吉良からのメッセージ

2019年12月4日

2019年11月27日科学技術特別委員会の質問に立ちました。その2

前回のメッセージ(11月27日、科学技術特別委員会の質問)の第2弾です。

前回は、(1)理論と実証、(2)核融合技術、(3)宇宙開発についての質問の中で、理論と実証、核融合技術開発のみ取上げ、宇宙開発については、次回とすることをお伝えしていました。

その宇宙開発について、次のような質問をしました。

まずは、「はやぶさプロジェクト」の意義についてです。「いとかわ」の岩石を持ち帰った「はやぶさ1」も、「りゅうぐう」の岩石を持ち帰っている「はやぶさ2」の両方のプロジェクトを対象とした質問です。
期待通りの答弁(割愛)が返ってきました。私が考える意義は、前回メルマガでもお伝えした冒頭の問題意識そのものです。すなわち「科学技術は、軍事、宇宙、原子力、生命科学の頂が高ければ高いほど、その裾野が広くなるというのが持論だ。しかし、わが国では軍事はタブー、原子力も国民の理解が得られづらい状況を考えると、はやぶさプロジェクトに象徴される宇宙分野をわが国の科学技術の牽引役にすべきだし、国民の期待、子供たちの夢にもつながる」からです。

また、満身創痍になりながら、数々の危機を乗り越え、「いとかわ」の岩石を持ち帰った「はやぶさ1」は、日本国民と子供たちに夢と元気と困難に立ち向かう勇気を与えてくれた。また、「はやぶさ1」の反省に基づいて計画された現在進行中の「はやぶさ2」プロジェクトも同様の意義を持っており、更には、世界中に日本の宇宙開発技術の素晴らしさを知ってもらうことができた、と更なる意義を語りました。

続いての質問は、はやぶさ2が地球に帰還して大気圏に突入する際、NHKを通して、世界中にその映像を発信すべきだ、また、「はやぶさ1」から続くプロジェクトのPR動画も制作し、それも併せて放映すべきだ、と提案しました。
その心は、日本国民と子供たちに夢と元気を与えることは勿論、日本の宇宙開発技術の素晴らしさを世界中の人に知ってもらい、世界中から優秀な宇宙関係技術者が日本で学び、研究することに繋がるからだ、と力説しました。

質問の中では発言していませんが、「はやぶさ2」が地球に戻り、大気圏に突入する際、採取した岩石を格納しているカプセルだけを残して、全て燃え尽きる様子を見たら、私は大粒の涙を流すと思います。今、このメルマガを書きながら、その様子を想像するだけで涙が出てきます。2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられて以来、太陽と地球の倍の距離の約3億キロ離れた小惑星「りゅうぐう」に至り、岩石の採取を含む数えきれないほどの仕事をして、来年2020年末に地球に帰還する予定ですが、この6年間に、何と約52億4千万kmも飛行して地球に戻ってくるのです。見事にそのミッションを果たして戻ってくる、その雄姿そのままで地上に戻ってきてほしいのですが、カプセルを残して燃え尽きてしまうのです。その頑張りに想いを馳せながら、燃え尽きる姿を見て涙するのは私だけではないと思います。尚、この6年間に地球は、はやぶさ2の飛行距離以上になる約56億4千万km、太陽の周りを飛行しているそうです。 

最後は、「宇宙への子ども達の関心を高めることが、わが国の科学技術立国への最良の道であることの認識」について質問しました。

米国駐在中、娘たちの通っていた公立小学校では、「宇宙週間」というイベントがありました。
「Tシャツのデザインを全生徒から募集し、子供たちはその宇宙週間の間中、選ばれたデザインのTシャツを着て生活する。また、初日には宇宙飛行士が来て、宇宙について話をしてくれる。子供たちはその宇宙週間を通して、宇宙や科学技術にとても強い興味関心を示すが、これが米国の宇宙開発技術やNASAへの米国民の高い関心と支持に繋がっていると思う。だから、わが国でも小学校、中学校の両方で宇宙週間を設け、子供たちの誰もが「あるある」「あったあった」を共有する環境をつくることが、科学技術立国への第一歩になる」と訴えました。

以上が、11月27日科学技術特別委員会の質問の概要です。

私は、宇宙や原子理論が大好きで、NHK-BSの宇宙番組「コズミックフロント」は必ず見ますし、録画もし、興味ある内容は何度でも見ます。宇宙関係の本もよく読みます。また、「はやぶさ1」のプロジェクト・マネージャ・川口淳一郎博士の講演も個人として聴きに行きました。また、今年8月末には、科学技術特別委員会の一員として、相模原市のJAXAを視察訪問し、「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクト・マネージャや吉川ミッション・マネージャにもお会いし話を聴いてきました。

そんなこんなで、委員会質問も自分の興味の延長でさせてもらいました。ご容赦を(照笑)。

しかし、子供たちの宇宙への関心が、あらゆる科学技術分野への関心へと繋がり、科学技術立国への最良、最短の道であるという認識は間違っていないと信じています。子ども達の夢と希望の象徴となっているはやぶさプロジェクトの成功を願いつつ、科学技術特別委員会質問のメルマガを終わります。最後まで読んで戴きありがとうございました。

吉良州司

P.S.前回のメルマガでお伝えしたことに関して、1点だけ補足しておくことがあります。

それは、「太陽より大きな質量の恒星で生じている核融合は、ヘリウムから炭素へ、更に大きな質量の恒星では、炭素から酸素へ、更に更に大きな質量になっていくに連れて、より大きな元素が生じてくるが、最後は「鉄」になった段階で核融合は終わる。これらの大きな元素がつくりだされる核融合反応においても、この0.7%の質量消滅と同等のエネルギーが生じるとされる「水素からヘリウムへの核融合」と(安全性を含め)同じ反応となるのか、それは、理論止まりなのか、実証されているのか。」というくだりについてです。

何故この質問をしたか、それは、水素からヘリウムへの核融合反応環境ですら、地球上で作り出すのは、難しいとは思っていましたが、仮にヘリウムから炭素へ、などより重い物質を作れたとした場合、その核融合反応の方が安全性に優れているのであれば、当然ながら、より安全性が高い技術の開発を優先すべきだと思っていたからです。「現時点の科学では困難」との予想通りの答弁が返ってきました。現時点では、水素からヘリウムへの核融合の道しかない(それより重い元素を、この地球上の核融合により作り出すことは困難であること)を確認しました。