外務務員会での「地政学的外交戦略」についての質問(1)
今日の午前中に外務委員会で質問をしましたので、質問内容につき報告します。
今回の質問の最大の問題意識は「地政学的外交戦略」です。
中国が「上海協力機構」「一帯一路構想(陸のシルクロード経済ベルト=一帯構想と21世紀海上シルクロード=一路構想)」、それらを実現するための資金的支援ツールである「アジアインフラ投資銀行」や「シルクロード基金」など、地政学的枠組みを着実に構築していく中で、我が国はどう対応しようとしているのか、TPPは地政学的枠組みとして捉えることができるのではないか、という問題意識で質問しました。
1.まず、各論に入る前に、フィリピンのドゥテルテ大統領訪日にあたり、同大統領が中国訪問時に、国際仲裁裁判所のフィリピンに有利な、また日本が望む判決が出ているにも拘わらず、それを棚上げするような合意がなされたこと、更には、米国と決別すると発言したことについて、岸田外務大臣がどう受けているか、質問しました。
大臣からは、日比間では、基本的な考え方を共有・確認しているので、今回の同大統領との間で確認したい、との答弁がありました。
2.フィリピン・ドゥテルテ大統領に限らず、東南アジア諸国は中国の力、また、中国の経済支援に引き寄せられてしまう傾向がある。そのことにつき本日付の読売新聞の朝刊記事を引用し(中国による支援の問題点はわかっていても中国からの支援や投資は魅力的という記事)、残念ながら各国は「花より団子」なのだ。その中国に引き寄せられる仕組みを中国が構築している。それが、中国が主導する上海協力機構であり、一体一路構想だ。
この上海協力機構(中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟国。オブザーバー国としてインド、パキスタン、モンゴル、イラン、アフガニスタン、ベラルーシ。対話パートナーとしてスリランカ、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール)は、我が国にとってどのような存在か、と質問。
大臣からは上海協力機構そのものについての答弁であり、当方にとって満足のいくものではありませんでした。
3.満足しなかった理由は、上海協力機構が加盟国、オブザーバー国まで入れると、かつてのモンゴル帝国に匹敵するユーラシア大陸を覆うような地政学的地域に及ぶことに大臣の言及がなかったからでした。そこで、上海協力機構の地図を示した配布資料を大臣はじめ外務委員に見てもらい、視覚に訴えてその地政学的意味合いを理解してもらいました。
(以下参照ください)
4.この上海協力機構に対抗する我が国の地政学的対応につき、かつての(2006年)第一次安倍晋三内閣(麻生太郎外相)で打ち出した「自由と繁栄の弧」も例に出しながら質問。
大臣からは「自由と繁栄の弧」構想は変化はないが、「中央アジア+日本」という枠組みで対応しているとの答弁がありました。
これに対して、私はTPPが上海協力機構に対抗しうる地政学的枠組みだと(配布資料の世界地図を見てもらいながら)主張し、次のテーマであるTPPの議論へと展開しました。
長くなりましたので、一旦線引きし、続きは次回とさせて戴きます。