吉良からのメッセージ

2014年 元旦メッセージ

あけましておめでとうございます。
吉良州司です。
良い年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

昨年はアベノミクスにはじまり、靖国神社参拝で終わった年でした。安倍総理は「経済回復を最優先する。それにより国民の支持を得て外交・安全保障上の懸案に取り組む」戦略を描いていたと思われます。そして、年末の靖国神社参拝までは、その戦略は狙い通りに功を奏していたと自ら評価していたのではないでしょうか。本稿で「アベノミクス及び靖国神社参拝雑考」をお伝えしたいと思います。

アベノミクスについて

昨年の日本経済は、円安効果による輸出関連企業の急速な業績回復や株価をはじめ諸々の経済指標が好転したことは歓迎すべきだと思いますし、一定の評価もしています。しかし同時に円安は、原発停止に伴いLNGを中心とする燃料輸入額の増大を大きな要因として貿易赤字が定着していること、シェール革命によるエネルギーコストの低減により米国の実体経済が回復していること、などが大きく影響していることも認識しておくべきです。また、アベノミクスが根本的且つ持続的に日本経済を強くする政策なのかという、厳しい疑問的視点を持つことも忘れてはならないと思います。

今の政府報道は、かなり意図的に国民を「誘導」する報道になっています。たとえば、「日本経済が確実に回復していることは、株価上昇に表れている」といった報道です。実体経済、企業業績が好転した時には必ず株価は上昇します。一方、世界的にみて、大胆な金融緩和を継続した場合にも株価は上がります。実体経済・企業業績が好転すれば株価が上がることは正しいのですが、株価が上昇したからといって、実体経済や企業業績が好転しているとは限りません。今は株価を含む資産バブルを意図的につくりだし、経済指標や国民心理の好転を促そうそうとしているのです。これは、資産を持つ人、大都市圏や円安恩恵を受ける地域を潤す一助にはなるかもしれませんが、ガソリン価格や電気料金の上昇など輸入インフレにより、持たざる者や地方にとっては、厳しい生活を強いることになりかねません。何よりも、アベノミクスは、日本経済の根源的課題である「経済の成熟化」や「グローバル化」に対応するものではなく、構造改革を伴わない古い時代の政策動員であり、表面的・一時的な経済好転をもたらす政策の域を出ていないと思います。

日本経済が根本的・持続的に強くなる方法は、国民ひとり一人が成長するしかありません。「人こそが国家の財産」という理念に則り、とことん「人に投資」をして、ひとり一人の能力、生産性を高める以外に日本経済を根本的に強くする方法はないのです。また、大胆な規制緩和を行い、生産性を高めた個人や企業がより自由に経済活動ができるようにすることこそが「成長戦略」であり、構造改革です。短期に官主導の開発経済的手法によって高度成長し、その後成熟経済化した我が国の経済が「構造改革なき持続的成長」をすることなどありえません。ひとり一人は何の成長もしないのに、大胆な金融緩和政策をとることによって諸課題が解決され、経済が持続的な成長軌道に乗るようになるなどありえません。
また、グローバル化の進展によって、より知的経済活動が要求される時代になっている現在、中国や東南アジア諸国の賃金水準に収斂されなくて済むように、特に若者・将来世代を社会全体で育て鍛えていくことが至上命題だと思います。

靖国神社参拝について

外交・安全保障については、TPPへの交渉参加、月2回ペースでの各国訪問による積極的な首脳外交、国家安全保障会議の創設など、対中韓外交を除き高く評価していました。しかし、年末の靖国神社参拝には疑問を持たざるをえません。保守系は勿論、私を含む多くの愛国心を持つ国民、政治家も私的な情としては拍手喝采しているかもしれません。しかし一方、後藤田元官房長官が「政治は美学ではない。徹頭徹尾、実学である」と指摘されたように、国際政治における外交は冷徹なまでに「現実直視」「現実対応」でなければならないと思います。
尖閣、東シナ海、南シナ海における中国の横暴なまでの一方的な行動、韓国の度量の欠如と意固地さについて、多くの国民は私的な感情として反発していると思います。しかし、同時に経済的な相互依存関係や将来にわたる東アジア地域の平和と安定、それらを土台とした日本の安全と繁栄に思いを馳せた時には、対中韓外交は「忍耐」が必要であり、「国益」を考えれば参拝は我慢すべきだとも判断しているのではないでしょうか。
人も組織もその絶頂にある時、回りは落とし穴だらけです。民主党政権の挫折のはじまりも政権交代選挙での勝ち過ぎによる「勘違い」が原因でした。謙虚さを失った瞬間に回りが見えなくなり、結局は穴に落ちてしまうことを現自民党政権は銘記すべきだと思います。

「人的投資」と「大胆な規制緩和路線の構造改革」なくして根本的かつ持続可能な経済成長はありえないこと、「現実直視」「リアリズム」に徹する外交こそ国益であることを、今年も強く訴えていきたいと思います。
そして、悠久の日本を支えていく将来世代への人的投資を具体的にどう進めていくのか、をとことん考えていく年にしたいと思っています。国際化の進展により、あらゆる分野において国際競争に晒される現在、厳しくはあるけれども、地球レベルで大きな夢を持てるこれからの時代、故郷や日本をこよなく愛しながら、世界の中で力強く生き抜いていく若者をどう育てていくのか、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

今年もみなさんにとって素晴らしい年になりますようお祈り致します。

吉良州司

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