吉良からのメッセージ

2021年5月23日

首長のワクチン接種問題に思う

前回は、「コロナ対策は全てがちぐはぐで、ことの優先順位は明確になっておらず、コロナ対策も五輪開催も本来の目的ではなく政権浮揚の道具に使おうとしているために、国民は政治に対する失望と幻滅を強くしている」との持論を、天に唾することを覚悟の上で、お伝えしました。
今回は、批判が相次いだ「市町村首長のワクチン接種問題」についてお伝えします。

市町村の首長が予約キャンセル分のワクチンを接種した問題については、首長の説明があまりにお粗末で、これでは国民、各市町村民の理解を得られないのは当然と思います。しかし、私は、説明のお粗末さなどがなかったならば、本来的には大騒ぎする問題ではないと思っています。
民主主義を基本とする行政制度を持つ我が国において、都道府県・市町村の首長は、選挙で選ばれています。特に、選ばれた首長の大きな役割の一つは、今回のようなパンデミックや自然災害などに対応するための指揮官役です。危機的状況に対応するための指揮官として選ばれているからには、ワクチンを首長に優先接種するのは当然だと思います。その指揮官としての首長を選んだのは(その首長に投票していない有権者を含めて制度上は)その県市町村民なのです。

しかし、今回問題とされた首長の説明(言い訳?)は、「自分も医療従事者」などとの逃げの姿勢が目立ち、どこかに後ろめたさを抱えた見苦しい説明でした。はっきり言って「せこい抜け駆け」と指弾されても仕方ないと思います。本来であれば、「指揮官」として、事前にキャンセル時に接種する人を予め登録し、堂々と公表しておくことが求められていました。それをせずして、こそこそと接種してしまい、発覚後に見苦しい説明をするようでは国民、市町村民の理解が得られるはずがありません。
 
今、日本、日本社会の健全性や良識が音をたてて崩れています。本来ならリーダーとして模範になるべき、そして国民からの信頼の上で責任を果たしていくべき政治家や一部の官僚が、その崩壊の原因をつくっていることに強い危機感を感じます。

今回も自分のことを棚に上げたままの、評論家的議論かもしれません。前回と同じく、天に唾するメルマガであるとの自覚を持っていることに免じてお許し戴きたいと思います。

吉良州司