No.026 169回国会「衆議院 内閣委員会 18号」
⑧平成20年5月22日 内閣委員会
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
まず冒頭、私は以前この内閣委員会でも申し上げましたけれども、大臣が本国会の冒頭の経済演説の中で、我が国の経済ももはや一流ではないということを思い切って発言されて、一人当たりGDPが十八位に落ちてしまった、その危機感に対して警告を発し、もう一度国力を増進しようということを思い切って発言されたことを大変高く評価しております。
日本の国力を再び増していく、復活させる、そのために最も大事なことは、やはり地域経済の復活だというふうに私は思っております。そういう意味において、本法案の最高次元に掲げております地域力の再生、地域経済の復活再生、このこと自体には、私を含め民主党も全く異存はございません。
ただし、この機構という形のスキームで果たしてその目的が達成できるんだろうかという意味で、個人的にも党内的にもいろいろな議論がございます。そういう意味で、私どもは、私自身も今言った高次の目的については大賛同するものであるけれども、このスキーム自体に対していろいろな問題点を指摘して、本当に地域経済の復活、そして日本国力の増進ということについて議論を深めてまいりたいというふうに思っております。
まず、その意味で大臣にお伺いいたしますけれども、分権型社会、地域主権社会を推進していくことについて賛成かどうか、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
○大田国務大臣 地域経済が長期的にしっかりと伸びていくためには、ここで分権型の社会を築くことが何より重要だと考えております。
○吉良委員 ありがとうございます。もう私も全く同感なんでありますけれども。
その際に、私自身が、実は私も大分という地方出身議員でありますけれども、高度成長が終わった後、地域が特に伸びない、または衰退してきている最大の原因は何なんだろうかと考えてみたときに、それは、一言で言えば、やはり依存をしてしまうということだというふうに思っているんですね。
この法案の背景にある、今いろいろな議論がされてきましたけれども、三セクもそうですが、地域を活性化させるという名目でいろいろな形で政府が、例えばリゾート法、民活を利用した地域の活性化ということで、ほら貝をがんがん吹きながら、やれやれやれ、こう言ってきたんですけれども、それは、政府が何らかのお手盛りをするという形、何かあれば補助金をもらいに行く、何かあれば政府に頼むということで、地域経済、地域の活性化と言いながら、その手法は、常に国に頼る仕組みをつくってきた。そして、地域もそれに諾々と依存してきてしまった。私は、これが最大の問題なんだろうというふうに思っているんです。
そういう意味で、やはり地域経済の再生、そのキーワードは、依存から自立へというふうに思っているんです。その点については同感していただけますでしょうか。
〔櫻田委員長代理退席、委員長着席〕
○大田国務大臣 御指摘のような問題が過去にあったのも事実だと思います。やはり、みずから自立し、みずから魅力をつくり、強みをつくり伸びていくということが何より大事だと考えております。
○吉良委員 ありがとうございます。この点についても一致するわけでございます。
では、この法案は、今までの質疑、やりとりを聞いていても、地域だけでは利害調整ができないとか、地域ではその責任追及もやりづらいとか、なぜその地域の力、住民の力、そういうものを信じなくて、やはり中央がこういう機構をつくり、スキームをつくり、手助けしなければできないと。これは最終的には地域の自立であるにもかかわらず、なぜここで中央がわざわざ出ていって、今言った、再び依存する形で自立のための第一歩を踏み出さなきゃいけないのか。そこにはある意味での矛盾があると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○大田国務大臣 私は、事業再生というのは本来、民間がやるべきものだと思っております。したがいまして、産業再生機構ができるというときも、国がやっていいんだろうかというふうに思いました。
しかし、不良債権処理をスピード感を持ってやるときに、本当にほぐれない糸になったところをプッシュして、前に押していく仕掛け、前に押していくことによって国民の経営資源として生き返るものがあり、それが七万人の雇用を生んだ。そういうケースがあるんだということは、産業再生機構も示したというふうに思っております。
地域力再生機構につきましても、これも産業再生機構の地方版として考えたわけではありませんで、そもそも、地域経済立て直しに今何が一番必要なんだろうかということで、いろいろお話を伺ったりいたしました。そこで出てきたのが、事業再生を担う人材、経営を立て直す人材、あるいは商店街などを、プランをつくって立て直していく人材であるという答えが多くの方から返ってきました。とすれば、全国規模で、都市から地方へ、あるいは大企業から中小企業へ人材を還流する仕組みができないだろうか、これが発想の発端です。
