吉良からのメッセージ

2017年8月21日

民進党代表選挙は前原誠司候補を支持します

今日のメッセージは少し長くなりますが、最後までお付き合い戴ければ幸いです。

今日8月21日、民進党代表選挙には前原誠司氏と枝野幸男氏のふたりが立候補を届け出て、9月1日の投票に向けての選挙戦が繰り広げられることになりました。
私は、前原誠司さんを支持することに決めました。8月18日には同氏と二人で小一時間ゆっくりと話しをし、私自身が考えていることも伝えさせてもらいました。
その際、前原さんが掲げる「All for All」の政策は社会主義的な大きな政府につながるとの懸念を伝える一方、現実を直視した外交安全保障、将来世代最優先の政治の重要性などについては、お互い共有・共感することができました。

私が新しい代表に期待すること、つまり、もし私が民進党の代表になった場合に、国民に訴えるべき近過去の政治的歴史観や実現すべき理念・政策、民進党のあるべき姿について、これまでも事あるごとに訴えてきたことの繰り返しにはなりますが、みなさんにお伝えします。

まず、一番大事なことは、一度失ってしまった国民の期待を取り戻すこと。そして、内政的には将来世代優先の政治、生活者主権の政治を実現するため、外交安全保障については、我が国を取り巻く極めて厳しい環境に対応した現実的外交安全保障政策を実現するために、再び民進党が政権を取ることです。

民主党政権崩壊後、多くの国民は「一度政権交代させてみたが、民主党政権は稚拙な政権運営で自滅してしまった。やはり政権党は自民党が望ましい。ただ、自民党が権力におごり独走しては困るので健全な野党の存在は必要だ。民進党よ、健全野党としてもっとしっかりしてくれ」という空気になっていたと思います。しかし、東京都議会選挙で見られるように、今や「健全な野党」としても認知されない状況になってしまいました。

その焦りもあるからなのか、今の民進党は「自民党」との違い、対立軸を強調しようと躍起になっています。しかし、私に言わせれば、政権を担い、日本の現在と将来に責任をもたんとする政党や政治家に、政策上の「対立軸」を強調する必要など全くありません。日本と国民のためにいいことをひたすら国民に訴えて、実現していく、その単純な姿勢を貫いていくことが国民の信頼につながると信じています。自民党に代わって政権を担える政党が必要なことは、対立軸の問題ではなく、自民党の体質の問題です。そのことはまた後述します。

その、日本と国民の現在と将来に責任を持つために必要な、新しい国創りの基本政策は次の5つです。
1.将来世代最優先、2.生活者優先、3.現実的な外交安全保障、4.人財と民間企業による力強い経済、5.国民全体で支えあう安心な社会保障

これら5つの内、外交安全保障、生活者優先、将来世代最優先の政治について、持論をお伝えします。

外交安全保障については現実対応と継続性が重要です。自民党と大きな違いがないことは、「大きな違いがない」「基本的な立ち位置は同じである」と勇気をもって言える政党になるべきです。万年野党ではなく、正に政権を担う政党ですから、国家としてどうあるべきかを考えることが重要なのであって、自民党との違いを外交・安全保障において強調する必要は全くありません。安倍政権が打ち出した安保法制について言えば、海外で武力行使することや軍事的後方支援を行うことは断じて許してはなりません。しかし、我が国が直面する現実的脅威に対しては、敵地攻撃能力を含む自主防衛力の増強はもちろん、集団的自衛権容認を含めた同盟強化による抑止力の維持向上により国民の命を守り抜くことは国家の責務です。また、人道支援を中心として国際社会の平和と発展に貢献することは国際社会とともに生きていくしかないわが国の宿命であり責務です。
国民は理想論だけの外交安全保障政策の政党に政権を任せる判断はしません。冷徹な現実認識と現実対応の外交安全保障政策を党の基本政策とすべきです。

外交安全保障で自民党との違いを出す必要がない中で、自民党と一体何が違うのか?それは、自民党が「現世ご利益政党」であるのに対して、民進党は「将来世代を最優先する政党」であること、また、「常に供給者、業界の立場に立つ自民党」に対して、「生活者の立場に立つ政党」であることが一番大きな違いです。「コンクリートから人へ」の本当の意味は「業界優先の政治」から「生活者優先の政治」へということなのです。

その生活者優先についてです。

戦後復興、高度成長、その後の安定成長時代の日本はまだまだ発展途上段階であり、まずは国内産業の育成・保護・発展を後押ししながら国内供給力を増大させることを最優先しなければなりませんでした。つまり、産業を育て守り発展させることを最優先する自民党政権においては、ものやサービスを供給する側の論理、すなわち、業界の論理で政府と役所が成立っていました。
この間、ずっと政権党であった自民党は供給者、業界の言い分を政務調査会の各部会とそれに属する族議員が聞き、その要求を法律や制度として実現し、予算配分を行う政党でした。国内産業育成が至上命題であったその時代としては、正しい優先順位だったと思います。しかし、その時代の優先順位付けが成功し、産業として充分独り立ちできるようになってからも、産業・業界を最優先することを自民党政治は継続したのです。それらの産業・業界が選挙時には、自民党の大応援団として、人とお金と票を出してくれるからです。保護や支援がなくても堂々と世界と渡り合えるようになってからも、既得権益者として、持ちつ持たれつの関係になったそれらの業界に国民の貴重な税金を優先配分するのが自民党政治です。言い換えれば、大多数を占める一般の生活者の論理や権利は常にないがしろにされ後回しにされてきました。
 アベノミクスも相変わらず供給者の論理に立った経済政策であり、一部の輸出関連大企業は利益を得ているかもしれませんが、圧倒的多数の生活者はアベノミクスのために輸入物価があがって生活費が上昇し、その生活を苦しくさせられています。

