吉良からのメッセージ

2020年9月16日

畏るべし 菅義偉内閣

菅義偉官房長官の圧勝となった自民党総裁選挙。石破氏に対する執拗ともいえる制裁的対応など多くの問題はあったと思いますが、現在の主流派の狙い通りの着地点、落としどころに落とすことができる自民党の底力を垣間見たような気がします。

そして、昨日の自民党役員人事、更には、正式な任命は後程になりますが、昨日段階で出揃った菅義偉内閣の閣僚名簿を見て、「畏るべし 菅内閣」と感じています。

私が予想していた留任閣僚は麻生副総理兼財務金融相、茂木外相、梶山経産相、西村財政担当相、赤羽国交相、橋本聖子五輪相でしたが、全てその通りになりました。小泉進次郎氏はデジタル相に横滑りだと思っていましたが(目玉の新庁に目玉の大臣)、環境相で留任となりました。

官房長官については、1番手は加藤勝信氏、2番手が萩生田光一氏だと思っていました。自民党役員人事で細田派の下村元文科大臣が政調会長となったこともあり、竹下派の加藤勝信氏の方が有力になったと思っていたところ、同氏に落ち着きました。
萩生田氏の官房長官がなくなった場合の文科相留任は適任だと思います。私は現在文部科学委員会所属ですが、萩生田文科相は極めて高い理解力、説明能力、決断力を持っており、野党の提案といえどもそれに理があると思えば、大学入試共通テストの英語民間試験導入や記述式試験を廃止する英断をしてくれました。コロナ禍で教職員や子どもたちが不安と混乱の中にある学校現場を、勉強や諸活動に専念できる安心な環境にしていく、その先頭に立ってもらいたいと思います。

上川法相については予想していませんでしたが、まさに適材適所、実務と決断力に秀でた素晴らしい方を起用したと思います。
また、コロナ禍にあっては、最も高い実務能力、専門性、判断力が要求される最重要ポスト・厚労相の人選はかなり難しいと思っていましたが、厚労政策通の田村憲久元厚労相を起用するあたりは、田村氏が石破派でもあるだけに、実益とバランスの取れたいい人事だと思います。
河野太郎氏の行革相も適任中の適任で菅総理の規制改革に対する本気度が伝わってきます。また、小泉進次郎氏の横滑りだと思っていたデジタル相に政界きってのデジタル通の平井卓也氏を当てる人事も適任だと思います。

一方、野上浩太郎農水相、岸信夫防衛相、井上信二万博相、坂本哲志一億総活躍相、平沢勝栄復興相は全く予想していませんでした。また、武田良太国家公安委員長の総務相への横滑りも予想外でした。

この閣僚人事を見ると、冒頭書きましたように本当に「畏るべし」と思います。まさに適材適所で、実務能力、専門性、判断力に長けた布陣です。菅新総理の任期は原則来年9月までですが、この閣僚配置は、短期的な布陣ではなく、コロナ禍対策をはじめとする足下の諸課題を解決すると同時に規制改革をはじめとする長期的な改革にも取り組む意欲を見せる菅義偉色が色濃く反映された布陣だと思います。

今、永田町では既に解散風が吹き荒れていますので、この秋に解散となる可能性は高いと思います。
一方、この閣僚人事を見ると、総理就任直後のご祝儀人気にあやかって、菅政権が一体何をやろうとしているのか、国民には全くわからないまま、ただ支持率が高いからという理由で解散を打つのではなく、場合によっては、しばらくしっかりと仕事をして、その仕事ぶりや成果を国民に示した上で、「実績を御旗として」解散に打って出る道も残しているのではないかとも受け取れます。まさに、畏るべしです。

対決すべき自民党内閣を少し褒め過ぎではないかと疑念を持たれるかもしれませんが、是々非々を信条とする目で客観的に見ると、上記のように適材適所の素晴らしい閣僚人事であると素直に認めざるを得ません。
しかし、「安倍政権・アベノミクスの継承」を掲げ、「森友・加計・桜、文書破棄・改ざんを終わったものとして説明責任を果たさない姿勢」を示す菅政権とは、昨日誕生した新立憲民主党、新国民民主党とも協力しながら、厳しく対峙していくつもりです。

吉良州司