吉良からのメッセージ

2015年5月3日

統一地方選を終えて

統一地方選の選挙期間中は、メールマガジンの配信等の政治活動が公職選挙法に抵触する恐れがあり、読者の皆様には長らくご無沙汰してしまいました。
大変申し訳ございませんでした。
今回のブログでは、前後半の統一地方選選挙戦を終えた今、私の所感を述べたいと思います。

■統一地方選を終えて

まず、全国的にも注目をされていた大分県知事選挙と大分市長選挙において、それぞれの立場がある中で、ご協力戴きましたこと、厚く御礼申し上げます。
私自身も支援する候補者を真剣に応援しましたが、力及ばず、勝利に結びつけることが出来なかったこと、関係者にお詫び申し上げるとともに猛省をしています。

全国的な選挙結果をみても、大枠では、安倍自民党政権の政策について有権者は追認し、野党はそれに対する対立軸を打ち出せなかった、とみるのが正しい認識と思います。
しかしながら、私は昨年の総選挙の時以来、「アベノミクスで地方の景気は良くならない」「アベノミクスは見かけ上は順調に見えても、それはかつてのバブルと同じで、将来的に国民を大きなリスクに晒す危うい政策である」と言い続けてきましたし、統一地方選が終わった今でも、その考えに変わりはありません。

それでは、なぜ今回の地方選で有権者は政権党を追認したか。それは、先行きが見えない不安定な時代だからこそ、「なんとかアベノミクスに希望を託したい」「与党側の候補者であれば(かつての高度経済成長時代の「中央とのパイプ論」で)中央から財源を引っ張り出してくれるのではないか」という期待があったからではないでしょうか。

しかしながら、当メルマガの読者の皆さんにはお分かりのこととは存じますが、もはやかつてのような高度経済成長は望めませんし、地方に分配できる財源も限りがあることは言うまでもありません。

そのような時代のなかで、現政権が、単に金融バブルを引き起こすような政策や、年金積立金を株に投資するようなGPIFの運用、異次元の金融緩和策による一部の業種だけを潤すような円安誘導、また、地方政治の観点では、短期的な一種のばら撒き施策を掲げていることは、あまりにもリスクの高い国家運営と言わざるを得ません。

翻って、今回の大分市長選で、私は支持する候補者とともに、人口減少や高齢化が避けられないこれからの日本社会の現実を直視し、それを真正面から受け止め、そのなかでどのような地方社会を目指すべきかを訴えてきました。

それは、生活者、特に子ども・子育て世代を最優先し、福祉や広く社会保障を充実させる中で、生活の中に「安心」を醸成し、また、徹底的に教育と人づくりに力を入れることにより、企業誘致の場合には優秀な人材が存在することをセールスポイントとし、また「起業」できる人材を育てることで、自立できる経済を目指してゆくという、「福祉と経済の好循環を作り出す」という主張でした。
特に、人材育成が重要であり、回り道のように見えても、ひたすら「人づくり」のために投資をしようというものです。

このような政策は、短期的・バブル的な景気刺激策に比して、地味で目立つものではないかもしれませんが、これからの地方が歩むべき王道だと信じて疑いません。そのような訴えを、結果的には大分の有権者に浸透させられなかったことについて、残念に思っています。

また、今回の地方選では、低投票率や無投票当選などについても大きな問題として話題となりました。これについても、最大の原因のひとつは民主党政権の誕生と瓦解にあったと痛感し反省しています。
2009年の政権交代時に、「有権者の意思で、これから政治が変わるんだ」という大きな期待を頂いたにも関わらず、政権運営に失敗し、多くの国民に失望を頂かせてしまいました。このことが、政治参加に対する有権者の意欲をそいでしまったのではないかと反省しきりです。

今の日本、これからの日本、いや日本のみならず、どの先進国も、かつてのような高度成長に潤うことはありません。この現実を受け止めた上で、国全体の社会・経済、地方の社会・経済をどうするか、国をあげて、一人ひとりの国民みんなで考えなければなりません。
かつての成功体験であるけれども二度と再現されることのない高度経済成長的な経済を追求すれば、国家と国民生活を破綻させるリスクに晒されます。

それでも成功体験が忘れられず、国民もそのような経済成長を支持するとなれば、金融バブルを起こすしかなく、一時的な「マクロ経済成長的な数字」はよくなるかもしれませんが、先述したように国民生活を大きなリスクに晒すことになり、本当にリスクが具現化した場合には、国民生活、国家自体も破綻させることになりかねません。

今は、人口減少、少子化、高齢化と向き合う中で、マクロ経済の数字を上げることではなく、国民一人ひとりの生活水準と幸福感を(GDP統計には表れないサービスの提供と受益も含めて)どうやって向上させていくか、国を挙げて考え、議論し、合意形成してゆく必要があると思っています。

経済社会環境が違う時代の「成功体験」とは毅然と決別し、現在、将来の一人ひとりの幸せに思いを馳せようではありませんか。

吉良州司