吉良からのメッセージ

2023年12月13日

キックバック問題と業界主権政治

本メッセージは、現在国民の政治に対する信頼を失墜させている派閥パーティー収入の一部が所属議員にキックバックされている問題につき、また、自分自身のことにつき、率直にお伝えしたいと思います。

1.松野博一官房長官不信任決議案が否決

昨日、立憲民主党から提出された松野博一官房長官不信任決議案が否決されました。早ければ数日以内に更迭されるであろう松野官房長官を事実上「信任する」との投票行動を取らざるを得なかった与党議員も胸の内は複雑だったと思います。

2.政治資金規正法と所得税法違反の可能性

キックバックを受けて記載していない議員の罪状は政治資金規正法上の不記載、虚偽記入ということになるのでしょうが、我が「有志の会」の緒方林太郎議員が予算委員会で指摘しているように、キックバックされたお金は各議員の雑所得となるので所得税法違反にも問われる案件です。納税者からしてみると「ふざけんな!」という問題です。
また、自民党の場合、一部の私設秘書の固定給はかなり低く抑えられていて、生活していくのに足りない分は歩合制的にパーティー券販売額の一部を秘書に還元する仕組みがあることも過去に複数のルートから聞いたことがあります。これが事実だとすれば、今回のキックバックのお金がこの「隠れ秘書給与」の原資なのかも問われるところだと思います。

3.業界主権政治の弊害

この問題は、自民党政治の本質である「業界主権政治」を、私が主張し続けている「生活者主権の国」に創り変える以外には根本解決には至らないと思います。
各業界は日常的な金銭支援(寄付とパーティー券購入)と選挙時の票出しによって自民党を政権党として維持し続け、見返りとして補助金等の業界への予算的支援や業界が望む法律制定を求めます。寄付やパーティー券購入の額は、国家予算から配分される支援額と比べれば一桁、二桁少なく、「コスト」としては安いものです。結局、これらの寄付やパーティー券購入のお金は予算措置された業界向け支援金の一部ですから、元々は国民の税金です。業界主権政治を終焉させるためには、パーティー券購入を含む、企業団体献金の全面禁止が必要です。「企業団体献金を止めることにより、政党助成金が政治家収入の主流になると、政治家が公務員と変わらなくなってしまう」との指摘、議論もありますが、個人献金だけは残せばいいのです。「会社のコストとしての寄付やパーティー券購入」と、「自腹を切っての寄付」は全く様相が異なってきます。企業団体献金の全面禁止に踏み切るべきです。

4.自民党は今や「政権維持至上政党」化

自民党が細川政権や民主党政権誕生以降、「政権維持至上政党」に堕し、重要な国家課題の根本解決ができなくなってしまったのも、予算配分権と法律制定権がなくなった野党時代のみじめさを二度と繰り返したくはないとの強い危機感から、どんな手を使ってでも政権を維持することが至上命題化しているからだと思います。

5.野党はどうなの?

私は2003年の初当選時と直近の総選挙は無所属で臨み、現在は衆議院会派「有志の会」代表ながら政党には所属せず無所属で活動しています。この間、無所属で活動した期間を除き、自分の意志で入党した民主党はじめ、(自分の理念・政治信条や立ち位置は全く変わらないのに、所属政党の合従連衡に伴う政党変遷の中で自分の意志とは関係なく移らざるをえなかった)野党系政党に所属していました。しかし、この間、政党主催パーティーのキックバックなどの話は一度も聞いたことがありません。この点についての野党のブーメランはないだろうと思います(野党議員各個人については知りませんが)。

6.吉良州司個人はどうなのか 政治家の絶滅危惧種?

私は国会議員では一部の政党を除いては極めて珍しいと思いますが、一度も政治資金パーティーを開催したことがありません。それどころか、会費制の朝食・昼食・夕食の勉強会やお金を戴くセミナーも開催したことがありません。手ごろな金額の実費だけを戴く忘年会や新年会などは開催したことがありますが、政治資金規正法上の政治資金パーティーではありません(実費精算イベントとの位置付け)。広報誌の裏表紙に寄付を受ける銀行や口座を書いてはいますが、自分自身も事務所としても「寄付集め営業」を一度もしたことがない、政治家の中では絶滅危惧種のような珍しい議員です。しかも現在は無所属ですので、政党助成金も全く受け取っていません。それゆえ、活動資金や事務所運営資金は常にカスカスの自転車操業を余儀なくされる貧乏事務所ですが、お金の件で後ろ指さされることはありません。

7.今後の岸田政権について

岸田政権は極めて近い将来に内閣改造を断行するでしょうが、そんなことで国民の信頼を取り戻せるとは到底思えず、おそらく来年の自民党総裁選までは持たないのではないかと思います。
上述したように、それでも自民党はどんな手を使ってでも政権を維持しようとするでしょうから、本来の自民党国会議員内世論ではありえない総裁を誕生させてこの危機を乗り切ろうとするでしょう。得意技の自民党内政権交代、それもインパクトの強い政権交代です。
全くの個人的な憶測ですが、石破茂さんか河野太郎さんのどちらかが総理総裁。石破総裁になった場合には河野太郎さんと小泉進次郎さんとで官房長官と自民党幹事長になるのではないかと思います(河野太郎総裁の場合には石破幹事長や官房長官はないでしょう)。業界主権政治に終止符を打てるのならそれでも構いませんが、単に自民党業界主権政治を延命させるだけならば御免こうむりたいものです。

吉良州司