吉良からのメッセージ

2022年11月9日

閑話休題 昨夜、皆既月食を眺めていました

国会では総合経済対策を含む補正予算審議が近づく中、また、地元大分では来年の統一地方選挙の話題が多い中、更には、米国中間選挙の投票結果が判明しようとしている中、チコちゃんに「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と叱られそうですが、閑話休題、昨夜の「皆既月食」を眺めながら、あれこれ考えていたこと(といっても政治のことではなく宇宙のことです)をお伝えします。

日本全国で見ることができたようですが、昨夜の皆既月食の要所要所(欠けはじめる時、半分くらい欠けた時、全部が隠れた時、再び明るいまんまるなお月様が光を放つようになった時)を全て見ました。これまで何度かお伝えしたように、宇宙のことが大好きで、テレビの録画欄は「コズミックフロント」で溢れています。

また、月がはるか彼方の太陽系惑星「天王星」を隠す442年ぶりの「天王星食」も(望遠鏡がなければ肉眼では見えないので)テレビ画面上で見ることができました。

この天王星食を見た時に思ったことは、木星や土星から地球と太陽が一直線になることを見れるなら、昨夜の天体ショーと重ねるなら、天王星が地球、月が太陽のような感じなんだろうなあ、ということでした。それは地球は小さく、太陽は大きいからです。
多くの人に質問しても滅多に正解や正解に近い回答が返ってこない質問内容は「太陽は大きさ(体積)で地球の何倍あると思うか」という質問です。「10倍ですか」とか、「1000倍」といった回答が返ってくることもよくあります。
しかし、太陽は体積では地球の130万倍、質量は33万倍もある、どでかい恒星なのです。それゆえ、地球が太陽の前を通っても、昨夜の天王星のように見えるか、もっと小さく、ほんの小さな点が動いているようにしか見れないかもしれません。

宇宙には、これだけバカでかい太陽の数百万倍や数十億倍の巨大質量のブラックホールが存在するというのです。

ブラックホールについては、よくスポンジに丸く重い鉄(鉄球)を乗せると、鉄がスポンジにのめりこむ状態を好例とし説明されることがあります。鉄球がスポンジに食い込むことによって生じる窪み(ゆがみ)を空間のゆがみに、そして、その鉄球は光をも吸収してしまう巨大な重力を持つ存在、つまりブラックホールだと。
しかし、私はこの説明では全く理解できず、ブラックホールって一体何なんだと、そのわけのわからない存在に悩んだこともあります。
そんな時、ブラックホール研究の第一人者である二間瀬敏文先生の説明を聴いて得心しました。「脱出速度」を使った説明です。

H2Aロケットなど、種子島から打ち上げられるロケットは、秒速11km以上の速度を出さないと地球の重力に負けて落ちてしまいます。この秒速11kmを「脱出速度」というのです。上述した地球の33万倍の質量を持つ太陽の脱出速度は秒速618km、小さいのに極めて大きな質量を持つ「中性子星」と呼ばれる天体の脱出速度は「光速」の40%に当たる秒速10万kmとなります。更に更に大きな質量の天体になっていくと、光速である秒速30万kmより大きな脱出速度が必要となってきます。この光速よりも大きな脱出速度が必要になる天体に至ると、「光」ですら重力に負けて脱出できなくなりますが、この光すら脱出できないほど巨大な質量(重力)を持つ存在がブラックホールだということです。

この話を一緒に皆既月食をみていた嫁さんに説明するとわかってもらえました。

人から今抱えている悩みの相談を受けることがありますが、そう簡単な話ではなく、気持ちの切り替えしか解決できない悩みだと思った時、太陽が地球の130万倍もあること、宇宙にはその太陽の数十万倍、数十億倍の質量を持つブラックホールが存在することを説明し、「そんな宇宙の、そして大きな天体のことを考えると、人間の悩みなんて小さい小さい」と諭すと、多くの場合「ふざけんな!」との当然の反発反応を受けます。
本メッセージは閑話休題の話としてご容赦を!

吉良州司