吉良からのメッセージ

2021年9月29日

岸田文雄さんが自民党の新総裁に

自民党総裁選挙の結果、岸田文雄さんが新総裁に選出されました。

3人(のちに4人)が立候補表明をした段階で、岸田さんが選出されるだろうと思っていましたので、予想通りの結果です。岸田さんが有利と思われる決戦投票が濃厚となった以上、麻生元総理の「総裁選という名の権力闘争だ」という言葉ではないですが、1回目は「河野太郎」、決選投票は「岸田文雄」と書く議員よりも、1回目も決選投票もどちらも「岸田文雄」と書いた議員の方が、優遇されることが見えています。
それゆえ、早くから河野太郎陣営に走った議員は別にして、岸田さんに傾いていくだろうと思っていました。
でも正直な話(いつも正直に自分の思いをお伝えしていますが)岸田さんが、1回目で1位になるとは全く思っていませんでした。高市早苗・安倍晋三前総理連合の得票が予想よりはるかに多かったことが最大の原因だと思います。1回目総合投票で2位、国会議員票で3位に甘んじた時点で河野太郎さんの目は完全になくなりました。
今回の総裁選の一番のサプライズは、高市早苗氏の善戦、特に国会議員票を114票も獲得するとは誰も予想していなかったのではないでしょうか。この得票の高さと同時に「総裁候補としての高市早苗さんを党内に認知させたこと」により、自民党内における安倍晋三前総理の存在感が大いに高まったと思います。

これから総選挙を迎える身としては大きな危機感を持ちますが、わずか1票差ながら、1回目投票で岸田さんが1位になったことは、神の意志が働いたのでしょうか、自民党の総選挙を有利に導くことになると思います。「派閥論理の2位、3位連合により、民意を一番大きく受けていた(党員・党友票を一番獲得して1回目で1位となった)河野太郎を逆転して誕生した総裁。古い自民党体質から生まれた新総裁」というレッテルを張られ、総選挙での自民党は厳しい批判を浴びたであろうことが予想されるからです。

しかし、これも、9月8日付けで発信した弊メッセージでもお伝えしましたが、岸田さんが、真っ先に総裁選に名乗りを上げ、誰もできなかった二階幹事長の首に鈴をつける、大きなリスクをとる形で荒業をやってのけたからです。

一国の総理になる方には甚だ僭越ですが、岸田さんが名宰相になれるかどうかは、まず、「総裁は最初の任期だけ」と心の底から割り切れるかどうかにかかっていると思います。理由はふたつ。
ひとつは、コロナ禍中であったからこそ、安倍晋三前総理の途中棄権があり、菅総理が短命に終わったのであって、岸田総理誕生は奇跡に近い(本来ならば総理にはなれない)ということを本気で自覚できるかどうか。運よく手にした総理の座に未練を持たない覚悟を持てるかどうかです。
二つ目は、2期目を狙うと、どうしても既存の派閥領袖や長老たちのご機嫌を伺い、忖度をしてしまいます。そうなると、やはり古い自民党体質が前面に出てきて、国民は岸田政権から離れていくと思います。1期だけと割り切れば、チーム力を重視する岸田さんとして、派閥論理には関係ない人事も断行できるし、派閥や長老とは一線を画しての政権運営、チーム岸田らしい政権運営ができると思います。

今回は世代交代を含みながらの総裁選でしたが、次世代の代表格の河野太郎さん、小泉進次郎さんの影が薄くなっていく可能性があります。代わって、まだ若い安倍晋三前総理を後見人とする高市早苗さんの存在感が極めて大きくなりました。
決戦投票では派閥や長老の意向も働いて、政策的、思想的にはもっとも距離のある二人の岸田・高市連合が勝利しましたが、今日からハト派岸田vsタカ派高市の戦いが始まることになると思います(もっとも、高市さんの政策や主張は自民党向け、自民党内を相手にした選挙では通じるかもしれませんが、全国民を相手にした選挙では幅広い支持を得られるとは思いません)。

対峙する立場ではありますが、新総理となる岸田さんが日本丸の向かう方向を間違わないよう、自民党のため、自民党支持層のためではなく、全国民の幸せで豊かな暮らしのための舵取りをしてくれることを祈ります。

吉良州司