吉良からのメッセージ

2021年2月1日

コロナ対策と、その先にある米国はじめ世界的な財政赤字拡大のリスク

第三次補正予算、(コロナ対策)特措法改正の審議・採決があり、近々2021年度本予算の審議が始まります。

現在は、コロナ感染拡大防止とコロナ禍で厳しい生活や経営を余儀なくされている家計・会社の救済があらゆることに優先することは当然だと思います。一方で、その優先順位は認識・尊重しつつ、コロナ禍の影で注目度や関心が低下しているが、実は我が国の将来にとって極めて重要な影響を及ぼす内外事象が進行しており、誰かがそれらの課題について指摘し、対策を講じなければなりません。

海外問題に目を向ければ、我が国にも大きな影響を及ぼす海外事象として、米国バイデン政権の対日政策・東アジア地域政策等の行方、イラン問題、ロシアの反体制派への抑圧強権問題、中国の台湾海峡・尖閣諸島における容認しがたい行動や香港やチベット・ウイグル自治区の人権弾圧問題などが挙げられますが、これらは対外的諸課題の一部に過ぎません。
国内的な大きな課題のひとつは、年末年始の九州・中国・関西・北陸・新潟・東北・北海道を中心に襲った長期に亘る大寒波と大雪の影響により電力需給がひっ迫したことです。現在の電力源構成で最大のLNG火力発電所の燃料LNGが不足し、各電力会社が電力を融通し合い、また、石炭火力発電所を石油で焚くなど、まさに綱渡りの電力供給でぎりぎり凌げたという状況でした。この件については、またあらためて私の思うところをお伝えしたいと思います。

上記は問題意識の一部に過ぎません。コロナ禍対策として世界的にその救済策を講じていることは当然のことですが、財政出動によるその救済策の原資はほぼ全ての国において国債発行等の借金となっています。それ故、私が今一番大きな問題だと思っていることは、この先の世界全体の、米国の、そして我が国の財政赤字の急激な拡大とそれによって将来的に引き起こされる可能性が高い世界的バブル崩壊、恐慌リスクの問題です。

特に、現在は資本主義の権化である米国までもが、FRBによる超低金利と大胆な金融緩和策を続けることによって市場を支えている現状(米国の日本化、FRBの日銀化。同時に、このことによって実体経済とはかけ離れた株価水準が継続)です。昨年の米国の財政赤字額は日本円にしてざっと330兆円、今年はバイデン政権の200兆円規模の救済策も実施される予定なので、赤字額は更に大きく膨れ上がると思われます。
本来ならこれほど大量の米国債を買ってもらうためには金利を引き上げる必要がありますが、現在は世界中が低金利、量的緩和を実施している状況なので、各国通貨当局は外貨準備積上げのため、金融機関や民間企業・個人は他に安全で高い利回りを確保できる術がないので、低金利でも米国債を買い続けることになると思われます。
米国は基軸通貨国としての特権を有しています(詳細は別の機会に譲ります)ので、米国自体は、非基軸通貨国よりも行き過ぎた財政赤字や経常赤字(俗にいわれる「双子の赤字」)に鈍感になりがちですが、バブル崩壊や恐慌に陥るシナリオは米国発の可能性が高いと思っています。
リーマンショック後の経済回復局面では、一時FRBが市場メカニズムを再生させるために金利を引き上げはじめる局面がありましたが、現在は当局側から市場原理を再生させるための金利引上げシナリオは考えづらいと思います。
その場合、市場自体が本来持っている市場原理、市場メカニズムを取り戻そうとするのか否か、取り戻そうとするなら、何をきっかけに、どのタイミングで起こるのか、日本経済はもちろん、世界経済全体を崩壊させてしまいかねないだけに大いに気になるところです。

上記の問題意識を持ちながら、裏付けとなるデータや判断材料となる的確な資料を国会図書館、衆議院調査室から収集しているところです。私なりの整理・分析を進めたうえで、あらためてみなさんにお伝えしたいと思っています。

更に、我が国のコロナ対策に必要な財源につき、現在は国債発行による国の借金ですが、私は、一種のワークシェアリング的発想により、「コロナ対策税」や「コロナ復興税」を導入すべきだと思っています。コロナ禍により廃業を余儀なくされる企業や、生活が立ち行かなくなる家計がある一方、所得が全く減少していない家計、業績が悪化していないどころか、却って上向いている会社もあります。長期に亘って所得税や法人税にコロナ対策税を上乗せし、それを原資に救済が必要な家計・企業に配分するという考え方です。東日本大震災時の復興税も参考になると思います。更には、財政悪化による日本経済の崩壊を食い止めると当時に、将来世代には決して余計な負担をさせないという大人たちの覚悟が必要だと思うからです。

今日はコロナ対策の先にある財政赤字が引き金となるかもしれないリスクについての問題意識をお伝えさせて戴きました。

吉良州司

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