吉良からのメッセージ

2016年5月19日

5月18日外務委員会質問報告

昨日の5月18日水曜日に、またしても外務委員会の質問に立ちました。
今回は、前回の委員会質疑で時間が足りず、積み残しになってしまった、G7の財政出動による世界経済再活性化が先進国としての妥当な手法なのか、ということを質問という形で持論展開しました。

以下では、実際の発言内容と自分の意図、真意を織り交ぜながら、ご報告いたします。

1.まず、前回のメルマガでもお伝えしましたが、安倍総理の欧州歴訪と首脳会談における財政出動問題について、伊と仏は「財政出動による有効需要の創出により世界経済を再活性化すること」に賛同した模様だが、独や英は外交の礼儀として反対・否定はしなかったが賛成・肯定もしていないはずだ、と指摘。
賛成・肯定していないと理解するのは次のような理由からだ。独メルケル首相は「民間投資喚起が重要である」と「民間投資の重要性」を強調し、英国キャメロン首相は「金融政策、機動的な財政出動、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく協力して進めていくことが重要」と言っており保守党政権の性格からしても財政出動に積極的であるはずがない、と指摘。

2.1991年は世界史的、日本史的にどういう年であったかを岸田外相に質問。

(1)世界史的には、1991年はソ連崩壊の年であり、日本史的にはバブルがはじけた年であると指摘。多くの人はソ連崩壊を「西側が冷戦に勝利した。資本主義が社会主義に勝った」と理解しているようだが、自分は「計画経済」「官僚統制経済の崩壊」と理解している。

(2)米国の心理学者マズローの人間の欲求5段階(生理的欲求、安全の欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求)を国に当てはめれば、衣食住が足りるようになる第3段階までは、共産主義であれ、社会主義であれ、何とか成功裡に持って行ける。しかし、第4段階、第5段階に至ろうとすると、そこには自由が必要になってくる。

(3)アジアに目を転じれば、インドネシア、フィリピン、マレーシアなど、民主主義を前提にしながらも事実上の独裁政権が誕生し、その独裁体制の下
で、開発経済が推し進められた国も同様で、第3段階まではうまくいくが、そこからは「中進国の罠」に陥ってしまい、なかなか第4段階、第5段階に
進めない。

(4)我が国は、戦後復興やその後の経済成長路線により世界の一流国にしたのは、国民の頑張りと自民党の貢献であり、大変高く評価している。
しかし、その手法は自民党・官僚の連合政府による開発独裁であり、その手法が功を奏したのも第3段階までだ。1991年のバブル崩壊はその官僚主導計画経済、開発独裁の終焉と位置づけるべきであり、それからは、政府主導から民間主導に切り替えるべきであった。それにもかかわらず、国債発行による借金で財政出動、公共事業を積み重ねた結果が、国、地方を合わせて1千兆円を超える国際残高であり、失われた20年だ。第4段階以降、つまり先進国経済における財政出動は効果が薄いということであり、このような効果の薄い手法を世界のリーダーの集まりであるG7サミットで持ち出すべきではない。

(5)自民党には、目を覚ましてもらいたい。今の時代、財政出動ではなく、あくまで民間主導で経済をけん引していく道を模索してもらいたい。最後にG7サミットの成功を祈念して質問を終わる。

前回、怒りを込めた質問になったと報告しましたが、今回も、過去の成功体験が忘れられず、いまだに財政出動により先進国経済を引っ張っていこうとする現政権の姿勢に大きな疑問を提起した発言となりました。

◎ぜひ、衆議院TVよりご覧ください。