政策論

大胆な子育て支援策(広報誌17号)

新たな消費税5%負担をお願いしてでも、我が国最大の課題「人口減少」「少子化」を克服し、社会・経済に活力を取り戻す!「最善の成長戦略」にもなる!

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>>当記事は広報誌17号に掲載されています。

大胆な子育て支援策の必要性

現在の我が国の最大の課題は「人口減少」「少子化・高齢化」です。人口が減少すること自体が大問題ですが、若者、子どもたちの減少が著しく、将来に亘って社会の活力が失われ、経済が衰退していく恐れがあります。
この人口減少と少子化に歯止めをかけ、活力ある社会、元気な経済を創りだすことこそ現在の政治が取り組まなければならない最優先の課題です。ご承知の通り、フランスやスウェーデンでは、現物給付、減税、現金給付などの思い切った少子化対策を実施することにより、少子化に歯止めをかけ、合計特殊出生率を大きく回復させることに成功しています。勿論、これらの国々は、非嫡出子が5割を超えているなど社会的、文化的背景が異なりますので、仮に我が国において、同じ子育て支援策を施しても同じ効果が出るとは限りません。

第一子3万円、第二子5万円、第三子10万円、第四子以上各15万円を高校卒業まで毎月支給

しかし、それでもなお、私はフランスの成功例を参考にして「子育て世帯に対して、毎月、第一子に3万円、第二子に5万円、第三子に10万円、第四子以上には各々15万円を誕生から高校卒業まで支給する」という大胆な子育て支援策を提案します。これは、同時に「社会活力回復策」、「日本経済の元気取り戻し策」でもあります。
政策哲学は「将来の日本を支える子どもを育てる世帯に対して、国をあげて、社会をあげて支援する」という子育て世帯への「家計支援」です。それゆえ、食費、衣服費、塾代、家賃、光熱費、通勤・通学の交通費、家や車のローンに使おうが、家族旅行に使おうが、飲み代に使おうが、子供を育てている限り使途は自由です。

新たな消費税5%が必要

厚生労働省の「人口動態調査」による各年次の出生順位別の人数を基に(2017年以降に生まれる者の人数は2016年生まれの出生数が継続することを前提)試算すると、必要となる財政負担額は、誕生から高校卒業時まで約19年分215兆円、年間12兆円弱で、消費税に換算すると約6%になります。
既存の児童手当予算額約2.2兆円(消費税1%相当)を組み込めば、新らたに必要な財源は年間約10兆円となり、消費税約5%相当となります。将来に亘って我が国社会の活力を維持し、経済を元気にするために、全ての国民にこの負担をお願いしなければなりません。

この支援策はある意味、「子育て世代向けの社会保障制度」と位置付けることができます。誰もが負担者であり、受益者にもなります。子育て支援給付を受けた家庭で育った子どもたちが、その次の世代の子どもたち、および高齢者の社会保障を支える納税者となるのです。子育てを終えた世代も、いずれはこの子どもたちから支えてもらうことになります。負担ばかりではないことを、是非ご理解戴きたいと思います。

日本経済を元気にする

昨年来、私が何度もお伝えしていますように、現在の日本経済を元気にするには個人消費を増やすしか手はありません。
かつての高度成長時代は、民間設備投資、国の財政出動、毎年賃金が上昇する中で、貯蓄が増え(貯蓄は投資の原資)、個人消費も着実に増えるなど、GDPを構成する全ての要素が増大し、GDP成長に貢献していました。しかし、現在はほとんどの先進国がそうであるように、我が国も個人消費がGDPの6割を超えています(設備投資は2割前後)。この個人消費が伸びない限り、国内経済、特に地方経済は潤いません。

子育て世帯への現金支給については、その一部は子どもの将来の学費のために貯蓄に回されると思いますが、大部は家賃、食費、毎年大きくなる子どもの服飾代、塾代、お父さんの飲み代などに使われるでしょう。結果、支給した現金は「天下の回りもの」として、多くの生活関連産業を潤すことになります。個人消費の拡大を通してGDPの拡大に貢献します。

現実の子育て世代に期待の声

実際、子育て真最中の人たちに話をすると、「今は、子ども2人ですが、そんな政策が実現するなら3人目を考えますね」、3人の子どもがいる人からは「4人だと月々33万円の支給ですか、それなら4人目ほしいですね」というような言葉が返ってきます。お金で釣るつもりではないですが、もっと子どもがほしいのに、1人や2人で我慢していることの最大の理由が「お金がかかる」ことですから、子ども2人で月8万円、子ども3人だと月18万円という使途を限定しない支援は、手取りの賃金が8万円、18万円増えることと同じ効果がありますので、魅力的だと思います。

