吉良からのメッセージ

心愛ちゃんの悲劇を二度と繰り返してはならない 東京都新宿児童相談所を視察して

目を覆うばかりの児童虐待の現状を何とかしたいと思い、先日3月5日、東京都新宿区の児童相談所を野党議員とともに視察しました。本日は、視察と職員との意見交換を通して、感じたことをお伝えしたいと思います。しかし、このメルマガは衆議院議員という立場ではなく、ひとりの人間として、また、3人の娘の父親としての思いを綴りますので、予め、ご了承ください。

最近の児童虐待を看過するわけにはいきません。昨年、結愛ちゃんが亡くなった際にも私の思いをお伝えしました。
ここしばらくの間、心愛ちゃんについてのメルマガも発信しようと思いつつ、どうしても発信できませんでした。余りに気の毒で、むげなくて、辛くて、報道を見ることすらできませんでした。あの鬼のような父親に対する怒りが込みあげてきて、冷静でいられませんでした。
何故、かわいい我が子に、あんな酷いことができるのか、私には全く理解できません。我が子に限らず、どこの子供も、本当に愛らしく、見ているだけで笑みがこぼれてくるし、癒されるからです。

刑務所経験のある作家安倍譲二氏は、その著「堀の中の懲りない面々」の中で、「親孝行なんて、誰でもとっくに一生の分が充分すんでいるのに、誰も知りもしない。誰でも、生れた時から五つの年齢までの、あの可愛らしさで、たっぷり一生分の親孝行はすんでいるのさ、五つまでの可愛さでな」という趣旨のことを言っていると、若いころ受けた研修で聞いたことがあります。

幼子のかわいさこそ「幸せ感」そのものだと思います。
とは言っても、小さな子供にとって、男は、お母さんの負担を多少とも軽減するくらいしか役に立ちません。
よく妻から次のように言われました。「あなたは、子供たちが機嫌のいい時だけ、自分の都合のいい時だけ、子どもと遊んでいいわね。まあ、子どもと遊んでくれるだけましかもしれないけど。私は、ずっと一緒にいるから、機嫌のいい時だけじゃなくて、大変な時もたくさんあるのよ」と。そうです。私自身は、時には子供に手を出したくなるほどの母親の大変さを実感として理解しているわけではありません。しかし、どんなに大変で、ストレスがたまるお母さんの子育ても、可愛い笑顔、癒される寝顔をみると、全て吹き飛んでしまい、残るのは、ただ、愛しい、可愛い、という思いだけだ、と聞いています。

ここまで、書いて、多くのみなさんから、吉良さんは、「父親は外で仕事、母親が子育て」という古い時代の典型的な役割分担論を地で行く体験論を語っていると思われてしまうでしょう。それを否定はしません。当時は、一所懸命働いて一家を支え、愛おしくてしかたないので、休みの日を中心にとにかく子供と遊ぶという生活でした。可愛くてしかたないから子供と遊ぶのですが、それによって、嫁さんを一時的にでも、子育てから解放したいという思いも持っていました。

その可愛くてしかたない幼子時代があるからこそ、安倍譲二さんの話ではありませんが、その後、(独り立ちに向かって一歩踏み出している証拠だと思いますが)生意気になってきても、愛おしさを継続できるのだと思います。
 
しかし、心愛ちゃんの鬼父にはそのことも通じていなかったようです。残念でなりません。二度とこのような悲劇を繰り返さないための根本的な対策が求められています。

一番の根本対策は、そのような親をつくりださないことです。若い頃の研修で、大きな衝撃を受けたことがあります。それは、妻や子供に激しい暴力を繰り返す親の元で育てられた子供は、暴力は「愛情」のひとつの表現であって、「お父さん(お母さん)は愛情があるから、その愛情の証として暴力をふるっているんだ」と思い込まなければ生きていけない、ということでした。暴力、虐待は連鎖していく可能性が高いということでした。それだけに、どこかでこの連鎖を断ち切る必要があります。そのためには、30年から50年先まで見据え、「いい親を育てる」という意識で、今の子供たちを学校、社会で育てていく必要があると思います。
その各論や具体策については、様々な観点から勉強し、自分の考えをまとめ、実現に向けて尽力したいと思っています。

新宿児童相談所から聞いた話で印象的だったことは、この仕事は、ふたつの意味で「すごく『こわい』仕事だ」ということでした。ひとつは、一時保護など、親と子供を引き離すことができる、極めて強い権限を持つことのこわさ。もうひとつは、実際にこわい親と対面する際のこわさ。後者については、経験則から、対面室には、親が激高した際の凶器になるようなもの、たとえば、花瓶など、を置かないようにしているとのことでした。
実際の怖さに対処するためには、警察との連携はもちろん、警察OBなどの採用と常駐が必要だと思います。