そのときに、経営人材を送るときに、債権者の中でこんがらがって非常に複雑になった債権の関係を調整し、あるいはそこに自治体が出資していたり、政府系金融機関が出資している、それを解きほぐす機能を公的な機関が担って、全国規模で人材を派遣することで一挙にこのおもしを取り除いていくことによって、地方にとっては貴重な雇用機会というものがもう一度復活するんじゃないかということで、この機構を考えました。
したがって、先生がおっしゃるように、過剰な介入になってはいけないわけで、再生できるのかどうかということは厳しく判断していく、そして経営者には責任を負っていただく、金融機関にも債権放棄を求めるという規律づけは不可欠であると考えております。
○吉良委員 私も、今の答弁の中で、例えば人材の確保、人材の還流、こういう観点は非常に大事だというふうにも思っております。
ただ、一つ気になるのは、この後ちょっと掘り下げたいとも思っているんですが、大臣は、今言った人材の還流、確保という点を最大限考慮してこのスキームに至ったという答弁でございました。再生機構というのは必ずしもそれの二匹目のドジョウではないんだという趣旨のこともおっしゃっておりました。
ただ、実際は、ほとんど産業再生機構とスキーム的には同じ形になっているんですね。最後七万人の雇用と、産業再生機構のことについておっしゃいました。もろもろ、成功モデルと位置づけてもいい要素もあるんでしょう、私はそれだけではないとも思っているんですが。
ただ、産業再生機構が設立され、実際に機能した時期と今とでは、既にもう五年強のタイムラグがある。あの当時は、ある意味で国全体が、やはり金融秩序の回復、メガバンクといえどもいつつぶれるかわからない、そういう不安定な社会。特に、金融秩序を回復する、これがある意味で国家の至上命題であった時代だというふうに思っているんですね。だからこそ、債権放棄だとかいうような、本来なら放棄する側にとって極めて厳しいことも、ある意味では受諾できた。
本来、経営者が債権放棄しますなんというときに、株主に向かってどう説明すればいいのかというときに、やはり今言った社会全体、国全体の要請がありましたから、ある意味では株主の了解も得やすかったというような時代だったというふうに私は思っているんです。
そういう意味で、この産業再生機構のスキームをある意味ではそのまま焼き直してきているということについては、実は私自身は大きな疑問を抱いております。
これまでの議論でなかったこと、きょうの参考人の方からガバナンスということでの御指摘、意見陳述がありましたので、それにちょっと関連するんですが、大臣、本法案の目的は何ですか。ごく手短にお答えいただけますか。
○大田国務大臣 地域経済の立て直しであり、雇用の創出です。
○吉良委員 地域経済の立て直しですね。
では、再度開きます。
機構を株式会社としていますけれども、機構の収益、または第三セクターの救済、または仕分けをして、本当に大事だ、残さなきゃいけないものは再生する、幾つかありますけれども、地域経済の活性化なのか、株式会社地域力再生機構の収益なのか、そして、ある意味では三セクの仕分けと救済なのか。
○大田国務大臣 地域経済を立て直すに当たって、地域の中で重要な経営資源である、雇用を生み出し得る事業体は、中規模企業、中核企業の場合もあれば、第三セクターの場合もあります。その事業を再生するのが地域力再生機構です。したがって、大命題といいますか、大目的は地域経済の立て直しということになります。
しかしそれは、必ず事業再生できるものを厳密に資産査定してやってまいりますので、そこは収支というものを合わせていかなくてはいけない。したがって、株式会社という形態もとっております。
第三セクターにつきましては、第三セクターも事業体として見たときに、地域の中で雇用を生み出し得る経営資源という見方ができます。これについては、同じスキームの中で立て直していくということになります。
したがって、この大目的を達成するために、地域力再生機構が収支をしっかりと合わせながら運営していく。その中で、地域の中核企業を立て直し、第三セクターも立て直していく。このメーンの流れは、地域経済の立て直しということになります。
○吉良委員 大臣の考えておられることはよくわかりました。
ただ、私なんか駆け出しのぺいぺいの政治家でこんなことを言うのはちょっとおこがましいのでありますが、公認会計士は会計のプロであったり、弁護士は法律のプロであったりするときに、政治家とは一体何のプロなんだろうと考えましたときに、ある意味では、価値判断とそれに基づく優先順位というものを明確にするプロなんだというふうに思っています。何百、何千と要求が来ても、限られた人材、予算の中でこれとこれとこれしか取り上げられない、その厳しい判断をしなければいけないのが政治家だというふうに私は思っておるんですね。その意味で、あえてお聞きしたんです。