発展途上段階の日本を見事な外交政策、経済政策、社会政策によって世界有数の経済大国に押し上げた最大の政治的功労者は自民党であり、一時は一億総中流社会とまで言われる格差の小さな経済大国を築き上げた功績は賞賛に値します。しかし、それは発展途上時代の、また、その時代特有の国際情勢、社会環境があってこその話であり、東西冷戦が終わり、グローバル化や少子化高齢化が進展する現在の国際的、国内的環境の中にあって、かつての発展途上段階に通用した政策が現在において通用することはありえません。
現在の自民党政治の最大の罪は、二度と戻ってはこないかつてのよき時代を取り戻すという幻想を追い求め、その過程において、日本の将来に対して、かけがえのない将来世代に対して、取り返しのつかない莫大なリスクとツケを負わせていることなのです。先進国、成熟国となった日本は、供給者・業界優先ではなく生活者優先の政治が求められているのです。

自民党が供給者の論理で政策実現を図る、結果として既得権益者の声を代表する政党であるのに対して、新しい民進党は生活者の論理で、また、納税者、消費者、働く者の立場で政策を立案し、実行していく政党であるべきなのです。

 次に、将来世代優先についてです。

現在、子供の貧困や若者の貧困が大きな社会的問題になっていますが、これからの日本を支えてくれる若者たちの多くが、年収200万円、300万円にもみたない生活をしている現状を看過するわけにはいきません。この若者たちが、また、厳しい生活の中で必死に子育てをしている子育て世代が、金融資産数千万円を保有する高齢者の年金を支え、医療費を負担し続けています。自分たちは非正規労働者として、雇用の安定もなければ、賃金が上がる保障もない。そんな不安定で将来不安を募らせている若者が、大きな資産を有する高齢者世代を支える、誰が考えてもこんな社会が長続きするはずがありません。

 これらの問題に向き合おうとした民主党政権の「子供優先」や「子育て支援」など、将来世代や子育て世代に光を当てようとした政策の方向性は間違っていなかったと思っています。今こそ、「将来世代最優先」を国家の新しい価値観に据え、これからの日本を背負っていく若者や子供たちの将来不安を取り除き、将来世代が自信を持って自分の人生を切り開いていける社会を創っていかなければなりません。そのためには社会をあげて若者、子供たち、将来世代に投資することが必要です。幼児教育、義務教育、高等学校教育の無償化を実現すると同時に、高等教育に対する給付型奨学金の拡充など、国の宝としての子供たちを社会のみんなで育てていくことは、国家としての最優先の課題です。
また、社会に出た後でも、何度でもやり直せる、社会人再出発教育への投資も必要だと思います。少子高齢時代の日本を支えていくには、一人ひとりが2倍、3倍の力を発揮してもらわなければなりませんから、それに相応しい投資をしていくことは国家の責任だと思います。
 現世ご利益だけを考える自民党政権はアベノミクスに顕著に見られるように、将来需要、将来所得を先食いし、しかもそのツケを将来世代に借金という形で付け回しています。自分たちの将来の需要や所得を奪われてそのツケだけ払わされたのでは、今の若者や子供たちはたまったものではありません。将来世代最優先の政治が今こそ求められている時はありません。

自分の業界、自分の会社、自分の商売、自分の生活さえ、よくなるなら、将来世代を含めてそのつけを誰に回しても構わないという「割り勘勝ち」根性は、本来の日本人が持っている心根ではありません。
自民党の最大の罪は(過去の功績は別にして)、国と国民の関係、政治と有権者の関係を利害得失だけの関係に貶めてしまったことです。
その個人や会社・業界にとっては得になることであっても、国全体で見ればマイナスになってしまうこともあります。その場合、時には国民の一時的な不利益(とその時点では見えるが、中長期的には本当は利益になる)の享受をお願いしてでも国全体の、そして現在だけではなく将来に亘って日本で生きていく国民のこと、その時空の全体を考えながら、今何をすべきかを考え、その優先順位を明確にし、そのことを国民に粘り強く説明し、国民の理解を得ようとするのが、プロの政治家です。

今を生きる人だけを見て、次の選挙のことだけを考える政治家ではなく、今を生きる人はもちろん、将来を生きる人の生活や幸せを考える政治家、プロの政治家の集まりとしての民進党が、子供たちの笑顔に溢れる社会、若者たちが目を輝かせて将来を楽しみに生きていける社会、大人たちが日々豊かさと幸せ感を感じられる社会、これまで頑張り抜いてきた高齢者たちが安心して老後の生活を送れる社会、真に豊かな日本を築いてゆく先頭に立たなければならないと思います。

「将来世代優先」、「生活者優先」を国家の新しい価値観とするには、既得権益者との壮絶な戦いが待ち構えています。たとえ、それが苦難にみちた道であろうとも、良識ある国民とともに、その信じる道を一緒に歩いていきたいと思います。今を一所懸命生きる生活者のために、そして、かけがえのない若者、子供たち、将来世代のために、安心感と幸せ感と夢と活力溢れる社会を一緒に築いていきたいと思います。

前原さんには上記の趣旨で国民に訴えてもらいたいと思います。

吉良州司