98年賀状 ニューヨーク便りNo.5

新年明けましておめでとうございます。

皆さん元気でお過ごしでしょうか。

昨今の日本は何かと暗いニュースが多く、外地で暮らしている我が家でも気が滅入ることが多々ありましたが、今年は大きな夢と希望が膨らむ年になるよう祈願しています。

昨年の我が家は1995年の渡米以来毎年そうですが、毎日毎日を必死に生活したという感じでした。言葉のハンデイを背負いながらの娘達の学校生活は、時間的な余裕の無さという形で、我が家の生活を必死にさせざるを得ません。いずれ、米国の学校教育について詳細にレポートしたいと考えておりますが、非常に面白い、魅力的な(子供が興味を持つ)宿題が毎日どさっと出されますので現地の中学校に通う長女の綾子は勿論、小学校5年生のゆみこまでその宿題に追われ、寝床につけるのは毎日11時というような状態で、月曜から金曜日までは学校と戦っているという感じです。土曜の朝は(週休2日制の為休みですが)綾子もゆみこも昼近くまで死んだように眠っています。

そのような生活を送っているだけに、長期の学校の休みを利用して出かける家族旅行は、我が家の一番大きな楽しみとなっています。昨年は夏休みを利用してカナデイアン ロッキーに出かけ、大自然、その中での乗馬や、カヌー、ハイキング、川下りなどをおおいに満喫しました。11月の感謝祭の休みにはカリブ海のアルーバという島(ベネズエラのすぐ北)で、透き通る青い海を楽しみました。この年末年始の休みには(子供達が地理の学習の中で“どうしても行きたい”と興味を持つようになった)パリに出かけます(この年賀状を書いている時点ではまだ、出発していません)。

9.11テロの標的となった世界貿易センタービルを背景に遊覧船上にて

このような家族旅行を除く、我が家の昨年の大きなニュースは、まず第一に、綾子が日本人学校から、現地の中学校に転入したことです。中学は授業の内容自体難しいこともあり、大変な勇気がいることでしたが綾子は決断し、苦しみながらも頑張って通っています。二番目はゆみこが英語の特別教室(ESL)を卒業し、アメリカの子供と全く同じ授業を受けるようになりました。また、仲のよいアメリカ人の友達も出来、家に遊びにいったりするようにもなりました。三番目は昨年3月にお父さんの故郷大分からおばあちゃんが遊びに来てくれました。一緒にワシントンに出かけ、子供達も久しぶりにおばあちゃんに甘えていました。四番目は、千代美の姉一家が昨年3月までは同じニューヨークに住んでおり何かと千代美の支えになっていましたが、7年もの駐在生活を終え3月に帰国してしまったことです。千代美にとっては淋しい限りですが、一方、東京の実家におじいちゃんが一人で暮らしていることが気にかかっていましたので、その実家の近所に帰国してくれたことでほっと安心しています。五番目は、さちこが補助車なしの自転車に乗れるようになったことです。猛特訓の末、お父さんが傷だらけになりながら勝ち得た成果です。これ以降、全員で近くの公園に出かけ、みんなでサイクリングを楽しんでいます。6番目は、綾子がクラリネット、ゆみこがフルートにお熱になったことです。日本では贅沢に聞こえるこれらの楽器も学校の音楽の授業の一環で習得しているもので、本来、高嶺の花であるものを全米の学校で使用することにより、その楽器の生産やレンタルのコストを下げ、ごく一般の家庭でも手の届くものにするところは見習うべきだと思います。

お父さん、こと州司は相変わらず、南米出張が多く、最近は特にペルーに出かけることが多くなっています。昨年の12月17日は日本大使館人質事件が発生した日でしたが、そのちょうど1年後、(時間的に)江戸のかたきを長崎で討つように、14億円程のファイナンス付き商談の調印をこの12月17日にリマで行いました。人質となっていた駐在員がほとんど帰国する中、我が社の二人はそのまま居残っており、本商談でも獅子奮迅の活躍をしてもらいました。今年もペルーを中心に中南米に通いずめになると思います。

お母さん、こと千代美は「生活との戦い」の中で、その侍大将として巴御前のように華々しく奮戦しています。一日のある時間はレストランの経営者、ある時間は、ボランテイア(学校の図書館の手伝いをしています)、また、(どこに行くのもすべて車での送迎が必要ですので)ある時間はハイヤーの運転手、夜は綾子・ゆみこの家庭教師、更には末っ子のさちこ相手には幼稚園の先生・保母さんをやっています。よく身体がもつものだとお父さんも感心するくらいです。お母さん 今年も頑張れ!

今年は赴任後3年が経過しますので、「生活との戦い」にさよならを告げ、何とか「生活を楽しみ」たいと思っています。

同封の写真はカナデイアン ロッキーの旅行中にジャスパーというところで“お父さん”が撮った写真です。それ故お父さんは登場していません。この写真で、いつも近況を報告している我が家の誇る4人の美女を御紹介させて戴くと同時にお父さんの写真の腕を少しばかり自慢させて戴きたいと思います(実はお父さんが登場している写真(ビデオもそうですが)はどれもこれもとても人様に見せられるような代物ではなく、お父さんはカメラマンに徹することが、家族にとっては一番幸せです)。

本年も皆様にとって素晴らしい年でありますよう心よりお祈りしております。

1998年1月元旦 吉良州司・千代美(TEL 1-201-612-7330)
綾子(12歳、現地の中学校2年生)   ゆみこ(11歳、現地校5年生)   さちこ(5歳、ナーサリー2年目)

米国自宅前庭の娘たち