれからも政権交代はあると思うんです。そういう中で、外交もそうでありますけれども国防も、政権交代が行われたから大きく変わってしまったということではいけないので、私は、歴史的に初めての政権交代の中で、防衛構想が従来の政権からどういう連動性を持っているか、そしてまた、どんな変化をもたらしたかということをはっきりさせるべきだと。

そういう意味で、〇七大綱は、基盤的防衛力構想ということで、いわゆる我が国の抑止。それから、その後深化をさせて、一六大綱でこれに対する対処を重心にした大綱であったというふうに思います。そして、この一六大綱で提示された問題点として浮き上がってきたのは、私は今回の運用だというふうに思っております。

この運用に力点を置いて動的防衛力という概念をつくり上げたわけでありまして、これの実務面でのことについては、もう御案内だと思いますが、防衛力の実効的向上のための構造改革に向けて、防衛省内に構造改革委員会をつくり、そしてまた、人的構成に対する検討もその中で進めていくということで御協力をいただきながら、私は、新政権としては、安全保障理念、そしてまた防衛構想というものはしっかり打ち立てられたのではないかというふうに考えておる次第であります。

吉良委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

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