5月20日の外務委員会での質問~コロナ禍を受けての経済外交と北方領土問題への国民理解の醸成について~
コロナ禍、非常事態宣言による自粛生活、自宅勤務など、それまでの「普通の生活、仕事」が様変わりして、精神的にお疲れの方が多いと思います。首都圏も含めた全国的な非常事態宣言解除まで、あともう少しなので、頑張りましょう。
さて、一昨日5月20日、外務委員会の質問に立ちましたので、その要旨をお伝えします(以下の内容は、実際の質問内容に若干の解説的な補足説明をしています)。質問内容の報告なので、淡々としたメルマガになることお許しください。
久しぶりの外務委員会でしたが、大きく2点につき質問(提言)しました。ひとつは、コロナ禍を受けての経済安全保障を強く意識した今後の経済連携の在り方、もうひとつは北方領土問題に対する国民理解の醸成についてです。
1.今後の経済外交、経済連携
まず、コロナ禍を受けての今後の経済連携の在り方については、自分も反省するところ大です。それは、民主党政権時代に外務大臣政務官、外務副大臣などを拝命し、経済連携、TPP、インフラ海外展開、経済安全保障など、経済外交に取り組んできましたが、国際競争力強化のため、効率を最優先してきたことに対して、今回のコロナ禍は大きな意識改革を迫ってきていると思うからです。
今回のような世界中で人、モノの移動が制限され、外出自粛、経済活動停止が国家規模で行われる、たとえば南米チリなどにおいて、銅鉱山が機能不全に陥る、このようなパンデミックまで、経済外交推進時には想定はしていなかったと反省しています。
それ故、今後の経済連携の推進、TPPの拡充においては、経済安全保障、(生活安全保障、健康安全保障)の観点を取りいれた取り組みが必要だと痛感しています。
経済安全保障の観点からの国内生産と、海外生産、国際的サプライチェーンのバランスについての議論、検討を行うべきだと思います。多少の経済効率やコストを犠牲にしても国内生産をおこなうべき分野、モノは何か、また、充分なリスク対策を講じた上で、海外生産を含む国際的サプライチェーンで調達をおこなっても問題ないモノは何か、といった検討の必要性についての質問でした。
しかし一方、日本の国益、日本企業の国際競争力維持増大の観点からの自由な貿易・投資の拡大という基本方針が揺らぐことがあってはならないと思うことも主張しました。
2.北方領土問題に対する国民理解の醸成
まず、北方領土問題を解決して日露平和条約を締結することによって、現状と何が変わるのか。平和条約締結によって得られる国益、締結しない場合に失う国益を含めた平和条約締結の意義について問いただしました。
また、交渉相手であるロシアが、旧ソ連時代に対日参戦した経緯について問い、(ヤルタ会談の当事国でもない)わが国がヤルタ会談の密約に拘束される必要は全くないが、旧ソ連はヤルタ会談で決まったことを背景に決断し、行動したことはあきらかであり、国民の歴史的理解を深めるためにも、ヤルタ会談の歴史的事実をもっと国民に知ってもらうべきと訴えました。
一方、「北方領土は間違いなく日本の固有の領土」であり、そのことをロシア側に主張し続けることはいいが、大戦時の同盟国であったドイツは、ドイツ・ポーランド国境条約の締結により、ドイツの(日本に置き換えれば)奈良に当たる固有の領土「東プロシア(ケーニヒスベルク)」を、ポーランドに永久割譲することによって東西統一を果たしています。その意味で「北方領土は日本の固有の領土」であることは間違いないが、この「固有の領土論」が世界的に通用するかどうかは、疑問があると投げかけ、外務省発行の「われらの北方領土」に、同盟国ドイツの大戦後の国境変更についても、国民理解醸成のために加筆すべきだと主張しました。
北方領土問題については、もう少し多くの質問時間を確保した上で、もっと突っ込んだ深い議論をしたいと思っています。
尚、茂木大臣の回答を含む当該質疑録の全文をこちらに掲載していますので、ぜひ、ご参照ください。
吉良州司