「大義なき解散」そして「アベノミクスでは地方は豊かになれない」
みなさん、こんにちは。吉良州司です。
ご無沙汰して申し訳ありません。
どうやら、週明けの11月19日に衆議院解散のようです。
3党で合意し、法律で決まっている来年10月の消費税率上げを延期することが大義名分とか。
これは、わが国の現在・将来を脇に置いて、自民党という政党、「自民党政権」の生き残りを優先する判断に他なりません。
アベノミクスを掲げた時点で、消費税を2015年10月に10%まで上げることは、自民党も含めて主要政党間で合意済みであり、法律上も実施されることが決まっていたわけですから、また、その流れから、異次元ともいわれる金融緩和を実施し、大盤振る舞いの公共工事復活をすることにより、消費税を上げてもデフレ脱却ができて、成長軌道を取り戻すことができる、ということがアベノミクスの真髄だったわけですから、今回の消費増税先延ばしと、解散・総選挙の実施は「アベノミクスの失敗」を自ら宣言することに他なりません。
元々、多くの専門家や有識者の間では、また、それなりに日本の現状を理解している方々の間では、アベノミクスは、大企業、大都市、輸出関連産業、資産家にとっては歓迎される政策だが、中小零細企業、地方、輸入関連産業、持たざる人々にとっては、大変厳しい政策である、との認識が共有されていたと思います。
私の地元大分でも「ガソリン代をはじめ、物価は上がるが、収入は増えない。生活や経営は苦しくなる一方だ」という声が主流です。アベノミクスでは地方は豊かになれないのです。
その地方の声が、地方選出議員を通して自民党幹部に届き、このまま消費税を上げれば「自民党が悪者にされ、2年後までの総選挙で再び野党に転落しかねない」という危機感を生み、安倍総理に消費税上げの先送りとこの時点での解散を決断させたのだと思います。
政権運営経験が未熟であった民主党が、(政権運営の稚拙さや当時のトップの責任を痛感し、反省はしていますが)、「民主党の生き残りや議員の当選よりも、将来世代への責任を果たすため、つまり、国の行く末を優先して決断した消費増税でした。結果として、多くの血を流すことにもなりました(理由は消費増税だけではありませんが)。
このことは、政権交代の意義は、2大政党が政策を競いながら、相互にレベルを高めあうことに加え、消費増税のような不人気な政策であっても、それが国の行く末にとって必要な政策は主要政党間で何とか合意形成し、時の政権党が次の選挙で政権を失うことになったとしても、「お国のために血を流す」という、あらたな政党文化、国会議員文化を創りだす第一歩だったと思っています。
そう思っているのは、私と少数の議員だけかもしれませんが、多くの国民がそれを願っていることだけは確かだと思います。
この新しい、あるべき文化をまた振り出しに戻そうとするのが、今回の解散・総選挙です。「永遠の政権党」であり続けたいと思いすぎる「自民党の悲しい性」なのかもしれません。
大義なき解散どころか、「党あって国なし」の解散・総選挙に対して厳しい判断をくだそうではありませんか。
吉良州司