アベノミクスは今の産業構造では機能しない
選挙戦初の週末を迎えました。この週末でいかに多くの有権者の皆さん、特に浮動票・無党派層と呼ばれる方々とお会いできるかが勝負と考えています。市内全域を巡る予定ですので、ぜひ応援、そして若い方々に投票所へ行って頂くよう、お声がけをお願いしたいと思います。
■アベノミクスは今の産業構造では、地方経済に波及しない
さて本日は、アベノミクスと地方経済の関係について、少し広い視点から見解をお伝えしたいと思います。
本日の大分合同新聞の朝刊トップに、景気回復実感についての世論調査結果が載りました。
—(以下抜粋して引用。2014年12月6日朝刊)————————————–
『8割景気回復感なし 本社世論調査』
大分合同新聞社が県内の有権者を対象に実施した衆院選の電話世論調査で、景気回復の実感について聞いたところ、「どちらかといえば感じない」「まったく感じない」と答えた人は8割近くに上った。政府が進める経済対策の効果が、まだ県内まで十分に波及していないことがうかがえた。「感じない」とした人の半数近くが家計負担の増加を理由に挙げており、4月の消費税増税や円安進行による物価上昇が景況感にも影響を与えているようだ。(中略)「どちらかといえば感じる」と答えた人の約3割、「大いに感じる」と答えた人の約6割を70歳以上が占めた。働き盛りの層とシニア世代では受け止めに濃淡があることが浮かび上がった。
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働き盛り層の実感は、所得が伸びず物価が上がったことによるもの。そしてシニア世代の好況実感は、おそらく一部層の金融資産の含み益によるもの。そう考えるのが妥当な分析と言えるでしょう。これはまさに私が今回の選挙で訴え続けていることと同じです。
繰り返しますが、私は是々非々の立場をとっています。輸出関連企業と株価上昇の恩恵を受けた方々にとっては、アベノミクスが良い影響を与えたことは否定しません。 特に、戦後復興と経済成長を支えて頂いた高齢者の方々が一生懸命働いて蓄えた貯金と退職金を金融資産に回し、株高で恩恵を受けられたことは、大変喜ばしいことだと思います。
しかし、上の記事にもあるように、その影響は地方経済に波及していないし、これからも、このままでは波及することはないと考えています。
なぜか。かつて(高度経済成長時代)は、輸出企業の成績が伸びれば、少しずつ地方にもその影響は及び、地方経済も潤いました。しかし、今では産業構造が当時とは全く変わってしまいました。
グローバル化が進み、輸出企業は、特に質より量で勝負する製品に関しては、生産拠点のほとんどを海外に移しています。円安で割安感が芽生え、生産量が増えたとしても、生産は海外の現地法人ですから、国内の地方にはあまり影響がありません。
一方、量より質で勝負するもの(レクサスなどの高級自動車が好例でしょうか)は、国内にも生産拠点があります。しかしながら、これらの製品はブランド力で勝負しており、販売戦略上安売りができません。(例えばルイヴィトンなどの高級バッグが100円ショップで売られていても誰も買わないでしょう。)
ですので、これらの製品は、円安による為替差益分の売上高は増えても、販売数量は増えません。日本の地方にある生産工場の生産量も変わりません。工場とともにある下請け、孫請け企業、さらには小売業等にもほとんど影響が及びません。
30~40年前であれば、輸出企業が成長すれば、それに伴って日本全国津々浦々にその影響が及びました。しかし残念ながら、グローバル化が進んだ今は、そのような産業構造ではなくなってしまっているのです。
それでは、安倍首相による「野党からはアベノミクスの対案が出て来ないではないか」という主張に対してはどうでしょうか。本日は紙幅がありませんので、次回のブログで私なりの見解を述べたいと思います。
吉良州司は選挙期間中も、これからの政治のあるべきすがた、政策の詳細について、皆さんにお伝えしたいと考えています。