2018年6月22日
肺がん患者への礼を失する不適切なヤジについて
自民党衆議院議員が衆院厚労委員会の参考人として意見陳述をしてくれていたがん患者の方に、「いいかげんにしろ」という不適切なヤジを飛ばしたことは、あってはならないことです。
国会におけるとてもよい慣習だと思っていることがふたつあります。
ひとつは、本会議における永年勤続表彰者に対しての、しばらくは鳴りやまぬほどの温かい満場一致の拍手です。これは、日頃激しく議論している政党の議員に対しても、みながお互い温かい敬愛の拍手を送る姿に好感が持てます。つい先日の不信任決議の対象となった茂木経済財政担当大臣に対しても同じでした。その直前に不信任決議に賛成した野党議員も25年表彰者たる茂木大臣には惜しみない拍手を送っていました。
もうひとつは、各委員会における参考人質疑時の意見陳述をしてくれる参考人に対する委員全員による温かい歓迎と感謝の拍手です。参考人は各政党が声をかけるので、各政党に近い考え方の参考人が呼ばれます。従って、自分や属する政党の意見とは全く違う主張を展開される参考人もいるのです。しかし、いつもは欠席や遅刻が当たり前の委員も参考人質疑の際は開始時間通りに着席しますし、意見陳述を終えた際の各参考人に対して、また委員会終了時に全参考人に対して、惜しみない温かい拍手が送られます。これは、どういう意見の持ち主であれ、国会の議論を深く充実させてくれる方々に対する国会としての感謝と礼儀だと思っています。何よりも「人」としての礼儀ではないでしょうか。
それだけに、今回のような違う意見を述べる参考人を侮辱する言動、失礼な言動は、あってはならないことだと思います。
吉良州司