吉良州司の質疑録

2017年3月23日

2017年3月22日 外務委員会 稲田防衛大臣に対する質問

○吉良委員
民進党の吉良州司です。
まずは、岸田大臣、稲田大臣、日ロ2プラス2、お疲れさまでした。この件につきましては、私の場合、また後半に時間をいただいておりますので、岸田大臣にいろいろとお聞かせいただきたいと思います。この十分間、場合によっては同僚議員の了解を得て少し十分を超えるかもしれませんが、稲田大臣に対して、南スーダンPKO派遣についての事柄につき質問をさせていただきたいと思います。稲田大臣、質問通告はしていませんが、ごく一般的なこととしてまずお聞きしたいのですが、防衛大臣に就任後、稲田大臣の一つの生活パターンについて、といっても細かいことではなくて、大体何時ぐらいに起床されて、何時ぐらいに防衛省に行かれて、何時ぐらいに戻られて、また就寝されるか。大臣の場合は、海外出張、国内出張、そしていろいろなイベント参加もありますので、なかなか一様ではないとは思いますが、一般的な日常について、お答えいただければと思います。

○稲田国務大臣
その日の国会の様子やさまざまな状況において異なりますけれども、起床するのは大体四時半から六時半の間ぐらいですね。そして、役所に行くのも、国会があるときには政府控室の場合もありますし、役所に行くこともありますし、官邸にまず行くこともありますし、さまざまでございます。そして、帰るのは大体九時半から十時ぐらい。寝ますのは十二時から一時ぐらいかというふうに思います。

○吉良委員
幾分プライベートにかかわることにもかかわらず、お答えいただきありがとうございました。それではもう一点、今、南スーダン・ジュバの現地時間は何時でしょうか。

○稲田国務大臣
大体朝八時ぐらいかなと思います。

○吉良委員
ありがとうございます。南スーダンと日本とは時差が六時間ありますので、今、現地時間では八時過ぎです。なぜ最初にこのような質問をさせていただいたかといいますと、稲田大臣は、ジュバに隊員を派遣している責任者として、もちろん最高責任者は総理ですけれども、実質的な責任者が稲田防衛大臣ということで、常に、今日本では何時だけれども、現地ジュバでは何時で、そしてどういう生活をしている、ちょうど今、インフラ整備のために宿営地を出たころだろうとか、その辺のところを常に現地に思いをはせながら毎日過ごしておられるか。念のための確認としてお答えいただけますか。

○稲田国務大臣
もちろん、私、大臣になりましてから、毎日、ジュバの状況については、事務方から報告を受けております。それは、今問題になっている日報からの情報のみならず、現地の情報、そして国連からの情報、他国部隊からの情報、そして、きょう施設隊が何をやる予定で、次に何をやる準備をしているか等々、報告を受けております。
そうすることによって、週末は除きますけれども、この直近の十二時間の様子をしっかりと確認しつつ、自衛隊員が安全を確保しつつ有意義な活動ができている状況かどうかということ、そして、今回、活動終了を決めて、五月に全員無事に日本に帰国して、家族のところに戻れるまで、緊張感を持ってその安全状況等を確認してまいりたいと考えております。

