吉良からのメッセージ

2020年11月17日

デジタル政府化とライフ・サポート・カードの有効活用について

前回、前々回のメッセージにおいて、デジタル政府化の徹底を前提とした「緊急時低所得世帯生活保障制度」と「緊急時低所得失業者生活保障制度」についてお伝えしました。

今回は、その「デジタル政府化の徹底」の方法論についてです。デジタル政府化とマイナンバー制度の活用については、過去、6月2日、6月5日、6月8日、同6月9日のメッセージでも持論を展開していますが、今回は要点を絞って粗々の方法論をお伝えします。

1. ライフ・サポート・ナンバーの活用に事実上の強制力を持たせる

前回のメルマガでマイナンバーカードは、人の一生涯を支援するカードとして、「ライフ・サポート・ナンバー」に名称変更すべきだと書きました。それ故、これからは、マイナンバーではなく「ライフ・サポート・ナンバー」、マイナンバーカードではなく「ライフ・サポート・カード」と呼ぶことにします。

ライフ・サポート・カードを一挙に普及させるには、下記5点が有効だと考えられます。

(1) 健康保険証とする(告知後一定期間後はライフ・サポート・カードでないと保険適用されないようにする。マイナンバー(カード)が2021年3月に健康保険証として、2023年に介護保険証として利用できるようにはなっていますが、今次コロナ禍を契機として一刻も早く普及させる必要があるため)
(2) 運転免許証とする(告知後一定期間後はライフ・サポート・カードでないと運転できないようにする)
(3) 年金手帳とする(告知後一定期間後はライフ・サポート・カードでないと年金受給できないようにする)
(4) 告知後一定期間後の銀行口座等の開設と維持はライフ・サポート・カードの登録がなければできないようにする
(5) 住民票登録をはじめとする全ての行政手続き上の登録はライフ・サポート・カードによってしかできないようにする

上記5点はかなりハードルが高い方法ですが、以前にもお伝えしたように、米国の場合、社会保障番号がなければ、運転免許の取得も銀行口座の開設も個人契約の健康保険加入もできません。デジタル政府化を推進すると決めたならやるしかありません。

2. 普及促進の主役は市町村

住民票登録によって誰がどこを住居として暮らしているのかを把握しているのは市町村の役所です。また、デジタル政府化したシステムの行政手続きの窓口となるのも市町村です。更には、プロの税理士から聞いた話では、市町村は原則として住民の所得を把握している(特に低所得世帯の所得は、住民税非課税世帯を特定するために把握している)とのことで、所得把握の観点からもライフ・サポート・カードの普及と利活用の主役は市町村になります。
もっとも、その前提として、国全体のシステムを統一することが必要不可欠となりますが、国と市町村のシステム統合についての総論・各論はデジタル庁の専門家にお任せするとして、ここでは触れません。

3. デジタル手続き支援体制 ~行政書士と「デジタル手続きサポート隊」による手続支援~

デジタル行政手続きの当事者としても市町村が主役ではありますが、その普及促進とデジタル手続支援は実際には行政書士に協力してもらうのがベストだと思います。また、「デジタル手続き」ができない、または、苦手意識を持っている高齢者などに対しては、行政書士の指揮下で、IT知識を持つ(例えば、現在失業中の)若者などに「デジタル手続きサポート隊」として協力してもらう体制をつくってはどうかと思います。いわば、デジタル支援ニューディール政策です。

4. 詳細、各論は専門家に任せます

上述した「デジタル政府化とライフ・サポート・カードの有効活用」についての提案はまだまだ雑駁の域を出ませんが、政治の責任は大きな方針、方向性を示すことにあります。それ故、詳細、各論については、学者や専門家や実務経験者に任せたいと思います。自分の能力の限界かもしれません(苦笑い)。

5. 最後に

最後に、ライフ・サポート・カードを普及させるための上記5点などは、相当な批判や抵抗があると思います。しかし、コロナ禍など緊急時に生活が困窮する人々を迅速に救済するためには避けて通れない道だと思っています。
コロナによって亡くなられた方、現在、病院や自宅で闘病されている方々には哀悼の誠を捧げ、お見舞い申し上げますが、このコロナ禍がなければ、遅れに遅れている我が国の徹底した「デジタル政府化」について、国民の理解を得ることは厳しかったと思います。亡くなられた方々の尊い命に報いるためにも、デジタル政府化を一挙に推し進め、コロナ禍などによって生活が困窮する人々に安心を届ける「緊急時低所得世帯生活保障制度」「緊急時低所得失業者生活保障制度」を実現させたいと思います。

吉良州司