吉良からのメッセージ

2016年1月7日

2016年新年挨拶及び民主党岡田代表の代表質問に思う

あけましておめでとうございます。
よいお年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

1月4日から通常国会が開会され、当日行われた安倍総理の外交報告と麻生財務相の財政演説に対して、昨日主要政党による代表質問が行われました。

既に新聞、テレビ、ネット情報でご存知の方も多いとは思いますが、岡田民主党代表の質問要旨を吉良州司流に要約し、私自身の見解もお伝えします。

1.昨年の安保法制の強行採決は決して許すことができない。また、同法成立直後に安倍総理が約束していた、国民に対する説明責任を果たしていない。

2.補正予算案は、1.9兆円の税収上振れ分を、アベノミクスの果実としてばら撒こうとしている。しかし、税収は常に不安定であり、財政健全化に取り組むべき。

3.3600億円の年金生活者等給付金は、1100万人の高齢者に1人3万円を配るようだが、これは民主・自民・公明の三党合意の年金生活者支援給付金(H29年度実施で合意)の前倒しとも説明されているが、この合意の対象者は600万人であり、今回は明らかに拡大、ばら撒き。

4.今、困窮しているのは高齢者だけではない。働く世代やその子どもたちへの給付を何故考えないのか。公明党が主張する子育て世帯臨時特例給付金の廃止も疑問。

5.この1人3万円、総額3600億円が参議院選挙直前の5、6月に給付されるのは、あまりにも露骨な、税金を使ったばら撒き選挙対策。このばら撒きを止めるべき。

6.認可保育所等の整備10万人分、介護施設等整備12万人分を前倒し・上乗せする補正予算案だが、問題は人手不足。保育10万人には2万人、介護12万人には5万人の人員が必要。給料が安いため保育も介護も現場は人手不足。確保できるのか。保育・介護の現場で働く230万人の処遇改善を実現する覚悟があるのか。

7.TPP関連予算3403億円が計上されているが、TPP協定の是非が国会で議論されない中で補正予算が先行することには違和感。そもそも2012年衆議院選挙で、自民党議員の多くはTPP絶対反対と叫び、「TPPへの交渉参加反対」のポスターを全国に貼っていた。全国の農業者は、その公約違反と不誠実さに怒っている。

8.軽減税率範囲が外食を除く飲食料品全体に拡大した結果、1兆円の財源が必要。この財源確保のためとして、低所得者の負担軽減となるよう3党で合意した「自己負担の総合合算制度」の導入を見送りしたことは遺憾。消費税10%への引き上げ時、1%相当分2.8兆円を社会保障の充実に充てる際の重要な柱が総合合算制度の導入だった。この廃止は、「1%相当分を社会保障の充実に充てる」という国民に対する約束破棄だ。また1兆円の財源手当てが不明確。どの社会保障予算を削減するのか明確に。

9.昨年12月に日印原子力協力協定が合意されたが、まず協定内容を説明すべき。同協定の最大の課題は、インドが核実験を実施の際の日本の協力停止、稼働中、建設中の原子力発電所も協力停止することを明確に。日本の非核政策にとって極めて重要。

10.地球温暖化対策としての削減目標を2030年に2013年比26%削減としているが、1990年比18%削減に過ぎない。このペースで2050年8割削減の国際約束は実現不可能。8割削減への具体的な道筋を示すべき。

11.慰安婦問題の合意は率直に評価。ただし、安倍総理自身の言葉で語るべき。

12.選挙制度改革は、これ以上の先送りは許されない。一票の格差是正については、調査会答申受け入れ、自分も民主党内をまとめるので、安倍総理にも自民党内をまとめてもらいたい。

13.安倍総理は、経済最優先を明言。経済成長のための一億総活躍社会なのか。GDP600兆円達成のための「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」なのか。経済成長は一人ひとりの幸福実現のための手段であり目的ではない。仕事と子育てを両立も、充実した介護も、一人ひとりの幸せのために必要だからこそ、政治は責任を果たさなければならない。国が号令をかける一億総活躍ではなく、一人ひとりが尊重され大切にされる社会こそ、政治が実現しなければならない。一人を見捨てる政治が、一億人を幸せにできるはずがない。

14.直面する重要課題についての解決先送りやばら撒きの最大の被害者は若者。「18歳選挙権元年」となる今年、日本の将来、そして国民一人ひとりにとって本当に大切な国会。若者にとって、一人ひとりの国民にとって、希望の見える国会としたい。

以上、岡田代表の質問要旨の報告です。

岡田代表の質問演説は、鋭く、迫力に満ちたものであり、一部を除いて自分の考え方、感じていることに合致したものでした。

1100万人の高齢者に1人3万円を参院選挙の直前に配る年金生活者等給付金などは、どう言い訳をしようとも「選挙目当てのばら撒き」批判に耐えうる予算ではありません。

これだけ国民の支持が高い政権でありながら、2014年暮れには「消費増税の延期」を公約に掲げて解散総選挙に打って出る、今度は参院選挙を前に露骨なばら撒きを平然と行う、私には全く理解できません。強い政権基盤がある時にこそ、国民に不人気な政策であっても、将来の日本のため、将来世代のためになる政策を打ち出してゆくべきです。

その意味でも、岡田代表が主張した財政健全化、若者、働く世代、子供たち、保育・介護に従事する人達への支援の必要性には共感します。

また、「経済成長は国民一人ひとりが幸せになるための手段であり目的ではない」というくだりには「わが意を得たり」との思いを強くしました。

私自身、経済に関わる分野で生きてきただけに、強い経済を志向する傾向がありますが、今、一番の関心は、若者、子供たち、将来世代が力強く生き抜いていける環境をつくりだすことにあります。

これからの日本を背負ってくれる将来世代が、貧困に苦しむことなく、自信を持って人生を切り開いていける、幸せな家庭を築いていける、そのための社会的、経済的基盤を、今を生きる大人の責任として構築してゆきたい、ということが今年の抱負です。それもこれもすべて、一人ひとりの幸せ、特に将来世代の幸せを願うが故の思いです。

今年1年がみなさまにとって素晴らしい1年になりますようお祈り致します。

吉良州司