というのは、目的は何だというと、例えば、これをやりながら、これもできればやって、これもやって、これもやってと、こうなるんですよ。AもBもCもDもと、必ずなるんです。
けれども、民間が行動を起こすときというのは、物すごく単純です。やはり収支です。収益が上がるかどうかです。もちろん、付随的に、地域経済に役立つだとか、これが社会的にだとか、教育にとか、いろいろあります。けれども、そこには圧倒的な差があって、収支なんです。この民間の意思決定原理と公的なものというのは大きく違います。
そういう中で、今回のこのスキームに対して私自身が疑問を持っていることの一つは、極めて公的な目的を持ちながら、形としては、株式会社という収益を目的とする形態をとっている。にもかかわらず、ではその意思決定というのはどうなっているのか。まず、預金保険機構というものが国の代弁者だ。そこに地域銀行からの出資も受けて、全体としては三分の二の意思決定も、国が実質的に意思決定する仕組みになっている。その国が意思決定するところに民間の資本を入れさせている。おまけに、国ではない自治体にまた三分の一の出資をある意味では出させようとしている。
もう一度お聞きしますけれども、この機構は株式会社をとっていながら、収益が目的じゃないんですね。
○大田国務大臣 収益を出して、例えば機構に働いている人の給料を上げたりとか、出資者がまたたくさんもうかろうというような目的はございません。しかし、収支はしっかりと合わせていかなくてはなりません。
お尋ねは、恐らく、なぜ株式会社という形態をとっているのかということだと思います。
これは五年間の時限をとって事業再生を行います。事業再生という業務の性格上、民間企業経営と同じような緊張感を持ってやっていかなくてはいけません。これが一つの理由です。
それから、事業再生という性格上、税ということではなく、収支をしっかりと合わせて、つまり、再生できるものだけを再生していくということをそこで担保していく。収支をとれるもので収支を合わせるということが非常に大事ですので、出資者から出資を受けるという形の株式会社にしてございます。
ただし、その一方で、先生が御指摘のように公的な機能も残っております。これは会社法の特例として、幾つか法的に条項を定めております。
一つは、安定的な株主を確保して債権者の調整に当たり公的な機能を担保していくということで、預金保険機構が議決権の過半を有する株主であり続けるというような規定がございます。
それから意思決定も、単なる株主としての意思決定ではなく、地域経済にとって重要であり、なおかつ再生できるかどうかというものを中立的な機関が判定しなくてはならないということで、地域力再生委員会が判定するというような意思決定の仕組みを中に組み込んでおります。
それから、役員の選任の場合の決議に主務大臣の認可が必要ですし、国の監督、業務改善命令といった公的性格も一方で有しております。
そういう意味では、両方を有しながら、しかし組織形態としては、民間企業経営と同じ緊張感を持って収支を合わせていくということがまさにこの形態の趣旨です。
○吉良委員 今の大臣の答弁を聞きましても、先日の我々同僚議員三方が質問したときのお答えも、これは大臣、先ほど言いましたように、勇気を持っていろいろ発言されたとか、一方では大臣の言動を高く評価しているんですが、やはり極めて学問的なような気がするんですね、これもあれもと。
確かに、理屈上ではそうなるように聞こえるんですけれども、現実問題、さっき私が申し上げた、民間が出資する際の出資基準等々に、このスキームが果たして本当に合っているんだろうか。
まず、今回、地域金融機関、自治体、この二つはある意味でこの機構を通して損失を出す可能性が非常に高い機関なんですね。目的の一つでもある、これ以上続けさせてはいけないというところを整理する、または再生する、これはいいんですが、その債権放棄をする、または損失補償、またはそれ以上の負担を強いられるであろう自治体が出資をする。これは本来ならば、民間で買収するときによく言われる、コンフリクト・オブ・インタレストなんですね。それをあえて、民間に出資しろ、また自治体に出資しろと。これは、私に言わせれば、出資とは名ばかり、実際は国による圧力なんですね。
もし、国がやるからついてこいと言わなくて、国がどうこうするのではなくて、こういう趣旨の機構を立ち上げますと、ぽんと新聞か何かで公募したときに、自治体、金融機関は果たして応募してくるんだろうか。私はそうは思えないんです。 自治体にしろ地方金融機関にしろ、これにもし出資をするとすれば、それはある意味で、出資しないと将来的ににらまれるだとか、もちろん、この機構によって、場合によっては自分たちの悩みの種であった問題が解決できるかもしれない。いずれにしても国がついてこいと言うから出さざるを得ないのであって、やはり一種の奉加帳出資になるんだろうと私は思っているんです。
