文部科学委員会にて給特法改正案の質問に立ちました その2
前回のメッセージでは、先日13日の文部科学委員会におけて給特法改正案質問に関し、その委員会質疑をご理解戴くための基本情報(給特法とは何か、何故給特法改正案が出てきたのか等)及び、文部科学省に提出した質問要旨(質問通告)につき、お伝えしました。
また、15日にも引き続き、法案審議が行われ、質疑終局後は、法案および付帯決議に対する採決が行われました。
給特法改正案は多数を占める与党の賛成により原案通り可決(国民民主党を含む立国社共同会派は反対)、付帯決議案は、立憲民主党、国民民主党が中心となって作成、提案した案に自民・公明・維新も賛成して共同提案者となり、私が提案者を代表して提案説明を行った後、共産党を除く賛成多数により可決されました。
この付帯決議は、給特法改正案に対して、野党が数多くの問題点、懸念事項を指摘しましたが、それらの指摘が当を得ていると政府も、与党も認識した結果として、共同提案され、可決されました。付帯決議には、法に準ずる効果がありますので、問題点や懸念を払しょくするための具体的方向性が示されていることは極めて大きな意義を持ちます。
この可決された付帯決議については、こちらをご参照ください。
13日の質問時、私は、「残業相当の時間を制限する上限規制、学校における教師の業務の見直しと適正化、教職員定数の改善や外部人材の活用など、学校における条件整備を行うことにより、教職員の健康と福祉の増進を図る大臣指針に法的効果を持たせることには誰も異論はない。しかし、その大臣指針は表面的なみせかけだけで、本音は1年単位の変形労働時間制導入により、入学、新学期シーズンの4月、5月などの繁忙期の長時間労働を正当化することではないのか懸念される」と指摘しました。誰しもが抱く懸念です。
それゆえ、付帯決議の内容は、この1年単位の変形労働時間制が繁忙期の長時間労働の正当化、悪用、乱用に繋がることがないよう歯止めをかける内容が中心となっています。
その上で、変形労働時間制は夏季休暇時などにおける「休日のまとめ取り」のための導入であることを省令等で明確に示すことを求めています。
私は、この「休日まとめ取り」が教師にとって、「生活や気持ちをリフレッシュする機会、国内、海外旅行などより多くの経験を積むことで、教職人生を豊かにし、自らの人間性や創造性を高め、結果として子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるような機会」と前向きに捉えるべきと指摘しました。
また、商社マン時代に経験したこと、「米国やフランスのビジネスマンは夏休みシーズン、どんな重要なプロジェクトが目前に迫っていたとしても仕事より休暇を優先することが当たり前であること。一方、日本は休暇前に担当の仕事を同僚に引き継ぎ、休暇明けにその同僚から休暇中のことを引き継ぐ、といったビジネス風土であることに疑問を持ったこと」を披露し、日本全体が夏休み時の過ごし方を見直すべきだとの論を展開しました。
2020年の東京オリンピックの花形のマラソン競技が札幌に移されたことでも明らかなように、これだけ猛暑の日本の夏の過ごし方を国全体で見直すべきだ、と主張したのです。
そして、「教師が夏休み中、例えば10日間のコア期間に集中して休みを取ることは当然として、コア期間以外の夏休み中も休んで構わない、それで、教師がリフレッシュして、いい経験をつむことができて、子供たちにいい教育ができるなら、少々の批判があろうとも構わないではないか」「そのような批判に対しては、人口減少時代の今、子どもの教育以上に重要なことがあるのか、文部大臣に反論してほしい」と訴えました。また、海外の日本人学校の教師は素晴らしい方々ばかりで、個々の教師にとって理想の教育ができているので、日本人学校の視察に行ったらいい」とも提案しました。
上記は、質問通告の最後の項目にある「少子化時代における教員の魅力を増すための具体策」としての休日まとめ取りを有効活用すべき、との前向き発想から、主張、提案したものです。
給特法改正案は今後、衆議院の本会議採決を経て、主戦場は参議院に移ります。問題点をあらためて明らかにすると同時に、教職をより魅力あるものにするための前向きな論戦を期待しています。
吉良州司