吉良からのメッセージ

2021年10月15日

基本政策中の「5つの安全保障」について

前回は、総選挙に臨むにあたって掲げる「理念と基本政策」についてお伝えしました。その中に、「5つの安全保障の確立(国防、命と健康、エネルギー、食料、防災)」と記載していますが、これだけではよくわからないと思いますので、以下の通り、簡単に説明させて戴きます。

5つの安全保障について

安全保障といえば、外国からの軍事的脅威に対して、軍事的防衛力により抑止・対処する「伝統的安全保障」(国防)が想起されます。一方、今次コロナ禍のような感染症、気候変動、自然災害、テロリズム、食糧危機、エネルギー危機などの非軍事的な脅威に対して、国民の命と生活を守り抜くために、どのように備え、対処するのかの「非伝統的安全保障」も必要になってきました。私は、外交・安全保障については政権を担おうとする与野党に大きな違いがなくてもいいと思っていますが、伝統的安全保障(国防)に加え、今、我が国に必要だと思われる「命と健康の安全保障」、「エネルギー安全保障」、「食料安全保障」、「防災安全保障」といった非伝統的安全保障に対する考え方、政策を簡単に説明させて戴きます。

1.伝統的安全保障(国防)

北朝鮮の脅威、中国軍事力の増強・近代化の懸念、朝鮮半島や台湾海峡情勢など旧冷戦構造を色濃く残す東アジアの安定と平和のためには日米同盟は必要不可欠です。一方、トランプ政権を誕生させたことだけでも信用の失墜は免れませんが、アフガニスタンからの撤退により更に威信を低下させつつある米国への過度な追随は避けなければなりません。米中覇権争いも激化する中、日米同盟さえ守っていれば安全や繁栄が保障される時代は終わり、国際協調主義と独立自尊主義を共生させた極めて現実的な外交が求められています。国連中心主義や日米同盟は堅持しながら、豪州、英国、インド等との協力も拡充し、インド太平洋地域における対中抑止力を高めると同時に、真の独立、自主防衛、自主外交の道を目指します。

2.命と健康の安全保障

今回のコロナ禍を経験し、私たちはあらためて「命と健康」を守ることこそ国の最大の使命であることを痛感、実感しています。
それゆえ「命と健康の安全保障」という新概念を全国民で共有し、感染症や災害時などの緊急時にも迅速に対応できる救援体制や医療体制の整備と人材の確保・育成、ワクチン・治療薬への研究開発と生産体制への投資、緊急時における国と各自治体の役割分担の明確化、特に、自治体への権限・財源付与により緊急時において各地域が独自の対応ができる制度づくり、また、マスク不足の経験から、命に直結する医療器具、医療関連物資等は戦略的に国内調達できる仕組等の実現を目指します。

3.エネルギー安全保障(現実的なエネルギー政策の必要性)

隔絶された島国で、化石燃料も鉱物資源も存しない我が国において、国民生活と事業活動に必要なエネルギー資源及び電力の安定確保は何よりも重要であり、生命線となる資源輸入の途絶リスクに備えた現実的な対応(外交努力、技術開発、新システムの構築等)が求められます。
将来的には原子力に頼らない社会を目指し、再生可能エネルギーの更なる普及推進が必要ですが、雨や風が吹かないなど再エネ不稼働時には、火力発電が代わって電力供給しているなどの現実を踏まえ、将来の理想的エネルギー社会に移行するまでの暫定期間は、厳格審査を経て安全性が確認された原子力発電の再稼働や現在はベースロード電源として発電の中心役を担っている火力発電の有効活用など、現実的制度設計が不可欠です。
また、理想的なエネルギー社会に向かっていく際には、① 低価格蓄電設備の開発・普及、② AI技術を活用したスマートグリッド、その集合体であるスマートシティ構築、③ 水素エネルギー技術の開発・普及の促進、再生可能エネルギーを利用して水素をつくり貯蔵する畜エネルギー・システムの構築、④ (安全性が高く、自前のエネルギー源となる)核融合発電、⑤ 社会全体での節電技術と節電マインドの徹底、など具体策の実現に取組みます。

4.食料安全保障

今次コロナ禍において、マスクや防護服が自国生産されていなかったことは深刻に受け止める必要があり、食料安全保障における自国生産(自給)と適切な輸入のバランスを再検討することが極めて重要です。
平時における食糧安保の担い手は民間であり、政府の役割は安価でかつ安定的に、多様で安全な食料供給が確保されるよう民間のサプライチェーンの円滑化の支援(国内生産者支援、輸入円滑化の諸措置、海上輸送防衛、物流インフラの整備など)を行うことです。同時に、国内農業の競争力強化(販路開拓、輸出振興、農地の効率的利用促進、農業技術向上)、構造的リスクへの対応(外国人労働者の法的位置づけ、鳥インフルエンザ・口蹄疫対策等)、有事に備えた法整備、備蓄制度の確立(備蓄は一種の「保険」)、有事に必要とされる最低限の農地、生産者とその動員・活用方法、コストの明確化、有事における流通システムや配給手段の確保についての事前の備え、計画策定、など「食料安全保障」の具体策整備に取り組みます。

5.防災安全保障(命が第一の防災対策)

最近は「50年に一度の豪雨」が毎年日本列島を襲ってきます。最近の豪雨災害や東日本大震災から、頑強と思われる堤防、護岸、防波堤なども偉大な自然の前には歯が立たないということを教訓として学びました。それゆえ、ハード整備中心の防災対策から「命第一の防災」への発想転換必要だと思います。山間の急流の川の流域は、民家のすぐ前は川、すぐ裏手は山といった環境が多く、豪雨時の水害と土砂災害のリスクと隣り合わせの環境で生活しています。被災後の復旧事業は、単に「旧に戻す」発想から住居地や村落移転も含めた「命第一」の復旧・復興が必要ではないかと思います。また、津波対策も「万里の長城」を築くのではなく「命を守る」ことを第一に考えた避難路や避難用高層強度構造物の建設を優先すべきです。更には、学校や自衛隊の協力を得て、「自分を守る」、「他者を救う」ための国民的な防災知識、訓練の徹底しながら、「命を守ることが第一」を国民全体で共有すべきです。このような防災安全保障の実現に取組みます。

吉良州司

※基本政策の各論を動画で解説しています。
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