もしそうじゃないところで出資するというところがあったら、それは株主に説明できないですよ。民間企業が、これに十億出資します、二十億出資します、目的はといったときに、地域経済の立て直しのためだと言ったら、それは株主から絶対ノーを突きつけられるに決まっているんです。
だから、出資という形をとったとしても、民間のバランスシート、PLをつけるときには、ある意味では、広告費だったり交際費、国とか、自分たちより力のあるところに対する交際費ですよ、実際は。形は出資だけれども中身はと見たら、交際費だったり広告費なんですよ。
それでも株式会社という形をとるんですか。お聞きしたいと思います。
○大田国務大臣 奉加帳ということは全くございませんで、都道府県、それから金融機関、これは全銀協、地銀協、第二地銀協という協会ですけれども、まさに要請をしておりまして、それぞれのお申し出で出資をいただくことになっています。それぞれの自治体、それぞれの金融機関が判断するということになっておりまして、決して押しつけではありませんし、後々仕返しがどうのこうのというようなものでも全くございません。
金融庁が行いましたアンケートでも、これは地銀、第二地銀へのアンケートですが、八割の金融機関が関心を持っている。そして、今どういう機能に関心を持っているか。ちょっと手元に数字がありませんが、かなりの、もうほとんど九割ぐらいの金融機関が、例えば自治体が出資していたり融資していたりして債権者の調整が入り組んでいるところの処理ができない、そういう部分に関心を持っています。
つまり、地域力再生機構が債権放棄を要請する、そのときに債権放棄に応じるかどうかは銀行の判断ですけれども、要請された額で債権放棄を行うのがいいか、それとも、それに応じない自由ももちろんございます。応じずに、そのままいって、どんどん事業が停滞したままいく。最後、法的整理に至る。法的整理に至りますと、取引債権は全部弁済の対象になりますから、事実上、倒産の枠組みになってしまう。このどちらの弁済率が高いのかを金融機関は判断する。今そのスキームができたということです。
それから、自治体の側でも、財政健全化法の中で三セクの改革は迫られております。それを今ここで、責任も明らかにする形で、再生できるものを地域のために再生していくのかどうかの判断を迫られる。逆に言うと、その選択肢ができたということになります。
○吉良委員 私、先ほど大臣に失礼なことを申し上げたんですが、理屈上、例えば経済学的にそうかもしれないけれども、実態はそうでもないというのが現実のこの世の中で、今おっしゃった中で、例えば、出資をしました、けれども債権放棄に応じない応じる、それは自由ですと。もしこの自由が本当に地域の、地銀なり第二地銀であってもあるならば、こんな垂れ流しの三セクなんかできないんですよ。例えば県が出資するとか、自分が属している市が出資するとなったときに、おい頼むよ、協力してくれ。ノーとか言う自由がないんですよ。地域の問題というのは実はそこに一番の大きな問題があって、経済原理原則、市場原理が通じないんですよ。
ちょっと時間がないので細かく言えませんけれども、先ほど参考人の方々からもいろいろ意見が出た中で、例えばあることは、まず自治体は、二〇%出資していても八〇%ぐらい口を出すんですよ。そのかわり、それを諾々と受け入れるほかの八〇%の株主は、何かあったときは自治体にぽんと丸投げすればいいやという安易な中で決定しているわけです。そういうもたれ合いの構図があって、こんな垂れ流しの三セクが実はできてしまっているんですよ。
だから、地方の最大の問題は、経済原理、市場原理が働かない。何%出したからどれだけの発言権がある、どれだけの拒否権がある、これが全く機能しないところに地方でのこういう三セクを含めた問題がある。
ですから、きょうはガバナンスのことをいろいろ話をさせてもらったんですけれども、私自身もそうですけれども、党内的に一つ一番大きな議論がされているのは、今言った、純粋にこの機構が目的とする、またその裏づけにある市場原理、経済原理が働かずに、結局はその地域のボス、政治的な意図、恣意がどうしてもまかり通ってしまう。
結局は、この機構を通して、本来、純粋に経済原理、デューデリの結果、これはやはり救っちゃいけない、申しわけないけれども将来負担を考えたときに今畳む方が住民のためなんだ、国のためだと思っても、そこに政治的な恣意が働いて、何とか生き残らせてくれと。それをやはり受け入れざるを得ないような環境が地方にはある、こういうふうに思っているわけなんですね。
ちょっとその点について、いかがでしょう。
○大田国務大臣 政治的な圧力によって業務運営がゆがめられるというのは最も避けねばならないことです。そのためのコンプライアンス機能を整えるというのは非常に重要な点だと考えております。