また、相談員の半数以上が3年未満、それも1年に満たない経験しかなく、経験がものをいう世界なので、相談員の確保と育成が急務であることも悲痛な現場の訴えでした。

国と各自治体が総力を挙げて、必要な人材の確保と育成に真剣に取り組み、結愛ちゃん、心愛ちゃんの悲劇を二度と繰り返さないようにしなければなりません。
 
結愛ちゃん、心愛ちゃんを始め、虐待によって犠牲になった多くの子供たちのご冥福を祈ります。

吉良州司
 

本日は、目を覆うばかりの児童虐待の現状を何とかしたいと思い、先日3月5日、東京都新宿区の児童相談所を視察しました。視察と職員との意見交換を通して、感じたことをお伝えしたいと思います。しかし、このメルマガは衆議院議員という立場ではなく、ひとりの人間として、また、3人の娘の父親としての思いを綴りますので、予め、ご了承ください。

最近の児童虐待を看過するわけにはいきません。昨年、結愛ちゃんが亡くなった際にも私の思いをお伝えしました。
ここしばらくの間、心愛ちゃんについてのメルマガも発信しようと思いつつ、どうしても発信できませんでした。余りに気の毒で、むげなくて、辛くて、報道を見ることすらできませんでした。あの鬼のような父親に対する怒りが込みあげてきて、冷静でいられませんでした。
何故、かわいい我が子に、あんな酷いことができるのか、私には全く理解できません。我が子に限らず、どこの子供も、本当に愛らしく、見ているだけで笑みがこぼれてくるし、癒されるからです。

刑務所経験のある作家安倍譲二氏は、その著「堀の中の懲りない面々」の中で、「親孝行なんて、誰でもとっくに一生の分が充分すんでいるのに、誰も知りもしない。誰でも、生れた時から五つの年齢までの、あの可愛らしさで、たっぷり一生分の親孝行はすんでいるのさ、五つまでの可愛さでな」という趣旨のことを言っていると、若いころ受けた研修で聞いたことがあります。

幼子のかわいさこそ「幸せ感」そのものだと思います。
とは言っても、小さな子供にとって、男は、お母さんの負担を多少とも軽減するくらいしか役に立ちません。
よく妻から次のように言われました。「あなたは、子供たちが機嫌のいい時だけ、自分の都合のいい時だけ、子どもと遊んでいいわね。まあ、子どもと遊んでくれるだけましかもしれないけど。私は、ずっと一緒にいるから、機嫌のいい時だけじゃなくて、大変な時もたくさんあるのよ」と。そうです。私自身は、時には子供に手を出したくなるほどの母親の大変さを実感として理解しているわけではありません。しかし、どんなに大変で、ストレスがたまるお母さんの子育ても、可愛い笑顔、癒される寝顔をみると、全て吹き飛んでしまい、残るのは、ただ、愛しい、可愛い、という思いだけだ、と聞いています。

ここまで、書いて、多くのみなさんから、吉良さんは、「父親は外で仕事、母親が子育て」という古い時代の典型的な役割分担論を地で行く体験論を語っていると思われてしまうでしょう。それを否定はしません。当時は、一所懸命働いて一家を支え、愛おしくてしかたないので、休みの日を中心にとにかく子供と遊ぶという生活でした。可愛くてしかたないから子供と遊ぶのですが、それによって、嫁さんを一時的にでも、子育てから解放したいという思いも持っていました。

その可愛くてしかたない幼子時代があるからこそ、安倍譲二さんの話ではありませんが、その後、(独り立ちに向かって一歩踏み出している証拠だと思いますが)生意気になってきても、愛おしさを継続できるのだと思います。

しかし、心愛ちゃんの鬼父にはそのことも通じていなかったようです。残念でなりません。二度とこのような悲劇を繰り返さないための根本的な対策が求められています。

一番の根本対策は、そのような親をつくりださないことです。若い頃の研修で、大きな衝撃を受けたことがあります。それは、妻や子供に激しい暴力を繰り返す親の元で育てられた子供は、暴力は「愛情」のひとつの表現であって、「お父さん(お母さん)は愛情があるから、その愛情の証として暴力をふるっているんだ」と思い込まなければ生きていけない、ということでした。暴力、虐待は連鎖していく可能性が高いということでした。それだけに、どこかでこの連鎖を断ち切る必要があります。そのためには、30年から50年先まで見据え、「いい親を育てる」という意識で、今の子供たちを学校、社会で育てていく必要があると思います。
その各論や具体策については、様々な観点から勉強し、自分の考えをまとめ、実現に向けて尽力したいと思っています。

新宿児童相談所から聞いた話で印象的だったことは、この仕事は、ふたつの意味で「すごく『こわい』仕事だ」ということでした。ひとつは、一時保護など、親と子供を引き離すことができる、極めて強い権限を持つことのこわさ。もうひとつは、実際にこわい親と対面する際のこわさ。後者については、経験則から、対面室には、親が激高した際の凶器になるようなもの、たとえば、花瓶など、を置かないようにしているとのことでした。
実際の怖さに対処するためには、警察との連携はもちろん、警察OBなどの採用と常駐が必要だと思います。

また、相談員の半数以上が3年未満、それも1年に満たない経験しかなく、経験がものをいう世界なので、相談員の確保と育成が急務であることも悲痛な現場の訴えでした。

国と各自治体が総力を挙げて、必要な人材の確保と育成に真剣に取り組み、結愛ちゃん、心愛ちゃんの悲劇を二度と繰り返さないようにしなければなりません。

結愛ちゃん、心愛ちゃんを始め、虐待によって犠牲になった多くの子供たちへご冥福を祈ります。

吉良州司

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