吉良からのメッセージ

2015年3月20日

衆議院予算委員会をふりかえって

現在参議院において、予算審議が行われていますが、衆議院については3月13日、衆議院予算委員会および本会議において採決が行われ、今国会での予算案が可決されました。1月の開会から2ヶ月弱にわたり、与野党が包括的な議論を繰り広げてきました。

(ご存知の方も多いかと思いますが、予算委員会では、予算審議のみならず、国政の重要事項についての審議が行われる「よろず委員会」という側面が強いもので、予算の執行を行う内閣の方針について、与野党が広く議論を戦わせる場でもあります)

今後、国会では、私の所属する外務委員会や地方創生委員会等、各委員会の審議が本格化していくことになります。今回のメルマガでは、先日まで行われた予算委員会の与野党の議論について、私の感じたところをお伝えしたいと思います。

まず、今予算委員会では、(前)農水大臣の辞任劇に代表されるように、「政治とカネ」問題が大きく注目されました。民主党議員による質疑も、献金問題への追及に関する議題が多くありました。

このことについては、建設的な議論を避け、スキャンダル追及型の質疑に終始する「相変わらずの野党体質だ」といったような批判を数多く受けました。

私自身、「揚げ足取りの、単なる疑惑追及だけの野党であってはならない、理念、ビジョン、政策をぶつけるべきだ」と言い続けて来ましたし、これから始まる外務委員会や地方創生委員会では、建設的な質疑を行いたいと考えています。

しかしながら、今国会で民主党が追及した「政治とカネ」問題は、自民党という政党が抱えている本質的な問題を再度あぶりだしたという観点から、非常に大きな意義があったと考えています。

自民党という政党は、消費税や所得税を考えれば、全ての国民から広く薄く税金として徴収したお金を、一部の業界だけに還元する(選挙の時に人・金・票を出してくれて、日常的に自民党・同党所属議員を献金や種々の支援形態で応援してくれる業界・団体・会社に、支援の見返りとして予算を配分し、その業界に有利な法をつくる)という政治構造を断ち切ることができません。

そのような「利権構造」から脱却することが今の政治に必要なことであり、12年前の知事選出馬以来、私が常に訴え、実践してきたことでもあります。
高度成長が終わり、日本を取り巻く内外の環境が大きく変化する中で、この構造を断ち切れなかったことが、1000兆円以上に及ぶ借金を積み上げてしまった最大の原因であり、今国会での「政治とカネ」の追及は、この根本的な日本政治の問題について重要な一石を再度投げかけたという意義があったと考えています。
というのも、安倍晋三政権は「改革政党」というイメージを作り出すことに成功しており、その巧みさは見事というほかありません。しかし、人間の身体で例えるならば、頭は変わろうとしているが、首から下は全く変わっていないことを、白日の下に晒す意義があったと思うのです。

 

一方で、予算委員会では、岡田克也民主党代表や前原誠司元外相などから、アベノミクスの是非について大所高所から鋭く切り込んだ質疑を行っていました。

(以下参照)
【衆院予算委】「異次元の金融緩和で国民生活は苦しくなった」前原議員が厳しく批判
【衆院予算委】「格差が拡大している可能性が高いことを認識すべきだ」岡田代表

株価や大手輸出企業の決算等の目立つ数字ばかりがアベノミクスの成果として取りあげられることが多いですが、実質賃金、ジニ係数を指標とする格差問題、GDP成長率等を個別詳細にみれば、一般国民全体では決して生活は良くなっていないのが現実です。

この半年間の大幅な原油安という外的要因が万が一無かったとしたら、それらの現実は実際の生活苦として表出し、国民から悲鳴の声があがっていたかもしれません。

以上のように、今回の衆院予算委員会における議論は、アベノミクスの限界を現実の数字を示しながらわかりやすく説明できたこと、自民党の利権体質は変わっていないことについて国民に覚醒してもらうきっかけにできたことから、大きな意義、成果があったと思っています。

 

参議院における深みのある議論を期待します。

吉良州司