○吉良委員
今の答弁の中で、責任感を持って、現地にも思いをはせている、また家族にも思いをはせているという話がありました。私がなぜこの話をさせてもらったかといいますと、防衛大臣として稲田さんの先輩に当たる石破茂元防衛庁長官そして防衛大臣、この石破茂さんと一緒にアメリカでとある会合に出席する機会があって、そのとき、ちょうどイラクのサマワに、イラク復興支援のために、石破大臣が責任者として部隊を送った、そのときでありました。石破大臣の話を聞いて、私はもう大変な感銘を受けました。石破さんは、部隊を派遣している間、睡眠時間が大体三時間ぐらいなんだそうです。なぜか。それは、石破大臣は、日本時間とサマワ時間と、両方とも生きていたということなんです。どんな状態がいかなるときに起ころうとも即座に対応できるようにということと、あの灼熱の地で活動している自衛隊員とともにあるということを、みずからその覚悟を持って、かつ、それを生活の中に組み入れておられた、こういう話を聞いて大変感銘を受けたんです。そういう意味で、稲田大臣も、今、報告を受けてとかありましたけれども、今回、南スーダンに対しては、それでなくても治安状況が非常に悪くなっている、だからこそ、これだけ国会でも問題になっている。しかも、それに加えて、危険度がさらに増す駆けつけ警護の任務も与えた中で送り出している。その稲田大臣が、寝ても覚めても隊員の活動や思いに、まさに思いをはせて、彼ら隊員とともにいるのか、その覚悟をお聞きしたくて先ほどのような質問をさせてもらったわけです。実は、その覚悟について、申しわけないですが、疑わざるを得ないようなことがあります。今議論となっている日報問題については他の議員がやるでありましょうけれども、私はちょっと観点が違って、駆けつけ警護にかかわることなんです。まず、駆けつけ警護の任務付与を指示した責任者は稲田大臣ということで間違いございませんね。

○稲田国務大臣
そのように認識しています。

○吉良委員
では、駆けつけ警護にかかわる、ある意味、危険手当とも言える「駆けつけ警護手当」、これは日常の国際平和協力手当に加えて、駆けつけ警護の手当が幾らで、どういう状況の中で支給されるということが決まっていますが、これを決めた責任者も稲田大臣という了解でよろしいですね。

○宮島政府参考人
失礼いたします。いわゆる駆けつけ警護に関する国際平和協力手当につきましては、PKO法上の第十七条の第一項に基づきまして、派遣先国の勤務状況と任務の特性等を総合的に勘案して決めるということで、現在支給されている日額一万六千円とともに、日額八千円を新たに支給することになりました。これに関しましては、内閣府が、防衛省等関係省庁と調整の上、南スーダン国際平和協力隊の設置等に関する政令を改正し、昨年十二月六日に閣議決定をいたしまして、同九日より施行いたした次第でございます。

○吉良委員
私は、決めた責任は稲田大臣ですかと聞きましたが、今のお話ですと、事務局があり、防衛省があり、そして内閣があるということでありました。ただ、稲田大臣に確認したいのは、この駆けつけ警護手当とその支給条件については大臣が送り出す責任者として認めた、これは間違いないですね。

○稲田国務大臣
これは昨年十二月六日に閣議決定をしたものであり、その中において私も了承したということでございます。

○吉良委員
私は、実は、この駆けつけ警護の、金額は横に置いておきまして、支給の条件というものがどうしても納得ができないんです。それで、今回、この問題を取り上げているんです。それは、与党の皆さんも御存じだと思いますけれども、駆けつけ警護の任務は付与している、だけれども、駆けつけ警護の手当については実際に駆けつけ警護の任務に当たったときのみ支給されるという条件です。これで本当にいいんでしょうか。
駆けつけ警護という任務を与えることが決まり、隊員たちはそれに基づいて日々訓練を重ね、そして、国会でいかなる答弁をしようとも、実際、隊員たちは、南スーダンは今危険な状態にある、その中にあって、さらに危険度の高い駆けつけ警護の任務を帯びていく。そのような使命感と覚悟を、大臣がその任務を付与して派遣した時点から、隊員たちはその覚悟で臨んでいるんじゃないですか。であるならば、任務を付与して現地に派遣した時点からこの駆けつけ警護の手当を支払うのが筋ではないでしょうか。いかがですか、大臣。

