吉良からのメッセージ

2019年10月23日

台風19号で被災した長野県を視察しました

一昨日10月21日、台風19号で大きな被害を受けた長野県の被災地を視察しました。
訪問先は、佐久市、上田市、長野市、中野市の被災地と被災者宅、長野県庁(県知事はじめ災害対策本部幹部と面談)などです。

長野市の千曲川決壊により家の全壊、床上浸水、床下浸水など大きな被害を受けた穂保地区も訪問し、被災者の声もお聞きしました。

報道との重複を避けるために、報道では伝えられていないこと、および私自身が強く感じたことに絞ってお伝え致します。

1.野党の被災地視察

災害地の視察とお見舞いに行く際、いつも悩ましいと思うことは、何とか被災地、被災者に手を差し伸べたいと思っても、野党は予算決定権、激甚災害指定など災害復旧策の決定権・執行権を持っていないので、それでなくても猫の手も借りたい被災地や地元自治体の側に立ってみると、野党が被災地を訪問することは、手間暇取られてかえって迷惑になるのではないかという悩みです。

それでも、今回も、被災者も地元自治体も温かく迎え入れてくれて、丁寧に被害状況の説明や生の声を聴かせてくれました。本当に頭が下がります。

(1)国会議員や政党の方々がわざわざ視察にきて、励ましてくれることに感謝
(2)国会の中で与野党、党派を超えて、一刻も早く被災地支援を実行してほしい
(3)(あまり報道されていない被災地も視察しましたので)、こんなところにまで足を運んでもらい感謝。是非自分たちの声を国会、政府に届けてほしい

といった思いから温かく迎え入れて戴いたようです。この言葉を信じ、「災害対応に与党も野党もない。党派を超えて復旧・復興を支援していきたい」と思います。

2.報道機関の被災地視察

一方、千曲川決壊で大きな被害を受けた穂保地区の方々に「今一番してほしいことは何か」とお聞きすると、「報道機関の人たちが、何回も来て、何回も同じことを訊いて大変迷惑している。泥の除去や家財などの災害ごみを片付ける邪魔をしないでもらいたい。報道機関の取材のありかたを考えてもらいたい」とのことでした。

野党の視察も迷惑になるのではないかと悩んでいただけに、この言葉には衝撃を受けました。でも、本当にその通りだと思います。
ボランティアが赴く先も報道された被災地に偏る傾向があり、報道されていない地域の被災者からは「自分たちの地域、自分の家も大変な状況になっていて、今一番ほしいのはボランティアの力。ボランティアのみなさんに、自分たちの地域にも来てくれるよう伝えてほしい」とのことでした。
報道対象の地域的な集中を是正し、偏りのない、節度のある取材が強く望まれます。

3.災害一括交付金制度の必要性

災害時の支援制度として、補助金を支給する災害見舞金や被災者生活再建支援制度などがありますが、その支給要件は、同時期の災害における被災者間の公平性はもちろん、過去の災害の被災者との公平性、という時空を超えた公平性(前例と条文に縛られた適用)を前提に定められています。しかし、今回の佐久市の被災者のケースは自宅横の水路のような狭い川が氾濫したため、上流の土砂が大量に自宅の庭や家庭菜園に入り込み、人力で土砂や泥を除去することは困難な状態です。しかし、佐久市の柳田市長の話によると、これらの泥や土砂を除去する際の支援制度がなく、頭を抱えているとのこと。
今でも被災地の自治体が支援金の支給を行い、国が後から交付税措置をすることは行われていますが、大規模災害の際には、民主党政権時代の地方主権を実現するために創設した「一括交付金(ひも付き補助金の弊害を取り除き、地方政府の自主性を重視して、使途を限定せずに地方に配分した地方活性化政策)」のように「災害一括交付金制度」を創設すべきだと強く思いました。

あらためて、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、党派を超えて被災地の復旧復興、被災者が一日も早く日常生活が取り戻せるよう尽力したいと思います。

吉良州司