産業再生機構においても、コンプライアンス委員会というものを設けて、例えば政治家から何か話があったらそのメモは全部残すとか、それを産業再生委員会に報告するというような仕組みを整えておりました。地域力再生機構においても、そのコンプライアンスの組織をつくり、同様の対応をして厳しくチェックしていく。これは当然のことだと思います。
事業再生を行うに当たって、最も守られねばならないのがコンプライアンスであると考えております。
○吉良委員 時間が本当に迫ってきましたので、ちょっと一点、本当は今のことに対して言いたいんですけれども、ちょっと時間の関係で抑えさせていただいて。
先ほど私も、リゾート法だとか民活に伴う国の施策について言わせてもらいましたけれども、この法案のまたもう一つの側面として私が恐れていること、そして声を大にして指摘しなければいけないことは、先ほど言ったリゾート法というか観光等は、さっきありましたけれども、八一年から九九年まで観光・レジャーが五倍にふえている。これは明らかにリゾート法の影響でありますが、リゾート法ならリゾート法に基づいて、当時の自治省なり国がどんどんどんどん、やれやれやれやれ、こう言って、ほら貝をぶおっと吹きまくって、行けと山の上からわあっと突撃しておりていって、ところが、引けというほら貝も吹かないままいつの間にか終わっていて、突撃したやつ、おまえたち何をやっているんだと。こういう、実は……(発言する者あり)ええ、まさに置いてきぼりで、後ろを振り向いたとき、だれも援助もない。もう苦しくてしようがないときに、いざようやくだれか出てきた、今回のこれがあると思わせる仕組みなんです。
何が言いたいかというと、本来責任を負って罪がある人たちが一切責任もとらず、逆に、この機構を通して、我々は救いの天使ですよみたいなことになるわけですよね。先ほど泉同僚議員からも指摘があったんですけれども、もちろん未来志向を常にやらなければいけないんですけれども、我々として、こういう事態に至らせた責任者はだれなんだと。地域にもいます。実は政府にも、国にもいるわけです。政治家もしかり、役所もしかり。その辺のところのやはり責任所在を、これでうやむやにすることなく明確にしていかなければいけない、このように思っていますが、時間がないので、短くお願いします。
○大田国務大臣 第三セクターはさまざまな問題を抱えておりますので、これは、財政健全化法などに基づいて、自治体も考えなくてはいけない、国も各府省連携をとって進めなくてはいけないと考えております。そして、その三セクの中には、もう破綻処理しなくてはいけないものもあると思います。あるいは自治体が引き取るものもあると思います。
ここで民営化をしたら地域のために再生できるというものを扱うのが地域力再生機構です。したがって、この大きい三セク改革の解決策の選択肢の一つです。このとき当然、繰り返しになりますが、責任というものは追及されるということになります。
○吉良委員 時間が来ましたので、短く二点。
一つは、先ほど大臣がおっしゃっていた専門家の還流ということ。基本的には大賛成なんですけれども、今回は産業再生機構と違って、先ほども言いましたように、経営指導もやっていくというような要素があるわけですね。助言等を専門家が行っていくというようなこともあるんです。もちろん専門家というのは、私も敬意を払い、大事なことなんですけれども、地域という物すごくどろどろした世界の中で経営助言をしていくというときには、ある意味で中央からぽんと行けばいいというものではないんです。やはり地域の専門家を育てながらでなければいけない。
というのは、BツーCという言葉を御存じですか。これはIT用語のビジネス・ツー・コンシューマーじゃないんですよ。実は、バック・ツー・コンサルタントというのがあって、傾きつつある、コンサルタントがいろいろ経営指導をやっていて、それでもどうしようもないので、コンサルタントに社長をお願いして経営再建してもらったらつぶれちゃった、そういうことがあって結局コンサルタントに戻ったという、バック・ツー・コンサルタント、BツーCというちょっと笑えないジョークがあるんです。
一方で専門家というのは非常に大事なんですけれども、今言った、どろどろした地域の実情がわからなければ、なかなかうまくいかない。そういう意味で、還流する際に、やはり地域の専門家を育てていくという観点が非常に大事であるということを申し上げたい。
もう一つ、先ほど地域主権、分権にとって、依存から自立へということを言いました。その際に、やはりこれから分権社会をつくっていく、地域主権型社会をつくっていくときに大事なのは、今はよちよち歩きかもしれないけれども、やはり地域の力を信じる、地域に住んでいる人を信じる。ここの人たちでは解決できないだろうということで、では国がというこの考え方は捨てないと、よちよち歩きでも、地域を信じる、地域にいる人たちを信じていかなければ地域の再生はあり得ないということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。