吉良からのメッセージ

2020年12月7日

「はやぶさ2」が帰ってきた!カプセルだけ帰国して本体はまた出張!

12月6日未明に「はやぶさ2」が6年ぶりに地球に帰ってきました。但し、「りゅうぐう」で採取した砂を格納したカプセルだけを地球に突入させ、本体は、さっそく新しいミッションを帯びて旅立ちました。
「はやぶさ2」くんは、きっと、「JAXAはブラック企業だ!たった今6年ぶりに故郷に帰ってきたばかりなのに、一日も休ませてくれず、また新たな仕事、それも遠い遠い小惑星まで再び出張させるなんて!いい加減にしてくれ!もうへとへとだよ!日本政府にお願いして、働き方改革を実行してくれ!」と叫んでいるのではないでしょうか(笑)。

新しいミッションは、小惑星「1998KY26」の探査で、2031年7月に到着する見込みとのこと、りゅうぐう出張よりも長い旅路になりそうです。本当にご苦労様!

カプセルが12月6日未明に大気圏に突入し、予定地の南オーストラリアで回収されたことは、オーストラリアABCニュースでも大きく取り上げられており、綺麗な尾を引きながら大気圏に突入する様子はオーストラリアの人々にも大きな感動を与えたようです。
日本の技術の高さをとても誇らしく思います。「はやぶさ2」くん、JAXAのみなさん、関係者のみなさん、本当にありがとう!私自身も「あの感動再び」でした。

吉良州司

以下は、はやぶさプロジェクトに対する期待と高揚感、そして感動を綴ったメルマガ(抜粋)です。ご参考まで(2019年12月4日と5日に発信したメルマガの抜粋)。

「いとかわ」の岩石を持ち帰った「はやぶさ1」も、「りゅうぐう」の岩石を持ち帰っている「はやぶさ2」の両方のプロジェクトの意義を2019年11月27日科学技術イノベーション特別委員会の質問の中で次のように語りました。「科学技術は、軍事、宇宙、原子力、生命科学の頂が高ければ高いほど、その裾野が広くなるというのが持論だ。しかし、わが国では軍事はタブー、原子力も国民の理解が得られづらい状況を考えると、はやぶさプロジェクトに象徴される宇宙分野をわが国の科学技術の牽引役にすべきだし、国民の期待、子供たちの夢にもつながる」と。
また、満身創痍になりながら、数々の危機を乗り越え、「いとかわ」の岩石を持ち帰った「はやぶさ1」は、日本国民と子供たちに夢と元気と困難に立ち向かう勇気を与えてくれた。また、「はやぶさ1」の反省に基づいて計画された現在進行中の「はやぶさ2」プロジェクトも同様の意義を持っており、更には、世界中に日本の宇宙開発技術の素晴らしさを知ってもらうことができた、と意義を強調しました。

「はやぶさ2が地球に帰還して大気圏に突入する際、NHKを通して、世界中にその映像を発信すべきだ、また、「はやぶさ1」から続くプロジェクトのPR動画も制作し、それも併せて放映すべきだ」とも提案しました。
その心は、日本国民と子供たちに夢と元気を与えることは勿論、日本の宇宙開発技術の素晴らしさを世界中の人に知ってもらい、世界中から優秀な宇宙関係技術者が日本で学び、研究することに繋がるからだ、と力説しました。

「はやぶさ2」が地球に戻り、大気圏に突入する際、採取した岩石を格納しているカプセルだけを残して、全て燃え尽きる様子を見たら、私は大粒の涙を流すと思います。今、このメルマガを書きながら、その様子を想像するだけで涙が出てきます。2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられて以来、太陽と地球の倍の距離の約3億キロ離れた小惑星「りゅうぐう」に至り、岩石の採取を含む数えきれないほどの仕事をして、来年2020年末に地球に帰還する予定ですが、この6年間に、何と約52億4千万kmも飛行して地球に戻ってくるのです。見事にそのミッションを果たして戻ってくる、その雄姿そのままで地上に戻ってきてほしいのですが、カプセルを残して燃え尽きてしまうのです。その頑張りに想いを馳せながら、燃え尽きる姿を見て涙するのは私だけではないと思います。

私は、宇宙や原子理論が大好きで、NHK-BSの宇宙番組「コズミックフロント」は必ず見ますし、録画もし、興味ある内容は何度でも見ます。宇宙関係の本もよく読みます。また、「はやぶさ1」のプロジェクト・マネージャ・川口淳一郎博士の講演も個人として聴きに行きました。また、今年8月末には、科学技術特別委員会の一員として、相模原市のJAXAを視察訪問し、「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクト・マネージャや吉川ミッション・マネージャにもお会いし話を聴いてきました。

子供たちの宇宙への関心が、あらゆる科学技術分野への関心へと繋がり、科学技術立国への最良、最短の道であるという認識は間違っていないと信じています。子ども達の夢と希望の象徴となっているはやぶさプロジェクトの成功を願いつつ、科学技術特別委員会質問のメルマガを終わります。最後まで読んで戴きありがとうございました。

P.S. 昨日発信したメッセージ内容につき、一点だけ修正とお知らせがあります。

昨日のメッセージでは『「はやぶさ2」が地球に戻り、大気圏に突入する際、採取した岩石を格納しているカプセルだけを残して、全て燃え尽きる様子を見たら、私は大粒の涙を流すと思います。中略。見事にそのミッションを果たして戻ってくる、その雄姿そのままで地上に戻ってきてほしいのですが、カプセルを残して燃え尽きてしまうのです。その頑張りに想いを馳せながら、燃え尽きる姿を見て涙するのは私だけではないと思います』と、自分のセンチメンタルな気分も含めてお伝えしました。

上記の思いは、はやぶさ1プロジェクトの大気圏突入時の光景を思い出しながら書いたものでした。はやぶさ2の探査機やカプセルの大気圏突入の様子もはやぶさ1と同じ情景になるだろうとの自分の思い込みが前提です。
しかし、偶然にも、昨夜NHK-BSの「コズミックフロント」は「はやぶさ2プロジェクト」の特集番組を見たことで、大気圏突入時の自分の認識が間違っていたことを知りました。そして、今朝、文部科学省のはやぶさプロジェクト担当者に確認しましたので、以下お伝えします。

(1)「はやぶさ1」の場合は、大気圏突入直前に探査機からカプセルを発射して、カプセルを大気圏に突入させると同時に、燃料もほぼ尽きていた探査機自身も大気圏に突入して燃え尽きた。

(2)「はやぶさ2」の場合は、大気圏突入直前に探査機からカプセルを発射して、カプセルを大気圏に突入させるところまでは同じだが、探査機の燃料がまだ残っているので、探査機自身は大気圏に突入させない可能性が高い。

(3)そして、新たなミッションを探査機に付与し、次なる探査に向かわせる可能性が強い。現在、どのようなミッションとするのか検討中。

とのことでした。

頑張れ、はやぶさ2の探査機!

吉良州司