吉良からのメッセージ

2019年3月1日

米朝首脳会談決裂に思う

昨日、世界中が固唾をのみながら見守っていた米朝首脳会談が決裂しました。

既に日本政府や多くの識者が語っているように、「安易な妥協」が成立しなかったことに、私自身も安堵しています。
北朝鮮が核を放棄することはありえず、経済制裁の解除と経済的・人道的支援を受けるために、表面的、一時的に「いい子」を演じるだけです。

しかし、理性と知性と判断力に欠けるトランプ大統領が、自分ファースト、米国ファーストの観点から、とんでもない妥協をしかねないと心配していました。
(詳細な事実関係を現時点では把握していませんので、軽々に語るわけにはいきませんが)、ポンペイオ国務長官の助言によるのでしょうか、安易な妥協をしなかったことを評価します。

米朝首脳会談の行方を見守る中で、多くの人たちが忘れていますが、実の兄を、公の場である外国の国際空港で平然と毒殺させた人物です。金正恩は。
その父や祖父は、平穏に暮らしていた日本人を突然拉致して自由を奪い、何の罪もない人たちの人生を無茶苦茶にした人物です。
その人物が危なっかしい兵器をつくり、大暴れしようとしている。暴れまわったら周りが大変なので、何とかなだめたい。そのために、暴れん坊がほしがっているものを渡してあげよう、というのが米朝首脳会談、とんでもない話です。

トランプ大統領が誕生した時、北朝鮮の金王朝を滅ぼすためだけに誕生した政権だと思いました。冷静な大統領では、冷静さが邪魔をして金王朝を滅ぼすことはできません。しかし、理性と知性と判断力を欠くトランプ大統領なら、それをやりかねない。そして、それは東アジアと世界に平和をもたらしてくれる、と期待をしたものです。その真逆の動きを心配していただけに、安易な妥協をせず決裂したことに安堵しています。

吉良州司