吉良州司の思索集、思うこと、考えること

2019年6月1日

子どもたちの誰もが愛情に恵まれる世の中にしたい ~児童虐待のない社会に!結愛ちゃん、心愛ちゃんの悲劇を二度と繰り返してはならない!~ (広報誌18号)

結愛ちゃんの心の叫び

社会の宝である子供たちの命が絶たれる、目を覆うばかりの虐待死が後を絶ちません。昨年、虐待を繰り返されたあげくに亡くなった東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)。「おねがい。もうゆるしてください」。残されたメモから、幼いながらも必死に生きようとしていた姿が目に浮かびます。どれだけ、温かい親の愛情を求めていたことか。無碍(むげ)なくて、悔しくて、そして怒りで涙がとまりません。幼いのに、あんなに人の心を打つ言葉をもっていた。人の親ならば、いや、人ならば、必ず伝わるはずの言葉や心が結愛ちゃんの親には届いていませんでした。

(※広報誌のバックナンバーをご希望の方は、お問合せページからご請求ください)

>>当記事は広報誌17号に掲載されています。

結愛ちゃん、心愛ちゃんの悲劇が二度と繰返されない社会にしたい。児童相談所を視察訪問し、職員の方と意見交換しました。

今度は心愛ちゃんが

今年になって、結愛ちゃんに続いて、今度は千葉県野田市の心愛ちゃん(10歳)が、虐待を繰り返された挙句に亡くなりました。余りに気の毒で、むげなくて、辛くて、あの鬼のような父親に対する怒りが込みあげてきて、冷静でいられません。何故、かわいい我が子に、あんな酷いことができるのか、私には全く理解できません。

児童相談所の現場の悲痛な訴え

二度とこのような悲劇を繰り返さないための根本的な対策が求められています。

先日3月5日、東京都新宿区の児童相談所を野党議員とともに視察した際に、職員の方々から聞いた話で印象的だったことは、この仕事は、ふたつの意味で「すごく『こわい』仕事だ」ということでした。ひとつは、一時保護など、親と子供を引き離すことができる、極めて強い権限を持つことのこわさ。もうひとつは、実際にこわい親と対面する際のこわさ。後者については、経験則から、対面室には、親が激高した際の凶器になるようなもの、たとえば、花瓶などを置かないようにしているとのことでした。
実際の怖さに対処するためには、警察との連携はもちろん、警察OBなどの採用と常駐が必要だと思います。また、相談員の半数以上が3年未満、それも1年に満たない経験しかなく、経験がものをいう世界なので、相談員の確保と育成が急務であることも悲痛な現場の訴えでした。

児童虐待防止法案

これらを含む様々な問題点を克服し、児童虐待防止対策を抜本的に強化する法案(「児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」)が野党5会派共同で衆院に提出されました。児童虐待根絶に向けた、また、虐待を繰り返す親に対する諸施策も盛り込まれていることから、与党もその内容を取り入れ、修正案が可決されました。児童虐待根絶に向けて社会全体で立ち上がる時です。

虐待の連鎖を断ち切る

一番の根本対策は、そのような親をつくりださないことです。妻や子供に激しい暴力を繰り返す親の元で育てられた子供は、暴力は「愛情」のひとつの表現であって、「お父さん(お母さん)は愛情があるから、その愛情の証として暴力をふるっているんだ」と思い込まなければ生きていけないそうです。暴力、虐待は連鎖していく可能性が高いのです。この連鎖を断ち切らなければなりません。そのためには、30年から50年先まで見据え、「いい親を育てる」という意識で、今の子供たちを学校、社会で育てていく必要があると思います。

子どもの誰もが愛情に恵まれる社会に

子供が大好きで、いつも将来世代最優先を掲げていながら、結愛ちゃん、心愛ちゃんを救えなかった社会の現状に自らの無力さを痛感しています。この加害者のような親をつくらない社会にしたい、二度とこのような悲劇が起こらない社会にしたい、生まれてくる子供の誰もが愛情に恵まれる世の中にしたいという強い気持ちを、今後の活動の原動力にしたいと心の底から思います。

結愛ちゃん、心愛ちゃんを始め、虐待によって犠牲になった多くの子供たちのご冥福を祈ります。

バックナンバー