新年早々、中東情勢の不安定化に思う
みなさん、あけましておめでとうございます。よい年を迎えられたことと思います。
新年早々飛び込んできたのは、米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をイラクで殺害するという衝撃のニュースでした。また、本日8日にはイランがその報復として、在イラク米軍基地に弾道ミサイルを撃ち込んだとのこと、一挙に中東の緊張が高まっています。
米国のイランに対する強硬姿勢について私は、早い段階から大きな危機意識をもっており、2018年5月16日の経済産業委員会において、米国のイラン核合意からの離脱がわが国の政治経済に与える影響ににつき警告していました。その際の議事録はこちら(19ページ)をご参照ください。
イランの英雄的人物を他国のイラクで殺害しておいて「交渉のテーブルにつけ」というのは、どう考えても筋が通らないと思いますが、トランプ大統領のハチャメチャさは常人の考えが及ばない領域です。現在の国際社会は、この非常識トランプ大統領の存在、しかもそれが、世界のリーダーであるはずの米国大統領の存在によって、まさに非常識がまかり通る異常な世界に陥っています。
この問題については、米国主導の有志連合への参加という形ではないにせよ、自衛隊を中東に派遣すべきではないと思っており、国会で主張して参ります。
そして、今年の世界最大のイベントは11月の米国大統領選挙であり、本来なら、あらゆる手段を駆使してトランプ氏の再選を阻止することが重要です。国内的にはトランプ大統領の再選は、安倍晋三総理総裁の4選に直結します。暴れ馬のようなトランプ大統領を制御できるのは安倍総理しかいない、という内外の期待が強くなるからです(実際には迎合しているだけで、制御できているとは思いませんが)。
これまで発信し続けていることですが、日本経済の特徴は、世界経済がよければ日本経済もいいし、世界経済が悪くなれば日本経済も悪くなるという極めて単純な相関関係にあります。世界経済が順調によくなっていくことが日本経済にとって重要です。
中東情勢の悪化、不安定化は、世界経済全体にも悪影響を及ぼしますが、石油の8割以上を中東に依存する日本経済が一番大きな痛手を受けます。
米国はシェールオイルやシェールガスが国内産出されるようになったことにより、石油生産量が世界一となり、もはや中東に石油を依存する必要がありません。それゆえ、中東が(自らの行動により)不安定化することがあっても、必要資源の輸入に困ることはない国になっています。
しかし、日本はそうはいきません。中東情勢の悪化、不安定化は即座に日本国益を損ねてしまいます。TPPからの離脱やパリ協定からの離脱、米中貿易摩擦、今回のイランとの緊張を高める行動など、トランプ大統領の無知に基づく判断は世界を混乱させ、日本経済への打撃を与え続けているのです。
国際社会経済を混乱・疲弊させ、国内外の分断を助長し、「自分さえよければ」という風潮を蔓延させるトランプ大統領の再選を阻止することが世界のためです。
世界の株式取引、金融取引、商品取引関係者をはじめ、経済に身を置く人たちが矜持をもって、トランプ再選阻止のため、今年の11月までは、米国民をして「トランプでは米国経済や米国の暮らしがよくならない」と思わせる行動をとられんことを期待します。軍事的、政治的に世界最強の米国です。その国民の意識に影響を与えられるのは経済だけだと思うからです。
おわりに、今年1年がみなさんにとって素晴らしい年となりますよう祈念いたします。
吉良州司