玉木代表の第三子1000万円支給案との違い

私と同じく、人口減少と少子化が最大の国家的課題と認識し、子育て支援を最重要視する国民民主党の玉木共同代表(執筆時点では代表候補)が「コドモノミクス」と称して、第三子に1000万円を支給することを提案しています。子育て支援を最重視する具体策を提案していること自体は高く評価しています。しかし、既に2人の子供がいる世帯に3人目を促す第三子への支援は、根本解決にはならないと思っています。
何故なら、結婚して子どもがいる世帯は、意外に2人、3人の子どもがいる場合が多く、少子化の最大の原因は「未婚化」「晩婚化」だと思われるからです。この「未婚化」の原因のひとつが不安定雇用と低所得だと言われていますので、この子育て支援策により未婚化の進行に歯止めがかかることも期待できます。また、仮に、3人、4人の子供を持とうとすれば、一般論としては女性が20代に第一子を授かることが必要になってきますので、晩婚化を減らす効果もあるのではないかと思います。

非正規雇用男性の40歳までの未婚率75.6%

統計上のデータは少し古いのですが(これ以降の統計がないのでご容赦を)、「正規・非正規社員別の未婚率」のグラフを見てください。2010年の統計で、正社員30代男性の未婚率が30.7%なのに対して、非正規社員のそれは75.6%、何と4人に3人が未婚なのです。
それゆえ、国として力を入れるべきは、この大胆な子育て支援策の実行により、将来不安を抱える若者に、結婚して子どもを授かれば、社会から大きな支援が受けられる、と結婚に向け一歩踏み出す勇気を持ってもらうこと、同時に若者の安定雇用に向けた制度を整え、将来不安をなくしてもらうことです。

安定雇用に向けた制度づくりについては、終身雇用を前提にした正社員はもちろん、資格やその道の経験を活かしての専門性を売りにしたジョブ型雇用の正社員の道の両方を政府が支援していくことも重要だと思います。中島みゆきの歌「糸」にある「縦の糸は終身雇用、横の糸はジョブ型雇用」両方がこれからの社会には必要だと思います。この詳細な議論は別の機会にさせてください。

女性の生き方の選択肢が増える

男女共同参画の時代、女性の多くが社会で活躍したい、働き続けたいと思っている一方、子どもが幼い時は側にいてあげたいのに、家計を助けるために働かざるをえない、という女性も少なからずいると思います。私は選択肢が多い社会こそが豊かな社会だと信じていますので、子どもが幼い時は子どもの側にいてあげるという選択も可能にする政策が私が提唱する「大胆な子育て支援」だと思っています。勿論、女性でなくとも男性が子どもの側にいるという選択肢も含んでいます。例外はあるにしても、女性の生き方の選択肢を増やすことにつながるのではないでしょうか。

国民的合意形成への論点

この政策の国民的合意形成のためには、数多くの論点があることは承知しています。この政策実現の恒久財源としての「新たな5%の消費増税」が国民全体に受け入れられるのか。文部科学予算が約5兆円、防衛費が約5兆円なのに、その2倍もの予算を子育て支援だけに使うことが妥当なのか。その前提条件である、子ども3人家計へ月18万円、4人だと月33万円も支給することが一般的賃金水準と比較して、そもそも妥当なのか。若い子育て世代とはいえ高額所得者もいる中で、所得制限が必要なのではないか。支給を受ける家計の消費性向は上向いても、子育てが終わった家計に対しては5%の消費増税が却って消費を冷え込ませることになるのではないか。子育て世帯を重視するあまり、子どもがほしいのに恵まれない世帯など、子どもを持たない世帯との公平性が担保されるのか。離婚した場合に子どもを引き取った方の親に全額支給するのか。シングルマザーに全額支給するのか。里親里子の家庭にも適用するのか。私は里親里子世帯にも適用すべきだと思いますが、支給額目当ての里親里子制度悪用や偽装が生まれるのではないか、などなど、課題は山のようにあります。

しかし、政治家の政治家たる所以は、数ある政策課題の中で優先順位を明確にし、最優先課題を実現するための国民的合意を形成することです。現在の最大の国家的課題が人口減少と少子化ですから、「将来世代最優先」「子育て支援最優先」を明確にし、合意形成に向けて一歩を踏み出したいと思います。

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