○稲田国務大臣
この駆けつけ警護、これは、今までのPKO活動の中でもそういう要請があって、法的根拠がない中でも、邦人保護のために自衛隊員が駆けつけて邦人を保護したりなどいたしました。そういう要請等もあり、法的根拠、さらには、しっかり訓練をして駆けつけ警護という任務を付与したわけですけれども、これは、自衛隊部隊の近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、ほかに速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しないといった極めて限定的な場合に、緊急的な要請を受けて、人道性の観点から、応急的、一時的な措置として、その能力の範囲内で行うものであります。
したがって、派遣施設隊の要員に駆けつけ警護の業務が新たに付与されても、それが日々の国際平和協力業務の性格が変わらないものであることから、駆けつけ警護に実際に従事した場合にのみ支給することとしたものです。新たな任務を付与する以上、任務を遂行する現場の自衛隊員に対し、任務の実施される環境や任務の特質などに見合った新たな国際平和協力手当を支給することは当然であって、これによって、任務を遂行した現場の自衛隊員の労苦に報いることにもつながるというふうに考えているところでございます。

○吉良委員
私の論点に正確に答えていただいていないと思っています。私は、駆けつけ警護手当がだめだと言っているんじゃないんです。逆に、その任務遂行時だけじゃなくて、任務を付与した時点で、そしてそれを現地に派遣した時点で渡すのが筋だということを言っているんです。冒頭、石破茂元防衛庁長官、防衛大臣の例を出したのも、隊員の日々の気持ちに寄り添い、その危険を絶えず思っているということを、その大臣の覚悟に感銘を受けたということを言いました。私が、なれないですけれども、防衛大臣の立場だったら、今言った、政府内でこのような決定がなされようとしたときに、ふざけるな、冗談じゃない、この危険な地域に、これだけの任務を与えて出す、そのときに、自衛隊員は、任務が付与された時点で、非常に高い使命感を持ち、覚悟を持つんです。そして、恐らく派遣前には、家族にもそのことを伝えて、危険かもしれないけれども、自分は日本のために、そして南スーダンのために命がけで行くんだということを家族にも伝えているはずです。その覚悟に対してきちっとした手当を払う。もちろん、自衛隊員たちは、お金のためにやっているんじゃないですね、崇高な任務のためにやっている、それはわかります。けれども、送り出す側は、それに甘えるのではなくて、隊員たちにも家族にも納得してもらえるような、まさに援護射撃をするのが防衛大臣の役割ではないんでしょうか。いかがですか、大臣。

○稲田国務大臣
駆けつけ警護の任務を与えたことによって、今、南スーダンで、施設隊の活動しているその業務の内容が変わるわけではありません。あくまでも本質は、施設隊としての活動です。しかも、この駆けつけ警護、何かすごく特別なことをやるということではなくて、今までも、そういう要請がある中で、法的根拠がなくても、自衛隊員は、助けられるものであれば、邦人がそういう状況になっているときには助けに行っていました。しかしながら、今回、しっかりと法的根拠も与え、しっかりと訓練もし、緊急的、人道的に、しかもみずからが対応できる場合に限ってこの保護を行うことができるというふうにしたものでございます。したがいまして、活動の本質は今までどおりである。しかしながら、先ほど申し上げましたように、駆けつけ警護に実際に従事した場合にしっかりと手当を付与するということでございます。

○吉良委員
やはりちょっと論点がずれていると思えてしようがありません。
今までの任務と変わらないとおっしゃいましたけれども、結果的には、一度も駆けつけ警護を行う場面に遭遇しない場合もあり得るでしょう。けれども、危険な地域において、より危険度の高い任務を付与して送り出した。現地に着任した、その時点から、実は、駆けつけ警護にいざとなったら行くんだ、また行かざるを得ないんだという覚悟が自衛隊員にはあるんです。その自衛隊員の覚悟に対して、使命感に対して、送り出す側はきちっと報いるべきではないか、このことを申し上げているんです。もう時間が来ましたので、私が言いたかったことは、今言ったようなことも含めて、絶えず現地の自衛隊員に寄り添い、自衛隊員の命を必ず守り抜くという覚悟で臨んでいただきたいと思っていますが、その確信が持てないので、辞任をされるべきだと思います。また、撤収を決めたこと自体は私は評価をしますけれども、一日も早い撤収を強く望んで、私の質問を終わります。

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