吉良からのメッセージ

受動喫煙対策法が示す自民党政権の限界

今年の第196回通常国会を終えて感じたこと、考えたことの第2弾です。私は、厚生労働委員でなく、国会論戦に直接携わったわけではありません。また、当該分野の専門家でもありませんので、一般論、総論の域を出ないことはお許し頂きたいと思いますが、健康増進法の一部を改正する法律案(=改正健康増進法。いわゆる受動喫煙対策法案)について、私の基本的な考え方についてお伝えします。

人の命と健康が最優先

今国会で通過した受動喫煙対策法は、人の命と健康を守ることを最優先すべきであるにも拘わらず、小規模飲食店を中心とする業界の声を優先したために、極めて中途半端な中身となり、結果として、人の命と健康を守ることができない法として成立しました。

法案は、病院、学校、行政機関、保育園などは屋内完全禁煙とし、飲食店や職場などは原則禁煙ながら、喫煙専用室での喫煙は認められることになっています。違反者には最大30万円、施設管理者には最大50万円の罰則が科されることにもなっています。

飲食店についても当初は例外なしの禁煙とする予定でしたが、飲食業界の反対とその圧力を受けた自民党議員の反対が根強く、資本金5000万円以下で客席面積100平方メートル以下の既存飲食店については、例外として喫煙が認められることになりました。

この例外扱いされる中小規模店は全体の55%にも達するといわれており、結局、命や健康よりも中小飲食店業界の利益を優先するザル法となりました。

自民党政権の限界

自民党は、戦後復興、高度成長時代に国内産業を育成することに成功し、育てた産業が昭和時代までの日本の経済の推進役を果たしてきました。この為、自民党は官僚と一緒になって、業界の要望を法律の形で実現し、その要求を予算の形で配分します。一方、業界側は日常や選挙時に人とお金と票を出すことで恩を返します。その協力に対して自民党はまたまた法律を作り、予算配分を行うことで恩を返します。よく言われる政官業の癒着構造、もたれあい構造です。既得権益者が優遇される政治でもあります。
どれだけ「改革」と叫んだところで、この構造は変わらないので、自民党による改革は、総論賛成、各論反対の罠に陥り、結局、常に中途半端な形の掛け声倒れに終わってしまいます。
今回の受動喫煙対策法も受動喫煙による健康被害をなくすことが目的であったにも拘わらず、中小飲食店を守るためということで、一定規模以下の店での喫煙が認められるようになりました。一体、何をしたいのか全く理解できません。全面禁煙にすれば、すべての飲食店の条件は一緒ですから、特定の店が不利になることはないはずです。データによる証明はできていないとの議論があったようですが、受動喫煙が原因で肺がんや心筋梗塞、脳卒中などで亡くなる人は、年間1万5000人にも達するとの推計もあります。また、乳幼児などへの影響も甚大だと言われています。完全禁煙を実施すれば、健康対策はもちろん医療費節減対策にもなります。なぜ全面禁煙にできなかったのか、自民党政権の限界が露呈した法律でした。

吉良州司

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