吉良からのメッセージ

2015年11月17日

パリの同時多発テロに思う

今回のパリにおける卑劣極まるテロに対して激しい怒りを抑えられません。
犠牲になられた方々に対して哀悼の誠を捧げます。

今回のテロ事件を受けて吉良州司が思うところ、感じたことをお伝えしたいと思います。

1.まず、あまりにも当然の思いですが、何の罪のない人々を標的にした無差別テロは絶対に許されない、ということです。国際社会として、テロから人々を守ること、テロの温床をなくすこと、に真剣に取り組んでいく必要性を痛感します。

我が国としても、在外邦人の安全は勿論のこと、日本国内でテロを起こさせないための万全の対応が求められます。世界と結びついた国内におけるテロ対策に関して、国を挙げて取り組んでいけなければなりません。

個人的なことで恐縮ながら、自分の娘が事件の当日パリに出張しており、事件があった場所からそう遠くないところにいたようで、今回のような事件は本当に身近で起こりうることだと実感しました。

特筆すべきはフランス人の気概と勇気です。場合によってはテロの標的にされかねないリスクを負いながら「テロには屈しない」というプラカードを大きく掲げてテロに抗議する人々、手をつないで「テロとの戦い」の絆と連帯を堂々と示そうとする人々、その気概と勇気には本当に頭が下がります。このテロの現場からの勇気ある声と行動が世界の人々をして「テロには屈しない」「断固テロと戦う」という覚悟を持たせているのだと思います。

その国民的な気概があるからこそ、テロに屈することなく、気候変動に関する国際会議COP21を予定通り開催することを決断できたのだと思います。

2.安保法制が成立した直後に、国際社会が連携してISと戦うという事態が生じる可能性が濃厚になってきました。私は、通常国会が終わった後のホームページに次のようなメッセージを掲げました(文章の一部を抜粋)。

『戦後70年を迎え、安倍政権が当該安保法制政府案を出してきた機会を捉え、今、世界情勢や東アジア情勢がどのように変化しているのか、我が国が現在の世界情勢をどう見ているのか、また、同盟国である米国はそれをどう見ているのか、現在世界的に深刻な陰を落としているイスラム世界と西洋世界との一神教間文明衝突的対立に対して、中東に石油の83%を依存する八百万の神を信じる我が国はどのように対応すべきなのか、それらを含めて、我が国の安全保障や世界秩序はどうあるべきなのか、についての深い国民的議論を行う絶好のチャンスだったと思います。
そして、望ましい国際秩序を創るために、我が国はどのような貢献をすべきなのか、またどのような貢献ができるのか、米国と共同してやるべきこと、友好国と一緒にやるべきこと、米国とは見解を異にするので我が国単独でやるべきこと、やれることについて、徹底的に議論すべきだった』

実は、この文章は「中東」や「IS」を意識しての文章でした。その時点での近い将来、国際社会が連帯してISと戦うような状況が出現し、我が国はどのような協力を要請され、どのような形で協力すべきなのか、判断を迫られる場面が生じてくると思っていたのです。

通常国会において安保法制が成立したことにより、我が国は「国際平和支援法」の「国際平和共同対処事態」(①国際社会の平和・安全を脅かす、②その脅威を除去するため、国際社会が国連憲章の目的に従い対処する活動を行い、③我が国が国際社会の一員として、これに主体的かつ積極的に寄与する必要がある、事態)と認定すれば、諸外国の軍隊等に対する協力支援活動(実質的な「後方支援活動」)ができることになりました。もはや、憲法や法律を理由に断ることはできないのです。

勿論、極悪非道なISとは断固戦う必要があり、国際社会が連帯して行動を起こす場合、我が国だけは何もしませんというわけにはいきません。しかし、成立した安保法制によって法律上は許されることになった軍事的な後方支援は極力避けるべきであり、テロの温床を最小化、根絶するという観点から、人道支援を中心とした貢献を行うべきだと思います。

吉良州司